著者のF太さんに会いに行きました!『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』

Featuringプロジェクト、今回はひらめきメモのツイートで人気のF太さん(@shh7)をお迎えしました!

それぞれのアカウントを合わせると約40万人ものフォロワーさんを持つインフルエンサーさんです。今回は最新の著書や、普段あまり知る機会のないF太さんご自身のことについてお話を伺いました。


F太さん × Culture Cruise

ーーF太さん、お久しぶりです。ご著書の出版おめでとうございます! 現在4万部を突破されているそうですね!

F太:ありがとうございます! この本の特性上、ライフハック的なジャンルとして扱われることが多いので、音楽やカルチャーがメインのサイトで取り上げていただいて良いのかなと思っていたのですが。

ーー何をおっしゃいますか! F太さんのご活動はめちゃくちゃカルチャーですし、それくらいの方が化学反応が起きて面白いと思っていますので。

F太:ありがとうございます。サカナクションの記事とかすごいなと思って。あれはどうしてサカナクションを取り上げたんですか?

ーーあれはですね(…とF太さんの聞き上手ぶりが序盤から炸裂し、気付くと私が調子に乗って語り出すシーンが多々ありましたので省略します)。

ーーさっそくですが『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』拝読いたしました。読者からの反応はどうですか?

F太:届いて欲しい方に届いてくれたという実感があります。共著の小鳥遊(たかなし)さんはADHDという診断を過去に受けられているのですが、そういったワードはあまり前面に押し出さずに、等身大の失敗談とか試行錯誤した具体的な結果を散りばめたんですね。

そしたら、「筆者のエピソードが刺さった」とか「ADHDがきっかけで買ったわけではないけれど、その部分に共感できた」というお声をいただけました。

ーーADHDの診断を受けるところまではいかなくても、その傾向があった方々が自分を見つめ直したり、この症状が理解されるきっかけにもなったかもしれないですね。

F太:そうなんですよね。特に小鳥遊さんが、ご自身の過去のリアルなご経験を惜しみなく本書にぶつけてくださっていて、それらのエピソードは、「なぜか自分はこれができない」といった傾向がある方に読んでもらいたいなと思っていたので、とても嬉しかったですね。

“意識の低い”ビジネス書を書きたかった

ーーこの本ができたきっかけは何だったのですか?

F太:元々小鳥遊さんと僕で、『自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術』というイベントを開催していたんですね。そこでサンクチュアリ出版さんの方にお声がけいただいて、だんだん形になっていきました。

ーーサンクチュアリ出版さんと言えば、月に1冊しか本を出さない出版社ですよね。

F太:よくご存知で! 頻繁に重版かかっていたり、ベストセラー本もたくさん出されているし、リサーチの段階から丁寧に本作りをされている出版社さんなんですよね。だからこそ「本当に困っている人に届くビジネス書が世の中に足りていないのではないか」という問題意識があったそうなんです。

ビジネス書って「とにかく行動だ」とか、強めの内容も中にはあるじゃないですか? でもそれって強者の論理だなという思いが僕らもあったので、「一番意識の低いビジネス書を書こう」ということになって(笑)

ーー面白い発想ですね。そのテーマを聞いて納得できる箇所が多々あります。

F太:元々、本を読まない人のための本を作っている出版社さんなので、この本もそういう意識で書きました。ちゃんと作ってちゃんと売るっていう、当たり前のことを丁寧にやっている会社で、書き終わってからが始まりなのだと気付かされ、いまだに書き終わった気がしてません!

ーーえ、まだ終わってないんだ。

F太:ここからです(笑)。コロナの影響で本を売りにくい状況の中、営業の方が書店を一軒一軒回ってくれたり、身が引き締まる思いですね。

ーーなんて素敵な会社なんでしょう。そういう出版社さんがあることはライターとしてもとても嬉しいですね!執筆する上でこだわったポイントはありますか?

F太:手順書の書き方とか、ふつうあまりつまずかないところにページを割いて解説していたり、他の類似本ではスルーされるような基本的な部分にこだわりました。自明なことを細かく解説している仕事術の本って意外とないと感じていて。でもそれがクリアできないと次に行けないので。

ーー他の類似本なら半ページくらいで終了しそうなことを、何ページもかけて深堀りしてくれていたりとか。

F太:そうそう!「つまずいてるところが三行で済ませられて次に行かれちゃった」みたいなことが、自分自身、仕事術の本を読んでいて何度もあったので、あえて細かく掘り下げることにこだわりましたね。あとは、同僚や部下、新卒の方など、周りの困っている人にも渡せる一冊になった気がします。

1日5分で日々が整う

ーーF太さんは過去に公認会計士の勉強をされていたことがあるそうですが、その頃の経験が今に生きていることってありますか?

F太:複式簿記の知識は、フリーランスになってとても役立ちましたね。今の会社では財務処理も担当しています。この本にも書きましたが、「領収書を毎日5分だけ整理する(P70)」という仕事術はとてもおすすめです。

ーーいやぁ私もフリーランスなので、読んでてグサーっと刺さりました!

F太:フリーランスの方に向けて書いた部分でもありますからね!1日5分領収書整理をするだけで勝手に整っていく感覚が味わえるんですよ。

ーーいいなぁ…早くその境地に達したいんですけど(笑)。少しずつ進めることで小さな達成感を毎日感じられますし、習慣化すれば良いだけなんですよね。

F太:そうなんですよ。手をつければもう少し続けたくなったりしますから。片付けも同じで、毎日少しでも手をつければ「片付けの途中」にすることができるので、やらなきゃという強迫観念に追われずに済みますからね。

ーー私も先送りグセを直して「勝手に整っていく」快感を早く覚えたいと思います。

Twitterから生まれるカルチャー

ーー今までの本は、〇〇大学教授みたいな肩書きがないと信用してもらえない流れがあった気がしますが「Twitterで有名なあの人の本なら読んでみよう」という親近感が今を象徴するカルチャーだと感じます。押し付けずに提案してくれる雰囲気もその傾向の一つで、この本のタイトルや文体からも感じ取れました。

F太:それは嬉しいなぁ。色々なご事情をお持ちの方が読んでくださることを想像して、書き方は気を遣いました。

ーーとても配慮が行き届いていますね。ところでF太さんのTwitterって、仕事に使えるヒントやライフハックなどに特化されているので、私生活が謎な印象なのですが、それは意識的なものですか?

F太:F太のサブ垢があって、そこではわりと好き勝手つぶやいたりはしていて、サブ垢でメモ的につぶやいたことをひらめきメモやF太のアカウントで文章にする、というのは意識しています。メインのアカウントで僕の私生活をつぶやいても誰も興味ないでしょうし、そこは使い分けですね。

ーー興味ある人けっこういると思ってます(笑)。10年以上もコツコツとツイートを続けているそうですが、それでも40万人近いフォロワーさんがつくというのはすごいですね。

F太:そこからお仕事をいただけたりもしていましたし、本当にありがたいことですね。

ーー具体的にはどんなことがありましたか?

F太:ツイートの特性上、時間管理術とかタスク管理、Twitterの運用の仕方だとか、お声がけいただいてイベントなどもやりましたね。

ーー地道に続けていたことが価値を生み出してきたのですね。一つのことにじっくり向き合うという意味では、この本の内容ともリンクするように思いました。今日は貴重なお話をありがとうございました!

インタビュー後記

最終的には哲学の深い話にまで行き着き、会話が弾みすぎてお店の閉店時間まで話し込んでしまいました。

普段は文章で向き合うことの多いF太さんですが、とても気さくで物腰の柔らかい方です。

とても聞き上手なので、いつの間にか私の話にすり替わってしまい、「そうなんだ〜」「それは面白い!」とペースを合わせながらにこやかに話を盛り上げてくださいました。

コミュニケーションの取り方も上手で、人柄の良さが言葉に反映されているからこそ、140文字で多くの人に影響を与える存在になれるのだと感じました。

次回は傾聴のスキル、ぜひ伝授していただきたいです。

この本で取り上げられている内容は、些細なことに気が付いたり、周囲に配慮する能力に長けているからこそ、陥ってしまうことも多いように感じました。

そんな優しい人が優しい人に向けて、具体的な解決策をそっと提示してくれる、読み手に寄り添ってくれる本なのではないかと思います。

個人的には、RPG風に進んでいく構成やデザインも楽しく読めてお気に入りです!

困っている人に届く本を作りたいという思いから生まれた『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』、1ページずつ丁寧に執筆・編集されているのが伝わる良書です。ぜひお手に取ってみてください。

インタビュー・文 / 長谷川 チエ@Hase_Chie


『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』

著者:F太、小鳥遊(共著)
内容:216ページ 四六判ソフトカバー
価格:1,400円+税
発行:サンクチュアリ出版

 

F太さんのTwitter
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▼カジサックさんインタビュー

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!