ライターが選ぶ2022年の邦楽5曲&年間100曲プレイリスト

2022年 Culture Cruise

編集部の葉山です。毎年恒例、Culture Cruiseが1月から作ってきた年間100曲プレイリストと、その中から編集長に邦楽5曲をピックアップしてもらいました!


2022年の邦楽5曲

藤井風 – まつり

葉山:今年もこの季節がやってきました! 100曲プレイリストの中から、まずは藤井風さんですね。藤井風さんは他にも曲出されてますけど、なぜ「まつり」を選んだんですか?

長谷川:藤井風さんはいろんなジャンルの曲をルーツに持っていると感じるんだけど、最後は和の心に戻ってくる…というより、和の心が常に根底にある気がしてて。

葉山:それはすごくわかりやすいですね。

長谷川:この曲は特に後半に向けて、ブラックミュージックにもロックにも由来する感じがするけど、和洋折衷のバランスも華麗で、日本の歌謡曲とかもちゃんと理解してないとできないと思うんですよね。アレンジはyaffleさんの貢献度も大きいと思うけど、独自の道を行くようなミクスチャーで、それを藤井風さん流にまとめられているチームワーク、見事としか言いようがないですね。

清水翔太 – Baby I love you so

長谷川:この曲は最初、ディアンジェロの「Feel Like Makin’ Love」を彷彿とさせるR&Bだなって感じたんですよ。でもDメロとかキャッチーさも混ぜ込んであったりして、清水翔太さんの辿ってきた軌跡が詰まってるし、清水さんだから歌える曲調だなって気付いた時に、また別の感動が湧いてきました。

葉山:リアルなR&Bって感じがします。

長谷川:長年音楽と向き合ってきた清水さんだからこその声だし、人生も透過させるような生きざまみたいなものを感じるじゃないですか?

葉山:上手いだけではなくて、深みとかもありますし。

長谷川:その深みを出すって、ボイトレでできることでもないし、ただ年月が過ぎるだけでもだめだし、いろんなことが混ざってこの日ここに辿り着いた声っていうか。それが音楽の素晴らしさだし、それを聴かせてもらえるってすごいことですよね。

葉山:長年第一線で活躍されてますもんね。

長谷川:それでいてハリのある歌声をキープされてて。ライブも本当に圧倒されるんですよ。並大抵ではない覚悟も伝わってきて。いろんなジャンルを歌える方ですけど、やっぱりここで生きてきたシンガーなんだなって、すごく感動しました。

水曜日のカンパネラ – 一寸法師

長谷川:今年出したアルバム『ネオン』が素晴らしかったカンパネラさん。世の中的には「エジソン」もすごい数字を叩き出してるんですけど、巧みなトラックと風変わりな歌詞という世界観に、エモさも加わったメロディのバランスでいうと、私は「一寸法師」を選びたいと思いました。

葉山:私だったら流行に負けて「エジソン」選んじゃうかも(笑)。

長谷川:どれも甲乙つけがたいけどね。最近のケンモチさん作品は、そのエモさが加わったところが時代もくみとってて素晴らしいと思います。サウンドセンスだけでなく、支離滅裂なように見せてちゃんと意味がつながっている歌詞も。

葉山:元々別の方がボーカルでしたよね?

長谷川:コムアイさんのボーカルも素晴らしくて、あんなに象徴的だったイメージを残しつつ新しくした詩羽さんもまた素晴らしくてっていう。

葉山:確かにイメージ変わりましたね。

長谷川:あえて起伏を抑えたようなラップとかも、絵本を音読するみたいに、日本語だからできるイントネーションなんだよね。日本文化が詰まったダンスミュージックだと思います。

Official髭男dism – Subtitle

葉山:ドラマ「silent」全部観てました!

長谷川:私も!「言葉はまるで雪の結晶」とか、天才的な歌詞もきっとドラマとのタイアップで生まれてきたんだと思うんだよね。

葉山:なるほど。ヒントがあるから浮かぶのはあるかも。

長谷川:ドラマのプロデューサーの村瀬さんが直々に髭男に依頼したそうなんですけど、ドラマとの関係性も素晴らしかったし、音楽と映像作品が結束する形ってこれからもっと出てくると思うし、そうなった方がエンタメは面白くなると思うので、ぜひやってほしいです。

葉山:日本のドラマももっと盛り上がってほしいです。

長谷川:個人的に、2番はバンドとしての髭男が顔を出してる気がするんですよ。2サビ前からだんだん疾走していくドラムに感動するし、ギターソロの完璧なバランスと、計算されたシンセベースと。数学みたいに緻密だけど、国語力で訴えかけてくるような曲だなと思います。

Ghost like girlfriend – ERAM

葉山:これは、チエさん今年ずっと推してたので予想できました。

長谷川:揺るがなかったですね。めちゃくちゃかっこいいんだけど、深夜にラーメンを食べに行くっていう話なんですよね。でも万人が共感できるじゃん。

葉山:無性に食べたくなりますよね。noteにも何度も泣いたって書いてましたけど、どういうところですか?

長谷川:動機が何だろうと、Ghost like girlfriendさんは命削ってこの曲を作って、Recもされてると思うんですね。油断がなくて、こういう曲を本気で作るアーティストがいてくれて本当によかったと思うし、歌詞も美しくて。「どうか繋いで、日々を」とか尊いよね。

葉山:些細な日常に幸せを感じられるって、才能だと思うんですよね。

長谷川:そうなのかもね。ラーメンを食べる描写は最小限で、むしろ15秒以内でブリッジみたいに落としてて、サビが「咲いた」っていうフレーズから一気に駆け上がっていくんですよ。つまりテーマはフォルムでしかなくて、インパクトに全然頼ってなくて、もっと心の奥を描いてるところが美術作品のようだと思いました。

年間100曲プレイリストが完成!

葉山:2022年の100曲プレイリストのポイントはどこですか?

長谷川:ソロアーティストの曲をけっこう選んだ気がしますね。

葉山:たしかに多いかもしれないですね。中でも注目のアーティストはいますか?

長谷川:ここに入ってる時点で全員注目してるんですけどね。プレイヤーとしても優秀でプロデュースもできるっていう方は、今後も活躍されそうですよね。KMさん、Shin Sakiuraさんとか。プレイングプロデューサーというのかな。A.G.Oさんなんて、関わった曲たぶん4曲くらい入ってますね。

葉山:プロデューサーさんはさすがに分からない!

長谷川:そうだよね。でも「feat.」みたいに、最近は日本でも曲名に「prod.」ってプロデューサーのクレジットが入るようになってきたりして、注目度は高まってるなと思います。はやみーは気になった曲あった?

葉山:チエさん、BE:FIRSTの1年記事書いたじゃないですか? 「Betrayal Game」が入ってたのでじっくり聴いたら、良いなって思いました。あとSIRUPさんの「Superpower」!

長谷川:それね、どっちもA.G.Oさんなのよ。

葉山:えぇ!すごいじゃないですか(笑)

長谷川:すごいよね。需要も読みつつ創作してて。「Superpower」はウイスキーのJAMESONとのタイアップだったけど、とても上手に関連性を持たせていると思いました。

葉山:この企画、TOP5を無理にお願いしてるのは私なんですけど、来年もやってもらえますか?

長谷川:どうだろう。Culture Cruiseも6年になりますけど、あまり反響なかったらフェードアウトするかもね(笑)。いつも言ってますが、ここに選んだのは代表曲のつもりなので、それ以外が下位だとかいう気持ちはまったくないですからね。

葉山:はい! 一つの目安ですよね。毎年楽しみにしてるので、存続を希望します!


2022年も皆さまに支えられた1年でした。

記事を読んだり、SNSでのいいねやリツイートなど、たくさん共有してくださってありがとうございました!(長谷川・葉山)

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