【T-POP自由研究レポート#1】タイの音楽について勉強してみた

タイ ワット・アルン

Culture Cruise、夏の自由研究。2022年はタイの音楽について学ぶことにしました。連載としてレポートしていきますが、#1は序盤として、タイについての勉強と、筆者が知っていたアーティストを取り上げたいと思います。

タイの音楽をテーマに選んだ理由

CHET Groupの新レーベル「CHET Asia」が、タイの音楽レーベル「High Cloud Entertainment」の日本独占エージェントを開始したと発表されたのは2022年3月のこと。

タイの音楽シーンは本格的に日本進出を、というかアジア各国とコラボして規模を拡大し、世界進出に拍車をかける意図が見えてきました。

一方、Culture Cruiseでは最近、タイから記事を読みに来てくださる訪問者が増えていました。

読まれているのは日本のダンスボーカルグループであるBALLISTIK BOYZのインタビューやレビュー記事が多いのですが、彼らも2022年8月から半年間、PSYCHIC FEVERとともに拠点をタイに移すということで、その影響で読まれているのだと思います。

インタビューでお世話になったBALLISTIK BOYZさんの船出。そしてサイトに訪問してくださるタイの方々。

日本からタイを知ろうとする機会が、もっと増えても良いのでは?と考えました。

さらに、夏の自由研究として、毎年一つのテーマを掘り下げているので、やるなら今だ! と思い立ちました。

ということで、レポートと言ってもほぼ私のひとり言のように進んでいく記事ですが、一緒に勉強するような感覚でお付き合いいただけたら嬉しいです。

タイについて勉強!

タイ王国(Kingdom of Thailand)

面積:約51万平方キロメートル(日本の約1.4倍)
人口:6,617万人(2021年)
首都:バンコク
言語:タイ語
宗教:仏教 94%、イスラム教 5%

外務省 HPより

日本からタイへは、直行便で約6時間。
時差は、−2時間(日本が進んでいる)。

気温は年間を通して高く、平均気温は30℃以上。
雨季と乾季の他に暑期が3~5月にあり、40℃に達することも。
6~10月の雨季には、冠水クラスの雨が降ることもあるそうです。

個人的な調査では、室内に入った時の空調がとんでもなく効いている。防寒着が欠かせないと友人が話していました。

ちなみにTOP画像にあるのは、アユタヤ時代に建てられた「ワット・アルン」で、観光スポットとしても有名な寺院です。三島由紀夫の小説『暁の寺』の舞台にもなっており、私はここに食いついてます。

<タイ料理>

文化を知るには胃袋から! お料理についても軽く勉強します。

タイ料理は中国やカンボジア、マレーシアなど周辺諸国の料理の影響を受けており、香辛料、ハーブなどの香味野菜を多用しています。

辛味、酸味、甘味などが複雑に組み合わされた味付けも特徴で、味付けの基本はナンプラー(魚醤)。

「タイ料理といえばガパオライスじゃん!」と喜び勇んで調べてみると、実は日本で作られた料理名なのだそう。

ガパオライス(カオパットガパオ、th:ข้าวผัดกะเพรา、ガパオ炒めご飯の意)- 日本のタイ料理屋にて提供されているガパオライスであるが、これは日本にて作られた料理名であり、そもそも現地でガパオとはホーリーバジルという意味であり通じないことが多い。単にパットガパオは、ガパオ炒めでありご飯は付いていない。

Wikipediaより

wikiさんからのご指摘ぴしゃり。ガパオライス好きなので軽くショック。観光地とかにはありそうですがどうなのでしょうか。

その他、写真にあるカオマンガイ(鶏肉料理)、トムヤムクンスープ、ヤムウンセン(春雨サラダ)、ロティ(薄く伸ばした生地でフルーツや卵などを巻いたもの)などが有名だそうです。

デザートはカオニャオ・マムアン(もち米とマンゴーのココナッツミルクソースがけ)や、ブアローイ(温かく甘いコナッツミルクに色とりどりの白玉団子が入ったもの)などのもちもち系、さっぱり系ではマンゴーなどのフルーツのもの(それでも甘いらしい)が多いのだそう。

<タイ音楽の歴史>

お腹が空いてきたところで、ここからはお菓子を食べながら本題の音楽について掘り下げます。

タイのPOPSは「T-POP」「タイポップ」とも呼ばれ、インドネシアなどとともに、東南アジア音楽として近年注目を集めています。

グローバルな視点でのマーケティングもさかんで、日本のエンタメ市場への参入やコラボも積極的に行われています。このあたりは今後の記事でも触れていきます。

タイの音楽は、60年代ロックなどを中心に、海外の音楽が流れ込み、外資系のレーベルが参入したあたりから多様性が広がりました。

90年代のベーカリーミュージックの登場以降、音楽性が変わり、ファッションを含めたHIP HOP文化が柔軟に取り入れられるように。

個人的には、日本に比べて音楽レーベル(RSなど)が主体となって流行を生んだり、音楽シーンを牽引している印象があります。

タイ音楽の歴史はこの動画1本で自由研究が完結しそうな勢いできれいにまとまっているので、ぜひ観てみてください。

私が元々知っていたT-POP

この自由研究を始めてから、タイの音楽をいろいろ聴くことになりましたが、元々私が知っていたアーティストを挙げていきます。

このレポートは、そもそもどれくらいの知識があるライターが書いているのか、参考にしてみてください。ガパオライスの真実をWikiに教えてもらってるくらいなので、そんなに知見が深いわけではないです。

まず、タイのアーティストとして真っ先に思いついたのはSTAMPさん。2019年に来日された時、都内のフェスで少しご挨拶をさせていただいたことがあります。長身で、一瞬のご挨拶でも分かるレベルで優しい方でした。

あとは、BLACKPINKのLISAさんはメンバーの中で唯一のタイ出身。

さらに思い浮かんだのは、AKB48の姉妹グループでバンコク発祥のBNK48。インドネシア・ジャカルタ発祥のJKT48とともに、海外の48グループとして頑張っています。

ラッパーで音楽プロデューサーのF. HEROさん。この後のレポートでも何度も登場します。

88risingの一員としてコーチェラにも出演したMILLIさん。INK WARUNTORNさん。

だいたいこんな感じでしょうか。無意識に聴いているアーティストもいるかもしれないですが、少ないですね。これから勉強していきます。

この中から少しピックアップします。

STAMP

タイで国民的人気を誇るSTAMPさんですが、日本語の楽曲や、日本のアーティストとも積極的にコラボをするなど、海外進出も果たしています。

2022年8月には、自身の楽曲「Nobody Knows」のJapanese ver. として、向井太一さんをフィーチャーしています。その他、数々のアーティストとコラボしているので、2回目以降のレポートでも取り上げます。

BNK48

2017年にデビューしたBNK48は、バンコクを拠点に活動しているAKB48グループの一つ。2022年5月には、AKB48「さよならクロール」(2013年)のカバーをリリースしています。

ちなみに同じタイ発祥として、チェンマイを拠点とするCGM48も2019年より始動しています。

こうして俯瞰してみると、表情の作り方、目線の配り方、衣装も振り付けも。48グループのアイドル文化は非常に独自性が強く、日本の土壌で育まれたポップカルチャーなのだと、今さらながら気付きますね。

それを丁寧に咀嚼しつつ、タイ流に発信していくというのはとても難しいことだと思うのですが、タイ語の発音はJ-POPアイドルの曲調と相性が良いように思います。

F. HERO

F. HEROさんについて知ったのは、BABYMETAL「PA PA YA!!(feat. F. HERO)」(2019年)がきっかけだったと思います。Rick Rossに似てるなーとか思ってました。

ライブにもゲスト出演。2:15くらいから出てきます(音量注意!)。

Stray KidsのChangbinを客演に迎えたMILLIとのコラボ楽曲「Mirror Mirror」など、人気曲も多数。

「2gether」

タイのエンタメとしては、BL系のドラマが人気だということも聞いたことがありました。

特に「2gether」は、放送後にはTwitterで世界トレンド1位を記録するほどの人気ぶりだということで、海外ドラマにもBL系にも疎い私ですら、主演のお二人のことは知っているという感じでした。

「2gether」本編にトライしてみたのですが、私はまだその領域に到達できず断念しました。もうちょっと勉強して出直します。

ちなみに、主演のBRIGHT VACHIRAWITさんはF. HEROさんの楽曲「Sad Movie」でフィーチャーされて話題になりました。

前述したように、タイの音楽はレーベル発信で流行が生まれていく気がしていたのですが、近年注目を集めているのがF. HEROさんが立ち上げたHIPHOPレーベル「High Cloud Entertainment」。

LDH JAPANとパートナーシップを締結したレーベルでもあります。

3,500字、原稿用紙9枚分に達してしまいました!

ここからまた長くなりそうなので、このレーベルのことなどは次回以降のレポートで触れていきたいと思います。

Culture Cruise夏の自由研究 #1、ご覧いただきありがとうございました!

文 / 長谷川 チエ

#2はこちらから


▼Culture CruiseのT-POPプレイリスト

▼BALLISTIK BOYZインタビュー(前編)

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!