【インタビュー】ぜったくんの初ワンマンライブが素晴らしすぎたので会いに行ってきた

ラッパー・トラックメイカーのぜったくんがCulture Cruiseに登場! 初のワンマンライブと11月22日リリースの「Gaming Party Xmas(maeshima soshi Remix)」について、お話を伺いました。




ぜったくん × Culture Cruise

2021年11月3日の夜、まさか自分があんなに泣くことになるとは思っていなかった。東京・WWW Xにて行われた、ぜったくん初のワンマンライブ。

音楽に言葉はいらなのだと思った。いや、あの空間を表す言葉を、自分はあまりにも知らない。自分にもっと表現力があれば、どんなに良いだろう。それでも、言葉を尽くして伝えたいと思った。

記事を書いて読者に伝えたいと思ったし、ぜったくんにも「素晴らしいライブをありがとう」と一言伝えたかったのだ。だからぜったくんに会いに行った。

ぜったくんはもう次の制作に取りかかっていたが、記憶と心のチャンネルをあの日に合わせ直し、振り返ってくれた。

初ワンマンライブ『Good Feeling』


ーーぜったくん、初のワンマンライブ本当に素敵でした。終わってみてどうですか?

ぜったくん:ありがとうございます! いい夜だったなって思いますね。全部初めてのことすぎて、セットリスト考えるのとか、バンドとして音を再構築する作業があったので、とにかく頑張りました。

ーーみんなで頑張ったという感じですね。とても準備をされたんだろうなっていうのが伝わってきたんですけど、どれくらい準備していたんですか?

ぜったくん:2ヶ月くらい前からですかね。1ヶ月半前からバンドで週1で集まって合わせ始めて、最後に詰めていく作業でした。大変だったのはオープニングの芋羊羹先輩(YouTubeラジオ「ゼタラジ」に登場するAIロボット)で、1分半のオープニング録るのに2日間かけてるんですよ。

ーーそんな苦労が!? どこで録ったんですか?

ぜったくん:自宅です。芋を呼んで(笑)。

ーー芋羊羹先輩は後方にいらしたので、あまり振り返るのも後ろの方に悪い気がして、チラチラ見ましたが、そんなに大変だったとは。準備を頑張った分、ライブは一瞬だったのではないでしょうか?

ぜったくん:アンコールしていただくまでが本当に一瞬すぎて、嬉しさと悲しさとで、最後はいろんな気持ちでした。

ーーゲストの御三方が、歌ってすぐはけて、最後も出ないっていうのが何か潔くて良かったです(笑)。1曲のために人が集まった優しさというか。

ぜったくん:kou-keiはいつも来てくれて、さとうもかちゃんとkojikojiはVIP待遇です(笑)。kojikojiは東京以外の場所から来てくれてますし、3人には感謝したいですね。

ーーサポートメンバーがご本人を超えるくらい感極まってるライブってあんまりないなと思って感動したのですが、メンバーの表情は見えていましたか?

ぜったくん:それがあんまり見れていなくて、演奏中は前見てるし。でも「NiGHT SHiFTER」の時に久保ちゃんを見たら、叩きながら下向いてた。

ーーそれまではずっと笑っててくれたので、泣きながらドラム叩く姿ってこんなに感動するんだなぁと思って、印象深いシーンの一つです。

ぜったくん:3年くらい前からずっと2人編成で一緒にやってて、お客さんもいない中で。その頃に最後に演奏してた曲だったから。

ーーそれは泣きますよね。客席からは全員が見えてて、涙目でも笑顔と身振りでお客さんをリードするキミカさん(Cho)とか、KO-neyさん(MPC)も下向いてこらえてる感じだったけど、顔を上げると笑顔で。あの光景見たら誰でも泣いちゃうと思います。

ぜったくん:あーその画僕も見たいですね! カズタケさん(Key)も「気持ちが伝わるようなライブだったね」って言ってくれたんですけどどんな表情でした(笑)?

ーー毅然としていたというか、でも内に秘めた熱いものがある感じが良くてさすがでした。SUKISHAさんもしゃべり出したら一気に泣いちゃって、グッと来ました。

ぜったくん:意外と涙もろい人なんですよね。「Catch me, Flag!!?」はSUKISHA宅で録っていたこともあって、いろんな想いが錯綜しちゃいましたね。バンドメンバーにも本当に感謝したいです。

ーーいろいろな想いが詰まっていたのですね。私も年間通してたくさんのライブを拝見していますが、それでもずっと記憶に残ってくれるような、素晴らしいライブでした。

(「NiGHT SHiFTER (Strings Live Sessions 2021)」ドラムの久保さん以外のメンバーがみんないます。最高すぎる!)

「Gaming Party Xmas(maeshima soshi Remix)」について

11月22日には「Gaming Party Xmas(maeshima soshi Remix)」をリリース。この曲についても伺いました。

ーー私この原曲が大好きで夏とかも聴いてたので、ライブでも歌ってくれてテンション上がりました! どんないきさつでmaeshimaさんがRemixすることになったのですか?

ぜったくん:もともと面識はなかったのですが、曲を聴かせていただいていて、お願いしました。Zoomでやり取りしてたんですけどゲームの話で盛り上がっちゃって、64とかマリオパーティーとか。そしたらマリオパーティーをサンプリングで反映してくれてて。

ーーめちゃくちゃ相性良いですね!ヨッシーのいわゆる「でっていう」の音、大好きなのでサンプリングされてて小躍りしました。でもゲームがこの曲の大切な要素でもありますからね。

ぜったくん:根幹とさえ言えるポイントですね。

ーーそれがまた「Gaming Party Xmas」の魅力で。Remixにこの曲をセレクトしたのはなぜですか?

ぜったくん:またクリスマスが来るからです(笑)。あとこの曲僕も好きなので、時期も合うし、という感じですね。

ーーすでに原曲もビートが出来上がっている曲を、さらに再構築されていて、でもゴテゴテしてないところがmaeshimaさん流だなと思いました。

ぜったくん:原曲を知ってるからこそ、どれだけ破壊しても成り立つのがRemixの面白さですよね。破壊してくれて嬉しかった。原曲のゲーム要素もより深くしてくれています。

ーー原曲との最大の違いは何でしょうか?

ぜったくん:8bitサウンドですかね。原曲ではイントロと途中のオンラインに入り込むところの2ヶ所だけなのが、Remixではそのオンラインの世界がずっと続いてるような感じです。

ーーmaeshimaさんの曲を出すスピードに毎回驚愕してるのですが、このRemixはどれくらいで上がってきたのですか?

ぜったくん:1週間経ってないくらいですかね。僕は悩んですごく時間かけちゃうので、尊敬します。

ーーライターの目線ですと、サビの最後だけ「あなたに会いたい lonely“です”」って言い切るのとか効果的で、上手いなーと思ってたんですよ〜。

ぜったくん:そこはマジで全然悩んでいないところ。

ーー悩んでください! maeshimaさんも拾って強調してくれてますから(笑)。

ぜったくん:「です」で韻踏んだりするの好きなんですよね。あと「ねぇ」もよく歌詞で使います。これは思春期の頃に、母親のことを何て呼んでいいか分からなくて、「ねぇ」って呼んでいた時代があって、そこから来てます(笑)。

ぜったくんに相談!

Culture Cruiseではインタビュー記事にも個性を出すため、最近はゲストの方に相談っぽい質問を一つすることにしている。ぜったくんへ、長谷川から最後の質問。

ーー私は小説を書くのですが、フィクションの中に実体験も織り交ぜて書いたりすると、心が両方の世界を行き来し始めて、登場人物が夢に出てくるし、飛び出してきて一緒に行動したりするんです。ぜったくんは作品作りに没頭しすぎて、現実に戻れなくなる時ってありませんか?

ぜったくん:僕は現実に脚色する感じなので、長谷川さんみたいにフィクションと行き来したり、最終的には空想だけで書けるようになりたいくらいなので、逆にうらやましいです。実体験を織り交ぜるくらいの世界であれば、戻れなくなっても問題ないんじゃないですかね。作家さんにとってはむしろ健全なんじゃないかなという気がします。


こんな変な現象を、「健全」と肯定してくださるなんて。心が軽くなった。

ぜったくんは決して媚びることなく、でも相手を尊重しながら、冷静にその場を和やかにしてくれる人だった。

その居心地の良さについ、ぬくぬくと過ごしてしまった私は、一つ伝え忘れてしまった。

先日のライブで「Parallel New Days」が演奏された時、自然とみんなが笑顔で手拍子をして、そこに素敵な世界が生まれていた。元々大好きだったこの曲からは、あの日以来、いとおしさを感じるようになった。みんなもそうだったらいいな。

楽曲ごとに目を向ければ、日々の連続や、“僕と君” だけの小さなコミュニティだったりするが、その先にはオンラインの世界が広がっていたり、曲が集合体になった時、大きなカルチャーが生まれる。

ぜったくんの音楽にはそんな魅力がある。あの日のステージは、まさにそういう世界線だった。

ぜったくんの音楽と言葉は、日常のコミュニティにこそ、大きなカルチャーに通じる愛すべきドラマがあることを教えてくれる。

インタビュー・文 / 長谷川 チエ

ぜったくん公式Twitter

ぜったくん公式Instagram


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ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!