15年ぶりのm-floはデジャヴであり未知との遭遇だった(過去→未来編)

ライターの長谷川チエ@Hase_Chieです。2017年12月、15年ぶりにオリジナルメンバーでの再始動をアナウンスしたm-flo。みんなのm-floが帰ってきた!知らせを聞いた時、声にならない呻きを上げた私にとって、m-floは青春とともにずっと寄り添ってくれた存在なのです。

3月にはニューアルバム「the tripod e.p.2」をリリースする彼らについて、2回に渡って特集します(思い入れ強め)。

画像提供:「LOVE or NOT♪」© エイベックス通信放送 フジテレビジョン

新しいのに懐かしい「No Question」

キタ━━━━。゚+.ヽ(´∀`*)ノ ゚+.゚━━━━!!

ほんのり甘く、どこか切ない足跡を残す旋律。そこにノリの良いビートが同居するこの感じ。新曲なのに懐かしくて、青春が思い出されるような、ずっと前から知っていたような既知感…これこそが、リスタートを図ったm-floの真骨頂。

変わらないm-floらしさという意味では過去を象徴しているし、近未来的かつ実験的な要素もしっかりと組み込まれています(先日はサブスクリプション限定で、曲のパートを4分割に配信。4つのデバイスで再生すると曲が完成するなど、遊び心も満載だった)。

LISAさんの歌声、VERBALさんのラップ、それを包み込む楽曲。それぞれの魅力が相入れるわけで、このミスマッチなようでいて溶け込む酢豚にパイナップル、クワトロフォルマッジにハチミツみたいな関係が心地良いですね。

2002年にLISAさんが脱退して以来、15年もの年月を別々に歩んできた彼らですが、お互いがしっかりと順応していて、空白の時間がまるで嘘のようにスムーズです。

15年って自分の人生に置き換えると大変な長さですよね。いつも申しておりますように、私なんてほんっとにいろいろありすぎて波乱万丈でした。きっと彼らも例外ではないはず。

それでもブランクを感じさせないパフォーマンスからは、この15年間、3人が地に足をつけて未来を見据え、成長を重ねて今にたどり着いたことが伝わります。

15年間守り続けてきたもの

画像提供:「LOVE or NOT♪」©エイベックス通信放送 フジテレビジョン

☆Taku TakahashiさんとVERBALさんの2人で行なっていたlovesシリーズでは、多くのアーティストとのコラボ作品を次々と発表。

それでもm-floが決して特定のシンガーを採用しなかったのは、LISAさんの声を最も待望していたのが☆TakuさんとVERBALさんだったからではないか?という気がしてなりません。いつか何らかの形でまた一緒になれると、確信に近い願いを抱いていたのではないかなぁ…と。

m-floとしての活動は続いていたものの、この3人でのそれとはまったく別物だったはずです。

彼らがLISAさんとともに創り上げた楽曲やm-floのイメージを大切に守りながら活動していたからこそ、15年後の今、違和感もわだかまりもなく受け入れることができたのではないでしょうか(なんてかっこいいんだよ、紳士かよ!)。

そして今回の記事でどうしても触れておきたかった3人の素晴らしい関係性について、私がせっせと書き起こしている間に、三代目 J Soul Brothersの今市隆二さん、ベッキーさんがMCを務める音楽番組「LOVE or NOT♪」にゲスト出演した回(第22回)で、ご本人たちが語ってくれていました!

才能を認め合うのがm-flo流

画像提供:「LOVE or NOT♪」©エイベックス通信放送 フジテレビジョン

同じインターナショナルスクールに通っていた☆TakuさんとVERBALさん、その姉妹校に通っていたLISAさん。3人がハイレベルな聖歌隊に参加していた話や当時の印象など、貴重なエピソードが語られています(内容が濃すぎて紹介しきれない)。

印象深かったのは、LISAさんについて「渋いロートーンボイスと感情の詰まったハイトーンの表現力が豊か」「かっこいいんです!」と心から語る☆TakuさんとVERBALさんの(サングラス越しの)表情でした。

終始お互いを褒め合っているのが印象的で、才能を認め合い、支え合うのがm-flo流なのだなと感じました。長い付き合いの中でも、照れずに真剣に、相手の良さを語れる関係性が素敵ですよね。

3人でのリスタートまでの繋がりにも胸がジーンとしました。VERBALさんが無事でいてくれて本当に良かった…そして他の2人も支えてくれていたんだ!ありがとう(どの立場)。

個人的には、LISAさんのキャラクターや独特の間合いがかっこよすぎて大好きです(番組で今市さんも再三ツボっている)。自然と会話の中心になるような存在感のある女性ってめちゃくちゃかっこいいですよね。

歌う時はスウィートな声なのに、普段は南米のパッションを受け継ぐソウルフルな人という素晴らしきギャップ。スムースで親切な英語の発音と日本語が混ざり合っているところも心地良いのです(父親が日本人、母親がコロンビア人なのだそう)。

そして、メンバーにも話していなかったことを「ミュージカル調のビッグジャズバンドっぽいのをやりたいんだけど」と、凡人には到底イメージできっこない構想を公の場で明かす☆Takuさんの寛容さ。アイデアを出し惜しまない、“天才の余裕”みたいなものを垣間見ることができますね。


さらに深みを増したバラード

パフォーマンスでは「No Question」の他に、映画『去年の冬、きみと別れ』の主題歌「never」も披露されています。最初は断然「No Question」の方がm-floらしいと感じたのですが、「never」のいきさつを聞くと、こちらもまた時空を超える名曲だなぁと感じ方にも変化が現れます。

映画へのアンサーソングでもあり、LISAさんのm-floへの思いも重ね合わされているとのこと。しっとりと聴かせるバラードもまた健在で、さらに深みを増しています。

“自分からグループを離れた、だから戻る時も自分からアプローチした”と包み隠さず語る姿も潔くて。

そして、m-floと今市さんがもしコラボするなら?というお話。カセットシングルのA面がNew Jack Swing、B面がバラードって…発想が素敵すぎてなんも言えない。

m-floと今市さんのニュージャック。妄想の時点ですでに傑作出来上がったんですけど。ぜひとも実現させてほしいと心から嘆願します!

今回の「LOVE or NOT♪」はいつも以上に神回なので、ぜひご覧になっていただきたいです。

ちなみに、その時VERBALさんがイメージとして話題に出されていたブルーノ・マーズの曲はこちらです。

♪Bruno Mars – Finesse (Remix) Feat. Cardi B

「Bodak Yellow」で一躍人気に火がついた女性ラッパー、Cardi Bとコラボした話題作。リミックスではよりNew Jack Swing感が強調されています。

m-floの宇宙を旅する高揚感

HIP HOPやR&Bをベースに、さまざまな曲調を取り入れるのが得意なm-flo。やっと追いついたと思ったら、ブレイクビーツ、ジャズやボサノヴァなど、あらゆる音を器用に融合させ、またその先へ行ってしまう彼ら。

取り入れているようでいて、自らが変幻自在に形を変えて、音楽に溶融しているのではないか?なんていう気も。

m-floというネーミングには、“隕石”を意味する「meteorite」が由来の一部になっているそうです。彼らは一体何者なのだろう?まるで未知との遭遇のような、ワクワクと期待感をもたらしてくれます。

私にとってm-floは、音楽を通して宇宙を感じさせてくれる表現者。飛行機に乗って壮大な宇宙旅行へ連れて行ってくれるような、そんな感覚です。

ファーストスターのごとく先進的なm-flo。光のような速さで進化し続けるので、決して追いつくことはできないけれど、そのトライポッドを追いかける興奮を再び味わうことができる喜びに、しばし浸りたい。

今回の再始動では、音楽が人を繋ぐ瞬間、彼らの絆に触れた気がしました。

文 : 長谷川 チエ(@Hase_Chie


【m-flo公式サイト】http://m-flo.com/

【LOVE or NOT♪公式特設サイト】
dTV:https://pc.video.dmkt-sp.jp/ft/s0000684
FOD:http://fod.fujitv.co.jp/s/genre/music/ser0133/

【LOVE or NOT♪公式SNS】
Twitter:https://twitter.com/loveornot_music
Instagram:https://www.instagram.com/loveornot_music/

▼未来→過去編はこちら!

CultureCruise loves m-flo♪珠玉の名曲クリップ集(未来→過去編)

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!