【NOAインタビュー】3つの人格が作るアルバム『Primary Colors』というストーリー

2024年5月29日に2ndアルバム『Primary Colors』をリリースしたNOAさんが2回目の登場! アルバムについてインタビューしました。

2ndアルバム『Primary Colors』

ーー先日までアルバムリリースの対面イベントをなさっていましたよね。どんな雰囲気でしたか?

NOA:実際にファンの皆さんと直接会って、ふざけ合って終わる方もいれば、そういう時だからこそ、伝えたい想いを伝えてくださる方もいて、僕もすごく楽しかったです。お手紙だったり、SNS上でいただく文面ももちろん嬉しいんですけど、直接目を見て言ってくださると、よりいろんなことを感じられるというか。僕もここからもっと頑張ろうと思えます。「今この方たちにあの曲を早く聴いてもらいたいな」という気持ちになったり、すごく幸せに溢れた空間でした。

ーー今回のアルバム『Primary Colors』をNOAさんの言葉で紹介すると、どんな作品でしょうか?

NOA:タイトルが三原色という意味で、曲も赤・青・緑と色分けしてあります。皆さんが必ずしも毎日赤っぽいわけでもないし、毎日青っぽいわけでもないし、というところでは、1日の中でいろんなジャンルの楽しみ方ができると思っています。個人的には前作よりもより素直になって、伝えたいことをすべて言わせてもらったという感覚があります。すごく自信のあるアルバムなので、以前から聴いていただいていた皆さんにとっては「NOAくんこんなこと言っちゃうんだ」という部分もあれば(笑)、初めましての方にとっては「こんなことができる人がいるんだ」と何かインパクトを与えられるアルバムになったんじゃないかなと思っています。

ーー前作よりも素直になれたというのは、なぜだったのでしょうか?

NOA:前作の『NO.A』は既存曲が6曲あって、過去の自分と照らし合わせながら作りました。今回のアルバムは既存曲が2曲しかなく、それも2023年のワンマンライブのタイミングで出させていただいた「BURN」から始まって、今までだったら遠回しに言っていたことを、ダイレクトに言いたくて書いた曲だったんです。いろんな経験をさせていただく中で自信もついて、言いたいことをもっとダイレクトに言った方がいいんじゃないかという考えが出てきたので。「BURN」から書き方の方法を自分なりに見つけて、それに慣れて、結果として出たのが今回のアルバムだと思います。

ーー「BURN」を披露されたワンマンライブが2023年5月でしたが、その頃から2ndアルバムの制作というのは実質始まっていたのでしょうか?

NOA:実際に制作を始めたのは2023年の10月からですが、個人的な気持ちで言うと「BURN」を出したくらいから、『NO.A』に一旦区切りをつけていたという感覚はありますね。

3つの人格に例えた「三原色」

ーーこのアルバムで表現したかったことは何でしょうか?

NOA:僕は日本語、英語、韓国語を話せるのですが、その言語をしゃべる度に、自分の人格が変わってるなという自覚が以前からありました。ただそれを曲に落とし込んだことがなかったので、落とし込んだら面白いんじゃないかと。この言語をしゃべる時は情熱的だなとか、センチメンタルな感じだなとか、そういった部分から曲が生まれました。僕自身も書きながら未知な部分がたくさんあったからこそ、聴いてくださる皆さんもいい意味で僕の新しい一面を感じられるアルバムになったんじゃないかなと思います。

ーー3つの言語で人格が変わるというのは、何語がどんな人格か、説明することはできますか?

NOA:色分けで言うと韓国語が赤で、日本語が青、英語が緑なんです。というのも、韓国語は情熱的だったり、いい意味でアグレッシブにストレートにものを言えたり。日本語は性格的に少し人見知り、センチメンタルだったりとか、ちょっと控えめな感じがあったり。緑はフランクで、日本語とは逆で、正直にハッピーに、というのが僕なりの解釈です。

ーー別の言語を話す時のNOAさんは、雰囲気が変わる感じがしますもんね。韓国語は少し饒舌になっているような気がしたりとか。

NOA:ほんとですか? インスタライブとかでも、よく日本のファンの方から「韓国語しゃべってるNOAくんの方がかっこいい」というコメントもいただいたりします。他の方から見てもそれくらい変わってるんだなと感じますね。

ーー前作からは1年3ヶ月ぶりのアルバムリリースですが、時期としては想定どおりでしたか? それとも早かったのか、時間がかかったのか。

NOA:本当はもっと曲数を入れたかったんですよ。ただこれ以上入れるのは間に合わないということで14曲になりました。最初の段階から新たに作ろうという策もあったんですけど、僕がすでに書いていたり、Sunnyさんが持っている曲を元に作り込んでいくことが多かったので、そういう意味では早かったかなという感じです。ただリード曲の「COLORS」はけっこう後半にできたので、いわゆるアルバムを代表する曲を作るのは時間がかかりました。

ーーその「COLORS」だけが色属性なしとなっているのはなぜでしょうか?

NOA:実際にこれが唯一今の自分というか。赤っぽい日もあれば青っぽい日もあるという感じなんですけど、今の自分は一色に染まりたくないという気持ちがすごくあって。「COLORS」の歌詞にもあるんですけど、きみの色と僕の色を重ねる、僕もきみもいろんな色があるからこそ、一つのジャンルに縛られたくないというところで、「COLORS」は今の自分を表したくて、色属性をなしにしました。

ーービジュアルアートもNOAさんの発案・プロデュースとのことですが、最初はどのような構想だったのか、具体的にイメージしたことを教えてください。

NOA:三重人格を表したいというところで、Sunnyさんから「『Primary Colors』っていいんじゃない?」という話をしてくださいました。曲自体でも色というものは表せるんですけど、写真にした時に、それぞれのキャラクターをより具体的に見せたかったので、僕なりに「赤はこういう人なんだろうな」とイメージして、衣装からヘアメイクまでガラッと変えてやりたいということをお伝えして、作っていきました。

ファンとつくる楽曲

ーーSunnyさんとの制作も解像度が上がっているように感じます。どのようにお二人での制作を進めていきましたか?

NOA:僕が元々トラックを作っていた曲は、Sunnyさんにブラッシュアップしていただいたりしました。作り方として面白かったのが、隣同士のデスクでそれぞれヘッドフォンをして、まったく別の曲を作っていたんですけど「Sunnyさんこれどうですか?」って聴いてもらって「俺が作ったのもいい感じかも」ということで聴いたらたまたま合体できたんですよ。今回のアルバムには入ってない曲なんですけど(笑)。僕のパソコンでトラックを作って、Sunnyさんに「ギター入れてほしいです」って言ったら横でバーって入れて、また僕の方でいじってという、連携プレーをたくさんさせていただきました。一つのアルバムでこんなにご一緒するのは初めてだったので、作り方としても絞らずに、いろんなやり方ができてすごく楽しかったです。

ーー合体できた曲というのは、このアルバムには入っていないんですか?

NOA:「COLORS」も若干そうだったんですけど、でも今回は入っていない曲が1曲ありますね。

ーーではストックとして温めていただいて、いつか聴かせていただきたいです!

NOA:そうですね! いつか出せたらと思っています。

ーー並んで作っていたというのも何かいいですよね。

NOA:Sunnyさんとは毎日のようにずっと一緒にいましたね、あまりにも慣れすぎちゃったので、逆に寂しいです(笑)。

ーーインスタライブも一緒にやってましたよね?「こんなに仲良しなんだ」と思いました(笑)。

NOA:そうです、そうです。アルバムを作り始めた時くらいにSunnyさんが「面白いコンテンツやりたくない?」と言い出してくれたんです。「じゃあご飯の時に」って最初は1回やってみようという感じだったんですけど、毎日制作していたので、皆さんと過ごすインスタライブで僕たちもリフレッシュできるようになりました。「00:02 (You & I)」を作っていた日には、僕がちょっと歌詞に悩んでいたんです。それでインスタライブ中に「今こういう曲を作ってるんだけど、こういう時ってみんなはどう思う?」って聞いて、そこからヒントを得たり。貴重なインスタライブをさせていただきましたね。

ーーリアルな体験が曲になっていくのは面白いですね。

NOA:ファンの皆さんにも、まるで一緒に作っているかのような感覚でいてほしかったので始めました。

ーーその「00:02 (You & I)」は、NOANAの皆さんの実際の声もコーラスとして入っていますが、どういった経緯で制作することになったんですか?

NOA:アイディアとしては、『NO.A』の時にはすでに頭の中にはありました。ただ皆さんの声を録るタイミングもなかったし、思いついたのもアルバムが完成する直前だったので、これは次に取っておきたいなと思っていたんです。それで今回のアルバムの制作が始まって、最初は「00:02 (You & I)」がファンの方に向けたメッセージソングになることは決まっていなかったんですけど、トラックは最初の打ち合わせの時からあったんです。Sunnyさんもトラックを聴いて「この曲は絶対入れた方がいい」と言ってくださって。じゃあこの曲であのやりたかったことをやりたいですとお話して、数ヶ月後のファンミーティングで、「その場で声を録るのも面白いかもな」と思って。6公演あったので6回分録らせていただきました。

ーー「こういう風に歌って」ってメロディを教えて、そのまま歌っていただいた声を録音したんですか?

NOA:そうです! 僕がまず歌うのを聴いていただいてから皆さんに練習していただいて、録って、を繰り返して。僕が逆の立場でも恥ずかしいと思いますけど、最初はみんなちょっと小声だったりして(笑)。僕もいい意味で未だに慣れないというか、声が入ることでメッセージや厚みが増して、貴重で感慨深い曲になりましたね。

最新の自分しかいない『Primary Colors』

ーー前作と比較しても、さらに多様な曲が増えて世界観も広がったように感じます。

NOA:『NO.A』は既存曲があったからこそ、過去の自分も混ざってたんですけど、今回は最新の自分しかいないので、そんな自分をお届けできるということに、緊張もわくわくもしているという感じです。細かくこだわらせていただいたアルバムなので、『NO.A』以上に自信が持てるアルバムになったなという手応えはありますね。いろんな人に届いてほしいです。

ーーこのアルバムの楽曲を、ライブで披露するイメージはもうできていますか?

NOA:この曲はこういう風にパフォーマンスしたいというのは何となく考えながら作ったので、頭の中にあるといえばあるんですけど、初めて作ったジャンルもあるからこそ、いい意味で未知な感じもします。新しい表現の仕方…それが舞台上のセットなのか、映像なのか、または振り付けなのかまだ明確ではないのですが、1曲ずつ新鮮なものでお届けしたいなと思っています。7月のLINE CUBE SHIBUYAがどうなっているのか、僕も今から楽しみです!

ーー「between」のリリースの頃に、新たなフェーズに突入したとおっしゃっていましたが、現在地としてはどのあたりになるのでしょうか?

NOA:今はアルバムが完成して、気持ち的には第2章の始まりという感じがあります。有明アリーナの2日目を終えた時に自分なりに感じた反省点や、もっとこういうことができたなっていうことを早く次に生かしたい、進みたいという気持ちもあって「between」を区切りに、新しいフェーズに入っていった感覚です。「BURN」もそうなんですが、『NO.A』とは違う自分をもっと出したいという気持ちが生まれていました。あの時にはもう『Primary Colors』の中の曲のようなものをやりたいという思考があったので、「今はただの発想だけど、具体的にどうやったらできるんだろう?」ということを考えて、モード的に切り替えていた感じがありますね。

ーーNOAさんにとって、アルバムとして作品に残すというのはどんな意味がありますか?

NOA:その時の時代を表すものでもあるし、自分自身を0から100までたっぷり表せるのがアルバムだと思います。シングルだとどうしても1曲の中で表現しなければいけないので。アルバムは表現したいことがすべてできるので、表現者としては嬉しいものですし、その後にツアーやイベントを通して物語が始まるという意味では、一冊の本のような感じですかね。『NO.A』という僕なりの時代やストーリーがあって、今は『Primary Colors』という第2章がはじまったという感覚です。

編集後記

NOAさんへの2回目の取材。

インタビューでの発言や、撮影で見せる表情からも、さらに自信を身につけたように感じられました。

前回の『NO.A』インタビューでは「自分の色をなくさない」と話していたことが印象に残っていました。

そして今回の『Primary Colors』。

まさにチャプターでつながっているような感覚があります。

ページをめくるたび、無限に広がる色の世界にいざなわれる『Primary Colors』。

ここからどんな色が足されて、どんな物語が紡がれていくのか。

第2章、『Primary Colors』の楽曲をNOAさんがどんな風に表現していくのか、楽しみにしています。

美術提供:水口麟太郎
撮影:小山恭史
インタビュー・文:長谷川チエ


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ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!