【1年分のプレイリストが完成!】Culture Cruiseが選ぶ2020年トップソングを発表します

葉山:チエさん!Culture Cruiseセレクトのプレイリスト「Let’s Cruise – 2020」完成しましたね!

長谷川:記事で紹介した曲のプレイリストは以前から作っていたけど、オリジナルでセレクトしたのは今年初めてだったね。「真夏のプレイリスト2020」もだし、膨大な中から選ぶのは大変だったけど楽しかった!

葉山:私みたいに音楽に詳しくない人にとっては、チエさんのようなヘビーリスナーの選曲は新しい音楽を教えてもらえてありがたいです。このプレイリストを軸として、2020年の音楽について聞かせてください!まずは選りすぐりを何曲かピックアップしましょう。


Culture Cruise的トップソング

iri – Sparkle

長谷川:「Sparkle」はアルバムリードでSONYとのタイアップ曲なんだけど、大役をこなしながらも、めちゃくちゃ名曲だなと思って選びました。

CMタイアップだと、サビだけ先に作ってヴァースとのバランスが崩れてしまうことがあるけど、サビは30秒の印象的なメロなのに、1曲を通してバランスが良いし、アレンジ含め、覚えやすいのに単純じゃないというか。

葉山:この曲かっこいいですね!同じアルバムの「Coaster」もリストアップされてますね。

長谷川:ベースラインがかっこいいアシッドジャズだね。「Sparkle」に引けを取らない名曲だと感じたので、こちらも選びました。記事の最後にあるリストから聴いてみてください。

Rin音 – 夜明乃唄

長谷川:Rin音さんはマイルドな声質で心地良いですよね。日常の延長という感じで、無理にラップをねじ込む感じもまったく無いし。

葉山:たしかに、歌とラップの境い目が自然ですね。流行した「snow jam」にしなかったのはなぜですか?

長谷川:「snow jam」もすごく良かったけど、その後出た曲たちも素晴らしいよねっていう意味で。

葉山:謎解きなの(笑)?それは聞かなきゃ分かんないわ。

長谷川:何気にどの曲も入れた理由がちゃんとあるんだ。あれだけヒットしたのに、安定して良い曲作るのがすごいと思って。チルなラップは今後も流行するだろうけど、Rin音さんのように名曲を出し続けられるアーティストさんは少ないかもしれないですね。

FAKY – ダーリン (Prod. GeG)

長谷川:まず、GeGさんをプロデューサーに迎えたところが良いと思った。意外な掛け合わせで、面白くならないはずがないという感じ。こういうレイドバックで気だるい曲調を待ち望んでたんですよ。個人的には歌詞も、街の日が暮れていく歌とかで良いんだけど。

葉山:渋くなっちゃう(笑)。

長谷川:GeGさんはエモい曲のプロデュースがとても上手ですよね。2020年のFAKYはそういう表現がハマったというか、新たなストロングポイントを身に付けた気がします。

11月リリースの「 little more」もすごく良かったので、原色だけでなくくすんだ色を増やしてくれた感じで、もっと好きになりました。あとメンバーのAkinaさんがスタートさせたソロプロジェクトがかっこよくて、個人的に大注目しております。

King Gnu – 千両役者

長谷川:これはもうスタンディングオベーション! 3分ぴったりの曲なんだけど、その間、私呼吸止まってると思う(笑)。まったく隙がないんだよね。曲調もだけど、技術的にも。

4人ともとんでもなくスキルフルなんだけど、リズム隊がいかにこのバンドを支えているかがよく分かる曲でもあるんじゃないでしょうか。「Sorrows」とかもそうだけど。

葉山:素人が聴いても上手いのは分かります。リズム隊とは何ですか?

長谷川:ベースとドラムね。もし自分がバンドマンだったら絶望してたと思う。何ならライターなのに絶望した(笑)。この曲の良さを文章では表現できないし、こういう時文章って太刀打ちできないなと思う。

葉山:でもそこに挑むのがCulture Cruiseじゃないですか!私なんて「ドコモの5Gだなー」くらいしか気付けないので、その向上心がある時点で大丈夫だと思いますよ。

長谷川:頑張るわ。年末にパッて出して全部回収していった感じがとにかくかっこいい。

SEKAI NO OWARI – umbrella

長谷川:ドラマのタイアップでもあるけど、曲単体でもイントロからの転調でストーリー展開がはっきりあって、サビの途中のテンポアップなど、歌謡曲のテイストも取り入れている。私の解釈が合っていれば、この曲の主人公「傘」なの。

葉山:え!それは知らなかったです。

長谷川:江戸川乱歩の「人間椅子」みたいな。擬人化とも取れるし、結局は人間なのかな。End of the Worldとの棲み分けがあるからこそ、歌謡曲っぽい感傷的な情景描写に振り切れたのかなぁという気もします。

葉山:End of the Worldの曲も選んでましたよね?

長谷川:Rina Sawayamaさんの「Bad Friend」のリミックスですね。この曲のリミックスはいろいろ出ているんだけど、中でも原曲との距離の取り方が上手だったので選びました。

藤井風 – 青春病

長谷川:今年もっとも良い買い物だったのは、藤井風さんのLPです!藤井風さんの記事を、1年間ずっとしたためてきたんです私。でも1秒も飽きなかったことがすべてを物語っています。

藤井風さんの音楽について、1年間書き続けたライターの日記全文を公開します

葉山:こんなに1人と向き合っておいて1記事しか書かないライターいないよ(笑)。「青春病」と「帰ろう」がリストアップされていますが、チエさんの好み的に「何なんw」を選ぶかと思っていました。

長谷川:サブスクでは2019年には公開された曲だったので、2019年のイメージがあって。どの曲も良いから僅差でしかないけど、「青春病」は大サビに向けて音がずっしりするのと、ベースラインが最高です。

2020年に本当に素晴らしいアーティストがデビューされたなと思って、風さんの曲は絶対に選ぼうと思っていました。

葉山:それを聞くと、この2曲がまた大事に思えてきますね。

2020年の音楽

長谷川:今年はオフラインでのライブができない中、オンラインで工夫を凝らしたり、宅録できる環境を整えて曲をリリースしたり。エンタメにも新たな価値観が生まれた年だと思います。

2021年は回復できる部分と、引き続き自粛や様子見ムードも継続すると思いますが、2020年のエンタメの在り方を教訓に、さらに進化するのではないかと思います。葉山ちゃんはどうだった?

葉山:外出自粛で家にいると、普段音楽聴かないのでテレビとかになるんだけど、どうもフィットしなくて。そしたらチエさんが、「こんな時だからこそプレイリスト作ろう」って言った時はすごく良いアイデアだと思いました。

Culture Cruiseのプレイリストは、マンガ読みながらかなり聴きましたよ!それでプレイリスト自体に興味を持って、いろんな人のを聴きました。でも本当にチエさんのが一番良かったんです。良い曲ばかりだし、チエさんが選んだと思うと愛着がわくんですよね。選ぶ人のキャラクターも伝わるなと思って。

長谷川:ありがとう!誰が選んだのかっていうのも大事なのかもしれないね。今年はDIYアーティストが頼もしかったし、日本語ラップも元気だった気がします。

KID FRESINOさんとかRyohuさんとか、最近はトラックの質が高いのも特徴的ですね。ストリーミングだと、いきなりカーソルびゅんって飛ばして試聴するから、フックがしっかりしてないと、流れでラップを聴かないんじゃないかなと。

その聴き方が良いか悪いかは別として、結果的に全体のレベルは上がっていますよね。Rin音さんやsloppy dimのようなチルなラップは、今までラップを聴かなかったリスナーにも受け入れらるんじゃないかな。2021年もトレンドは継続しそうですね。

全75曲のプレイリスト

葉山:プレイリストにも入れたShinn Yamadaさんには、実際にインタビューにも行ったじゃないですか。(光と影が重なり合うShinn Yamadaという音楽)

あのスピード感が良かったし、Culture Cruiseならではだと思いました。プレイリストに入れる基準って何ですか?

長谷川:実際にお話聞きに行っちゃうって良いよね。構成やアレンジが面白いとか、たくさん聴かれるべきだと思った曲を選びました。

このプレイリストに入れている時点で相当お気に入りなので、入っていないから良くないとかじゃないですからね。バランスも考えてのことなので。

葉山:じゃあここに登場した6組はとんでもないってことですね(笑)。アーティスト側も、どんなアーティストと一緒に自分の曲が並んでいるか、参考になるんじゃないですかね?

長谷川:たしかに、日本のリスナーは自分の推しの人の曲を集めたプレイリストを作る傾向があるから、こんなに何十組もの多ジャンルが一つになることって、実は少ないのかもね。

AIが選んだものではなく、一個人のリスナー側も発信することで、好きなアーティストの後押しになることも伝わったら嬉しいですね。

葉山:曲順も配慮されているんですよね?

長谷川:ステイホームがテーマの「House Party」から始まり、今年は外出もままならなかったから、自宅でBGMとして流しても違和感なく聴ける構成を意識しました。

そして最後には、今年問題になった「Black Lives Matter」がテーマの「Yonder」。最後から2番目の藤井風さんは今年大活躍で、「帰ろう」は死生観に光を照らすような曲なので、2020年にリンクする気がして。この3曲だけでも、2020年が心に刻まれるなと思いました。

コロナ禍でも音楽を届けて、支えてくれたアーティストさんに感謝したいです。

2020年もCulture Cruiseを応援してくださった皆さま、ありがとうございました!


▼2020年の年間プレイリストはこちら▼

▼眠りたいけど眠りたくない夜のプレイリスト▼

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!