【FlowBack『intersect』インタビュー前編】365日FlowBackでいるのが当たり前だった

2023年6月27日にミニアルバム『intersect』をリリースするFlowBackを取材しました。

3度目のインタビュー、ライブ前の貴重なお時間に、今作について語ってくれました。


個性が交差するアルバム

ーーシングル以外のまとまった作品としては『subject/object』以来、約2年ぶりになりますが、制作してみていかがでしたか?

MASAHARU:昨年はデジタルシングルとしてのリリースが多かったので、今回CD盤でリリースするということで、気持ちとしても違いますね。形になって現れるので、音楽やっててよかったなと思うきっかけになります。

TATSUKI:今まで活動する中でデジタルもCDも思い入れとしては変わらないという気持ちでやってきたんですけど、独立していざCDを作るとなると、計り知れないくらいの労力が詰まってて。それが作品となって世に出ていくということで、応援してくれている方の手元にCDが届くというのは嬉しいことだなと思いますね。

Swan.J:ちょうど独立したり、新体制になったりして、当初は手探りの中で思い悩む瞬間もあったのですけれど、FlowBackとして活動している人生の中でこの2年は一番濃かったなと思って。そういう葛藤だったり嬉しい気持ちが混沌としているというか。それが作品となって昇華されるというのは嬉しいです。

ーーFlowBackの歴史の中でも変化の大きい時期になりますよね。

Swan.J:そうなんですよね。この2年は特に、いつも応援してくれているFBF(FlowBackのファン)の皆さんや、助けてくれるスタッフさん、皆さんの力があってFlowBackというものが動いていった時期だったので「ありがとうね」っていう気持ちで作品を届けられることを嬉しく思います。

REIJI:僕は率直に達成感があります。アルバムを出せなかった2年の間に、それぞれが新しい経験をして、その分壁にぶつかったりとか。でもそれを乗り越えたから今の自分たちがいるし、視野が広がった状態で、個々のセンスやスタイルや、担当する部分での活躍がこのアルバムに集約されているなと思います。『intersect』は「交差する」という意味で、それぞれの感情はもちろん、個性も交差するアルバムになったんじゃないかなと思います。アートワークも3形態デザインさせていただいて、コンセプトに合わせて作りました。

ーー全体としてはコンセプトがあったのですか? それとも1曲ずつ作っていったのか。

TATSUKI:今回は1曲ずつ作っていったという感じかもしれないですね。

ーーでは後から「intersect」をリード曲にしようと決まった流れですか?

TATSUKI:そのあたりも、リードに縛られなくていいんじゃないかという思いが僕らの中にあって。今まではリード曲を決めるのがスタンダードだったんですけど、その概念を取っ払って、まずは1曲1曲を作ってアルバムに集約させました。

FlowBackではなかったら何者だったのか?

ーーその「intersect」という楽曲ができたストーリーはどのような感じだったのでしょうか?

Swan.J:まずツアータイトルが『intersect』に決まった時に、TATSUKIくんから「『intersect』っていうタイトルで1曲作ってみたらどうか」という提案がありました。その前にMASAHARUくんと僕で、曲は作ってたんです。のちに「intersect」となる曲を。それで、この曲でやってみようかってみんなで話して。そこから本格的に僕が作詞に入って。

ーーツアータイトルが曲のタイトルになるって新しいですね。

MASAHARU:作曲はSwan.Jメインの楽曲を作りたいと思って始めました。サビをSwan.Jが歌っているのもあまりなかったし、サビの後とか最初にラップがくることが多かったんですけど。

Swan.J:歌詞は、結成10年で365日FlowBackでいるのが当たり前だったから、例えばライブが終わった帰り道とか、ふとした時に「自分ってFlowBackじゃなかったら何者だったんだろうな」と考えたことがきっかけになっています。

ーー深い問いですね。

Swan.J:僕の中で、メンバーそれぞれの帰り道をイメージして。最初の「夕闇の帷」という歌詞で徐々に暗くなっていくというところから物語が始まっていきます。

REIJI:そのパート僕が歌ってます(笑)!

Swan.J:日常を切り取った部分が歌詞の主な題材になっています。朝が来て、またFlowBackになるという意味合いで終わってるんですけど。

ーーそれがぐるぐると日々続いていく感じですね。

Swan.J:そうですそうです。時間軸としては5, 6時間の話なんですけど。FlowBackは4人ですけど、グループでの経験は一緒なので、1人の人格とした時に、こういう時間軸で動くのかなとか。FlowBackでいることの幸せだったり、音楽で繋がって交差している部分を表現した曲です。

ーー着眼点が小説のようですね。

Swan.J:タイトルが決まってたから、それをイメージしたところからだったので、1人だったら全然書けなかったかもしれないですけど。

ーー先にタイトルを決めてしまうというのもいいかもしれないですね。REIJIさんがこのアルバムで好きな曲は何ですか?

REIJI:「Paper Plane」が好きです。10年間いろんな曲をやってきて、まさに“音を楽しむ”楽曲だなと思って。聴いてくれてる人やライブに参加してくれてる人も、みんな友達じゃね?みたいなポジティブさが好きですね(笑)。

ーー原点回帰というか、いつかのFlowBackが再現されたような気がしました。

TATSUKI:若いですよね。アルバムの並びを見て、一番最後に選んだ曲だよね。

REIJI:うん、そうだね。

『intersect』ツアーについて

ーー先に行われた『intersect』ツアーの手応えはどうでしたか?

REIJI:声が出せるようになってからのツアーだったので、一体感が出せることにびっくりして「これだなぁ」って。ライブならではの純粋に楽しむ時間が作れたのかなと思いました。

TATSUKI:この1年間での心境の変化がすごく大きくて。『SQUARE』(2022年5月開催)の時は、応援してくれるファンの方たちを安心させたいとか、まずは自分たちの意志を見せないといけないと思っていたんですけど、次のステップやビジョンに向ける余裕がなくて。自分たちのメッセージを伝えられたのかなという疑問もあったし。

ーー前回のインタビューでも、新体制初である意味全部が新曲だから、緊張するとおっしゃってましたよね。

TATSUKI:頑なに4人で一つの人格を持ってFlowBackという意思が強くて。それが変わったわけではないんですけど、好きな曲も見てきた環境も違う中で10年間一緒にやってきて、今回のツアーを迎えて、それぞれの人生が重なる瞬間がFlowBackだなと思いました。応援してくださるファンの方たちもスタッフも、一人一人の人生があって、それが交わる瞬間がFlowBackだなと強く感じたツアーでした。

ーーお客さんからも感じるものはありましたか?

TATSUKI:ありましたね。初めて来てくれる方もいれば、長く応援してくれている方もいて、そこに差が出るんじゃなくて、みんなで一個の空間を作れたと強く感じました。伝えたい想いを伝えられたツアーだったなと思いますね。

インタビューは後編に続きます。

後編ではソロ曲について、お互いの楽曲の印象を語っていただきました。

取材・文 / 長谷川 チエ


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▼後編はこちら

▼前回のインタビューはこちら

▼前々回のインタビュー(2020.7)

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!