【T-POP自由研究レポート#4】おすすめのタイ音楽と研究結果まとめ

タイのピンカン島(ジェームズボンド島)

ライター長谷川が2022年の夏に行なった自由研究。過去3回のレポートでお伝えしてきましたが、第4弾は研究の総ざらいとしてまとめました。過去の記事はこちらから。

※ちなみにTOP画像はピンカン島。映画『007』のロケ地になったことから、ジェームズボンド島と呼ばれているそうです。


T-POPを研究した結果

2022年の7月以降タイの音楽について勉強してきましたが、実質2ヶ月以上続けていました。

“いました”というか、現在も継続してタイの音楽シーンに興味を持ち、新譜のチェックなどは行なっています。

自由研究の間だけ聴いて、レポートを書き終わったら終了という形式的なことではなく、ずっと聴き続けたいと思える魅力が、T-POPにはあると感じました。

パフォーマンス力やサウンド、映像、あらゆる面で今後の成長も期待できそうなので、興味を持つと同時に、自然とニュースが耳に入ってくるような重要な市場になってくるのではないかと思います。

執筆現在、タイに拠点を移しているBALLISTIK BOYZとPSYCHIC FEVERの発信もできるかぎりチェックしていますし、日本のアーティストが伝えてくれる情報はリアルで貴重です。

また、#3でもまとめたように、歴史的な背景もタイ音楽と密接な関係にあり、独自性も生まれていることが現在のトレンドにも繋がっているように思えます。

今回もっとも印象的だったのはそういう点でしたが、あまり掘り下げると難解なレポートになりそうだったので軽く触れました。

知識としてはもっと身につけていきたいので、需要がありそうだったら記事にしたいと思います。

研究家気分でディグっていくと、そんな深いことまで知れるので「自由研究」と名付けることはまんざら無意味でもなさそうです。

自分が外国人リスナーになって気付くこと

今回の研究では、久々に英語以外の外国語の曲をじっくり聴きました。

K-POPも聴いてはいますが、英語の表現も織り交ぜてくれていますし、日本語バージョンの曲も少なくないので、K-POPはかなり外交的ですよね。

かといってT-POPがドメスティックかというとそうでもなくて、MILLIの88risingとのコラボや、レーベルの海外エージェント契約など、世界進出をかなり意識している点も感じられます。

ちなみに、タイトルのタイ語が読めない件には何度も遭遇し、映像で見つけたものなどコピペできない情報を調べたい時は少し手間がかかりました。

そんな時、タイトルだけでも英語だととても助かりますし、実際、タイ語+カッコで英語というタイトル表記も多いです。

「ทางออก(Exit) – Patrickananda」みたいな感じで(これが本当に助かる!)。

歌詞の中に少しでも英語が混ざってくれているだけで、曲を理解するのを助けてくれます。

タイ語の歌の響きは心地よくて、意味は理解できなくても聴いていられます。歌詞も音として聴いているような感覚です。

1フレーズだけ英語、みたいな曲は邦楽でも普通にありますが、自分が外国人リスナーという立場になってみると、違和感よりも先に、まずありがたいという気持ちになることに気付きます。

日本含め、母語が英語以外の国の音楽は、みんなこのように思われているということですよね。

内側と外側から考えることで、違う視点を体験することができ、これがとても新鮮で面白かったです。音楽以外にも持つべき視点だと思いました。

頼りになった音楽番組「T-Pop Stage Show」

今回の自由研究で頼りに頼っていた、TPOP Incorporation制作の音楽番組「T-Pop Stage Show」。

2022年5月には、タイの日本大使館と協力し「タイフェステバル in Japan 2022」も開催しました。

厳密には、代々木公園で毎年やっていたタイフェスの進化版でしょうか(2021年はタイドラマフェスを開催していました)。

日本からはSKY-HIさん、THREE1989、BALLISTIK BOYZ、PSYCHIC FEVERも出演し、私も電車の中で観てました。

「T-Pop Stage Show」は日本でいうミュージックステーションのような感じで、毎週レギュラー番組を放送しており、YouTubeでアーカイブも配信してくれます。

自由研究の期間、毎週チェックすることができたのでとても役立ち、旬の音楽を知ることができました。

ちなみに日本では、いわゆる口パクだとか、被せだとか、ボーカルにけっこう厳しいですよね。

私個人の感想ですが、それは高次元の不満です。海外の番組では、堂々とリップシンクしていたり、全然ずれちゃってたりというのがけっこうあります。

番組によってあからさまにやる気なさそうな大物とか、普通にいるんです。タイを名指ししているのではなくて、世界的にそんな印象を持っていました。

日本の音楽番組のクオリティはすごいです。アーティストはもちろんですが、特に裏で支えているスタッフにも、一流の技術者たちがたくさんいます。

視野を広げると、自国のいいところにも気付けます。

とにかく「T-Pop Stage Show」にはすごくお世話になったし、今後もチェックしたいと思います。

おすすめのT-POPとプレイリスト

最後に、今回の研究で出会った素敵なT-POPアーティストを4組ご紹介して、レポートを終わりにしたいと思います。

全4回で取り上げた楽曲も入ったSpotifyプレイリストも作ったので、ぜひ聴いてください。

入っていない曲があったり、取り上げていないけど良いと思った曲が入っていたりもします。今後も更新します。

PHUM VIPHURIT

Nulbarichや野宮真貴さんともコラボしているPHUM VIPHURIT。

LUSS

LUSSはchelmicoともコラボしていたりと、日本のリスナーにもフィットしそうな予感がします。

Dept

男性2人組のオルタナティブ系バンド。SMALLROOM MUSICというインディーレーベルに所属しています。

HYBS

J-WAVEが行なった2022年9月のINSPIRE TOKYOにも出演し、初来日を果たしたHYBS。こちらはライブセッション動画です。

▼これらの楽曲はこちらのプレイリストに入っています。

今回研究してレポートを書くうちに、タイの音楽も日本の音楽もさらに好きになり、ひいてはアジア全体のエンタメの魅力を再確認することになりました。

結局は自分の「好きポイント」に落とし込んでしまった甘々、ゆるゆるなレポートでしたが、4回も読んでくださった皆さん、ありがとうございました。

Culture Cruiseはまたカルチャーを旅するクルーズに出かけて、もっと大きな船になって帰ってきたいと思います!

文 / 長谷川 チエ

▼過去のレポートはこちら

#1 タイの基本情報を学ぼう
#2 T-POPのルーツ, タイで人気のアーティスト
#3 タイの音楽レーベル, BALLISTIK BOYZ, PSYCHIC FEVER


▼BALLISTIK BOYZインタビュー後編

▼THREE1989インタビュー

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!