「『後回し』にしない技術」を手に入れる20の方法

韓国のベストセラー本、イ・ミンギュさん著「『後回し』にしない技術 -『すぐやる人』になる20の方法」(文響社)についてのレビューです。




「後回し」にしない技術

 先日noteで、ブックレビューは独りよがりだからこそ、読者が幸せになるために本を選び、記事を書いていくと宣言した。

そして意気込んで訪れた書店。

小学生の頃、本が好きだった私に担任の先生は「本棚を眺めるだけで頭が良くなる。毎日10秒でいいから自分の本棚を見なさい。」と教えてくれた。

書店の本棚を見るといつもこの言葉を思い出す。

黄色い表紙が目に飛び込んできた。背表紙が並ぶ棚差しに、表紙を正面にして、後ろに何冊もストックしてある状態で置かれていた。

「『後回し』にしない技術」

パラパラとめくると、図解はなくすべて文章で構成されているが、難解な印象は受けない。余白がちょうどよくて、丁寧に作られている感じがする。

全人類が会得すべき事柄でもある気がするので、読者向けのレビューにもぴったりだと感じ、購入することにした。

初版は2021年1月。韓国で22万部を記録したベストセラーの翻訳版。

全3章、20項目という構成。情報が詰まっていて読み応えがある。

・第1章 決心する
・第2章 実行する
・第3章 維持する

プロローグには、「他人が頭だけで考えていることを実行に移す」ことが成功の秘訣であり、「実行力は練習次第で誰でも開発できる技術」だと書かれている。

そして第1章から実行力を手に入れるための具体的なアイデアが、段階ごとに解説されている。

「かの有名な誰々はこんな行動を起こしたことで成功できた。これを〜効果という。」というように、実例+心理学的な裏付けで細かく説明してくれる。日本語訳の文体も自然で分かりやすい。

以下、私自身もこれはと思った内容、かつ一般的にも役立ちそうな項目を3つに絞ってピックアップする(個人的な解釈も含みます)。

逆算スケジューリング

夢や目標があっても、イメージするだけでは挫折しやすいという脆さがある。ゴールに対する「プロセスの視覚化」こそが、日々の意識としては身近で重要だ。

計画の立て方には次の2つの方法がある。

・現在を起点に計算して目標達成の時期を推定する順行スケジューリング

・未来(目標を達成する時)を起点に、今すべきことを選択する逆算スケジューリング

本書では、後者の方が目標を達成しやすく、選択にも迷いがなくなるという。また、逆算スケジューリングの3つのステップも紹介されている。

ステップ1:達成したい目標と最終的な期限を決める
ステップ2:目標達成のプロセスにおける小目標と期限を定める
ステップ3:目標に関係する最初の仕事を選んで実践する

この方法がもたらす効果は、私自身思い当たることがあった。

自分の執筆記事で恐縮だが、三代目JSBさん10周年の記事と、藤井風さんの1年日記だ。

前者は10周年の当日に公開したいと考えた。そのためには今日何をすべきか、1か月前から逆算することができた。

後者は1年後に出すと決めて少しずつ書き溜めて編集を重ねたが、完成イメージを強く持つことが必要だった。

ここまで明確な期限を決めた記事は、確実に今までとは意識が異なる。期限の設定が甘いと公開は1日ずつずれ込み、それがよい結果を生むことは今のところ一つもない。

この逆算スケジューリングは、人生のあらゆる場面で有効だという。ライフステージにおいて、これだけは頑張りたいと思うことに応用するとよいのではないだろうか。

公開宣言効果

<公開宣言効果>

人は言葉や文章で自分の考えを公開すると、その考えを最後まで守ろうとする傾向がある。

決心を実践に移したければ、他人に向けて公言するのがよいという。これは私も時々行なっている。

「小説プロジェクトを始動!その一環として自分で小説を書きます!」と宣言した。Twitterのヘッダーやアカウント名に(小説執筆中)と書いて逃げられない状況も作った。

言わなければもっと気楽にできただろうし、もし挫折しても心の中だけにとどめることができる。

しかし、進捗はもっと遅かったはずだし(まだ途中だけど)、実現すらままならない可能性もある。精度にも違いが出るかもしれない。

SNSはこの公開宣言効果にうってつけだと感じる。フォロワーの数に関係なく、公に発信するだけで効果を増大させるのではないだろうか。

そして、思った以上に周りの人は応援してくれるし、温かい目で見てくれる。私の友人は、「自分も何か始めたい」と前向きな報告をくれた。一緒にがんばれて、いいこと尽くめなのだ。

▼自分ばかりでは張り合いがないので、ぜひあなたの公開宣言も聞かせてください。SNSやnoteであれば、フォローしていいねしていろいろ応援します。

@CultureCruise / @Hase_Chie / Instagram / note

開始にもデッドラインを設ける

人は締め切りに合わせて仕事を始める」

→時間がないから成果を上げられないのではなく、時間がありすぎるから成果を出せない。

おっしゃる通りすぎてまったく介入する余地がない。

実行力に優れた人は、「終了デッドライン」に加え、「開始デッドライン」も設定するという。

作業にとりかかるデッドラインを決めてしまう。これは非常に有効だと感じた。

さらに、「中間締め切り」という考え方や、締め切りを最大限に活用する大原則など、締め切りにコントロールされないための実践法も載っているので、続きは本書を参考にしていただきたい。

その他、「勉強の前に片付けたくなる現象」への対策や、「自己推進力を利用した最初の1%のはじめ方」などの具体案が書かれている。

また後半は、「自己イメージが自分の行動を決める」、「イメージする以上に高い場所には立てない」という力強い言葉とともに、自己イメージを変えるステップなど、継続のためのtipsが散りばめられているのもありがたい。

ここで挙げたのはほんの一部で、「後回し」というキーワードから、シナプスがいくつも枝分かれしているような本である。

読後の変化

最後に、この本を読んだ私自身への変化をまとめておく。

自分の行動を観察・記録して行動を修正する「自己観察技法」の項目があるが、自分は遅めの午前中と、夜ご飯までの夕方の時間が、もっとも集中できることを実感できた。

腹時計で生きている気もするが、「これが終わったらご飯を食べられる」という、目の前のにんじん現象が起きていると思われる。

職業柄、さんざん自分を見つめてきたつもりだったが、それは常に心の中でのできごとだった。実際に記録すると自分自身を可視化できる。

また、分かっていながら耳の痛い忠告として響いたのは「もっともよいアイデアは作業する過程で出てくる」という一文だった。

「インスピレーションが湧かない」「モチベーションが上がらない」というのは都合のよい言葉だ。

「1日15分だけ10年後の自分のために使う」と本書にもある。たった15分で良いのだ。

5年後、10年後の自分を“別の誰か”のように捉えると、今できることを頑張っておいてあげたいという気持ちになり、行動が変化するような気がする。

10年後はもっと上手なレビューをお届けできるよう、1日15分を重ねてみようと思う。


冒頭でお話した「本棚を眺めるだけで頭が良くなる」という担任の先生の言葉。

「頭が良くなる」にはいろいろな意味が含まれていると感じ、何十年もかけて私はその答えを集めています。

この本は読後、背表紙が目に入るだけでやる気を起こさせてくれるようになりました。これもきっと、その答えの一つなのだと思います。

文 長谷川 チエ

▼時間管理術を学ぶ

100年前の名著に学ぶ『自分の時間』の作り方

▼著者に会いに行っちゃうシリーズ

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!