FlowBackが繋いだ音楽 “Connect”ツアーファイナルレポート

2019年2月2日、FlowBackの全国ツアー『LIVE TOUR 2019-2020 “Connect”』ファイナル公演に行ってきました! SPiCYSOL、FIVE NEW OLD、claquepotとの豪華な対バン形式のライブだったので、それぞれ少しずつ感想をまとめました。

FlowBack LIVE TOUR 2019-2020 “Connect”

ダンスヴォーカルグループがゲストを招いて、対バン形式で行う全国ツアー。

オープニングアクトで一緒に回るくらいはあったとしても、こういったケースはとても実験的で、とにかくその気概が素晴らしいと感じました。

私はこの対バン形式の全国ツアーを彼らが選択したことにとても興味を持ったし、ゲストの面々を見て、これは本気のやつだと思いました。

改めて出演順にリストアップしてみるとこんな感じ。

  • Ghost like girlfriend
  • BananaLemon、Your Friends
  • SPiCYSOL(全3回出演)、Rude-α
  • KAIKI、Leola
  • Bentham、さなり(全3回出演)
  • THREE1989
  • claquepot、FIVE NEW OLD

いやもう大好きなアーティストばかりだし、Culture CruiseでもインタビューなどさせていただいているTHREE1989さんとのライブとか、Ghost like girlfriendさんもめちゃめちゃ行きたかったんです。

さなりさんなど注目のアーティストも名を連ねている、素晴らしいブッキングですね。

そして拝見したのはツアーファイナルの人見記念講堂での公演。対バンということに重きを置いて、この日パフォーマンスされた曲を、独断で数曲ずつ挙げてみました。

SPiCYSOL

トップバッターはSPiCYSOLでしたが、その前にFlowBackがパフォーマンスをして、会場を温めてくれていました。

ホスト自らオープニングアクトを務めるという、素晴らしいおもてなし精神。

そしてSPiCYSOLの登場! しかもいきなりの「Traffic Jam」! ぎゃーん、好き。

FlowBackのファンに見守られる中、トップバッターはやりにくさもあったと思いますが、このツアーでの参加は3回目、しかもファイナルまで見届けてくれるという準レギュラーばりの落ち着きも見せつつでしたね。私はめちゃくちゃテンション上がってました。

SPiCYSOLは今までライブハウスでしか拝見したことがなかったので、ホールに響き渡るKENNYさんのヴォーカル。絶好調で、もうこれだけで来て良かったと思った(早)。

潮風を感じるようなサウンドが彼らの持ち味ですが、内陸感たっぷりで重厚かつ歴史のある昭和女子大学人見記念講堂で聴くSPiCYSOL。これがどんな空気になるのか楽しみにしていたのですが、とても趣きがありました。

多様なジャンルを織り交ぜたSurf Beat Music、そこには都会的な要素も感じ取れるので、どんな場所でも違和感なく聴けるのかもしれません。

セットリストはパブリック向けで、繰り出す曲すべてがテッパン。対バン万歳です。

「Honey Flavor」

YouTubeが独自に行っている『YouTube Music Session』プログラムでのパフォーマンスMV、バンドの雰囲気にも合っていて素敵ですね。

KENNYさんの印象的なフェイクがこの日も冴え渡っていました。どう生きてきたらあんなに優しい声授かれるのでしょうか。

「Coral 」

ホールで聴く「Coral」。ライブハウスとはまた違った雰囲気で、この空間にとても合っていて聴き入ってしまいました。

「SPiCYSOLのライブがホールで観れるのか!」そう思った私は、彼らの出演がなかったら、この日のライブに来ていなかったかもしれない。

小さなConnectの連鎖が私をここに連れてきてくれた、と壮大な妄想にふけりながら、不思議な感覚に陥りました。

もっと長く浸っていたいと思わせるような、爽やかな余韻を残してくれたSPiCYSOLさんでした。

FIVE NEW OLD

FlowBackさん、FIVE NEW OLDさんを対バン相手に選んでくれてありがとう! ナイスすぎます。

とにかくグルーヴがずば抜けているので、自分がニューヨークにでもいるのではと錯覚してしまうほど、クオリティの高さには毎回驚かされます。

Vo. HIROSHIさんの流暢な英語と、日本語は関西弁、何ていうか控えめに言って最高なんですよね。

「By Your Side」

HIROSHIさんがMCでさらっとかけてくれる言葉は、いつも素敵なんです。

この日も「今日過ごした時間があなたの新しい喜びに添えられますように」「新しい靴で歩く街並みが、いつもより素敵に見える時のような、そんな感覚を持って帰ってください」と(いうようなニュアンスだったと思う)、おっしゃっていました。

豊かなセンスをおすそ分けしてもらえるような、そんな気分になるのです。

「What’s Gonna Be?」

気付いたらみんないつのまにかクラップしてるみたいな、観客巻き込み型ハイクオリティバンド、この日は初見の方も多かったと思いますが、そんなことはお構いなしに巻き込んでいました。そういう強いとこ好き。

「Ghost In My Place」

どうなってるの? この曲。センスのかたまりでは。

国境も性別も関係なく、聴いた人みんなに「かっこいい」と思わせるパワーがある、それがこのバンドの魅力!

FlowBackのREIJIさんもFIVE NEW OLDが大好きで、熱くハグしてくれたそうです。想像しただけで泣けるシーン!

「一緒に面白いことがやりたいと声をかけてくれたFlowBackのことを、一瞬で好きになりました」と語り、FlowBackに花を持たせるMCが素敵でした。

2020年は10周年というアニバーサリーイヤーのFIVE NEW OLD。素晴らしい年になりますように!

claquepot

イントロと同時に黄色い声援。すごい人気! みんなその声どこに隠し持ってたのさ?

claquepotが観たくて来た、という方も多かったようでした。メインの音楽活動もありますが、公式的にどこまで両立しているのか、あまり分からないのでそんなに話は広げませんが、本当に多才な方です。

そういう意味では、シンガーソングライターというよりも一つのプロジェクトと捉えた方がスムーズでしょうか。

claquepotは、このサブスク時代を強く追い風にできるアーティストではないかと思います。

1曲の中に聴きどころがたくさんあるので、どのセクションを聴いてもクライマックスがあるんです。

「pointless」

キャッチーなコード進行のようでいて、スタイリッシュで実験的でもあるところがすごい。

この日はサポートメンバーを交えたパフォーマンスだったので、ライブで聴くと音源とはまた違った印象です。

「choreo」

ドラマチック止まらん。かっこいい。

人見記念講堂の会場はご自身最大規模だとおっしゃっていましたが、趣味の延長から自然と始まったというこのプロジェクトも、そんなスタンスから生まれた空気感こそが魅力になっている気がします。

なんていうか、時間の流れ方が独特なんですよね。

「finder」

この曲が聴けたのも嬉しかったです。自然体だけど物足りなさもなくて、ちょうど良い温度感。

他にも「ahead」や、この日も披露されていた「バイバイ」など、良い曲がたくさんあります。

プロデュース力にも長けているclaquepotさんも、多ジャンルの音楽ファンをConnectしてくれる存在であり、この日もオーディエンス同士の架け橋になってくれていました。

FlowBack

ラストは今回の主役、FlowBack。会場は最高潮の熱気に包まれました。

個人的には、REIJIさんのパワフルで安定した歌声やMCで機転を利かせられるところなど、ライブならではの魅力が発揮されている点に注目していました。

「歌声はあんなに声量あるのにしゃべる時の声が小さい」とつっこまれていたMASAHARUさん、っていうくだりも好きでした。ほんとそうだなと思って。

「taste」

これこれ! ガチでプレイリストに入れて聴いていたので、観れるのを楽しみにしていました。

とてもかっこいいR&Bなので皆さん聴いてみてください。サビのエッジヴォイスが利いています。

「Fireworks」

リリースされたばかりの「Fireworks」。『BORUTO- ボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS』のエンディングテーマということで、タイアップたらしめる曲ですね。この花火、世界中に広まれ〜!

「スターライトパレード」

私がもしSEKAI NO OWARIのメンバーだったら、こんな風にリミックスされてかっこいいパフォーマンスしてくれたらめちゃくちゃ嬉しいです。

久々にカバーで「これは!」と思えるような曲で、こちらもライブ前から普通に聴いてました。アレンジに耳を傾けてほしいです。

カバーEPとしてリリースされていますが、これもある意味でのConnectですよね。

ライブではライティングがひときわキレイに映えていました。全体を通しても、バラードセクションでは雪の結晶が映し出されたり、印象的なライティングでした。

彼らのライブを観て自分がどんな風に感じるのか、未知数だったところもありましたが、終わってみると、とても豊かな気持ちで会場を後にする自分がいて。

バンド同士の対バンを観る機会は普段からよくあるのですが、こういう形のものは新鮮で、久々に良い対バンを観た気がします。

最後に皆さんが並ぶ姿も目にすることができて、ハグまで見届けられて嬉しかった。バンド同士だと、並ぶことも意外となかったりするんですよね。

今回のツアーで出演されたアーティストは、普段ライブハウスでライブをしていたりしますが、FlowBackのファンがそういう音楽に興味を持ったり、反対にバンド好きな人たちも、FlowBackのようなアーティストのライブにも足を運ぶ。彼らはそんな光景を思い描いているのだと思いました。

FlowBackの皆さんの想い、しっかり受け止めました!

小さなConnectから大きな繋がりに

このツアーのテーマがなぜ“Connect”だったのか、なぜ“Connect”でなくてはならなかったのか、私は理解できていなかったかもしれません。

アンコールの最後にMCでTATSUKIさんはこんなことをおっしゃっていました。

『ダンスヴォーカルグループというだけで、音楽を愛する心が届かず、色眼鏡で見られたり、一歩外に出ると聴いてもらえない。出たいイベントに出られないこともある。それでも自分たちの道を進んで、みんなとライブ空間で繋がっていきたい。』

この言葉で、彼らの苦悩をすごく理解できた気がしたのです。危ない、泣きじゃくってしまうところだった。

ここだけ抜粋するとネガティブなイメージになってしまうかもしれないのですが、これは最後のほんの一幕で、全体としては前向きでプラスのエネルギーを与えてくれるような、素敵なライブだったということはくれぐれもお伝えしておきたいところです。

FlowBackはセルフプロデュースもできて、楽曲の質も完成度も高いという印象はずっと抱いていました。

そしてこの日のステージを観て、彼らの真摯な想いが私の心の奥にまで届きました。

たぶん、普通に歌って踊って、それなりに魅せることはできてしまうのだろうけれど、それだけでは絶対に届くはずのないものを、私は確かに受け取った。

同じ音楽なのに壁があるのはおかしいし、ジャンルで分けて考える必要もないと思うんです。

今回、多彩なアーティストを一つに結び、繋いでくれたのはFlowBackの音楽にかける真摯な想いで、それに賛同するアーティストの皆さんもリスペクトしたい。

たくさんの人をそれぞれの会場、それぞれの音楽へと導いてくれたこともまた、小さな“Connect”が重なったからに他なりません。

この日受け取ったものを、大きな繋がりへと還元できるよう、私も“Connect”を続けていきます。

全国ツアー本当にお疲れさまでした!

文 / 長谷川 チエ(@Hase_Chie

FlowBack公式サイト

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▼FlowBackインタビュー再び!

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!