オンラインでOfficial髭男dismのライブを初めて観た感想

Official髭男dismが2020年9月26日、東京ガーデンシアターで行なった、1日限りの無観客オンラインライブ。初めて観た彼らの単独ライブの感想を綴りました。



『Official髭男dism ONLINE LIVE 2020 – Arena Travelers -』

今回のライブは、新型コロナウイルスの影響で延期になった2020年のアリーナツアーの公演内容を、オンラインに特化させて開催されたものです。

振替公演は別の内容になるそうなので、ツアーで全国を回るはずだったライブが、この日にすべて集約されるということですよね。

視聴はAbema TVなど7つのプラットフォームで配信され、私はU-NEXT会員でポイントがあったので、そちらを選びました。ポイント使えるっていいですね。

Wi-Fi環境などにもよると思いますが、我が家では終始快適に観ることができました。ディレイもなく、高音質、高画質でした。私は部屋を真っ暗にして、ヘッドフォンをつけて観ましたよ。

Official髭男dismのステージはフェスで3度ほど拝見したことがあるのですが、単独ライブは初めてです。本当は、今回中止になった『Arena Travelers』ツアーの東京公演に行く予定でした。

さらに、Culture Cruiseでは夏になると毎年自由研究をやっていて、例えば2019年はw-inds.を100時間研究して記事にするということをやったのですが、今年は髭男をテーマにしようと思っていました。勝手にですが。

それはさておき、初ライブの感想は1度だけなので、あえてあまり調べたりせずに、初見で感じたことを純粋に綴ろうと思います。

セットリスト

今回のセットリストを確認してみた結果、19曲中13曲がタイアップ曲とのことです。髭男さんすごすぎます。

  1. HELLO
  2. 宿命
  3. ノーダウト
  4. パラボラ
  5. ビンテージ
  6. Rowan
  7. 夏模様の猫
  8. イエスタデイ
  9. Laughter
  10. たかがアイラブユー
  11. 115万キロのフィルム
  12. 異端なスター
  13. 旅は道連れ
  14. 夕暮れ沿い
  15. FIRE GROUND
  16. Stand By You
  17. Pretender
  18. I LOVE…
  19. ラストソング

(エンドロール:日曜日のラブレター)

ヴォーカルの藤原さんいわく「通常のライブの代わりにはしたくなかった」という今回のオンラインライブ。その意思が随所に感じられる内容でした。

まだフェスでしか拝見したことのなかった髭男のステージですが、3回中3回、私は見事に泣いています。しかもしっかりと号泣です。

きっと今回も泣いてしまうだろうなぁと覚悟して観始めたら、1曲目どころかオープニングの映像だけで泣くっていう新記録を樹立。ここがまた素敵だったのですよ。

ビッグバンドの魅力

本編を振り返ってみるとですね、1曲目の「HELLO」でベースの楢崎さん(※1)とドラムの松浦さんの笑顔を観て私はまた泣きます。

「ビンテージ」の満天の星空のような演出は一見CGに見えますが、一つひとつ電球を灯しているそうで、これも泣かずにはいられない。

そうそう、大切な情報としては、小笹さんのCouchのギターストラップに描かれた3匹の猫ちゃんがかわいすぎて、映るたびにそこに目をやる動作を繰り返しておりました。めちゃめちゃ似合ってますね。

あと個人的にORANGEのアンプに強めの思い入れがあるので、映る度にそこにも目が行く、という繰り返しもありつつ。

髭男といえば、私はメンバーのコーラスが大好きなんですよね。例えば「イエスタデイ」の大サビの後半で「未来の僕は知らない だから視線は止まらない」のところはメンバーの声でコーラスが重ねられていて、ここがとても好きなんです。理由は、分かりません!

ちなみにこの曲は映画『HELLO WORLD』の主題歌なので約5分あるのですが、ブリッジから大サビ、アウトロまでに約1分50秒かけているんですね。終わりそうで終わらないワクワク、盛り上がりを作るのが非常に上手だなと思います。

「たかがアイラブユー」はエフェクティブな音源とはまた違った生音が聴けたので、印象が良い意味で変わりました。トークボックスに始まりいわゆるオートチューンですべてを回収するように終わったヴォーカルが好きでした。

「115万キロのフィルム」は2019年の『Spotify Early Noise Special』のイベントで観た時に大号泣して、隣の髭男ファンさんに二度見されたことをはっきりと覚えてますし。

「旅は道連れ」のワンカメ移動。ここも大きなポイントだったのではないでしょうか。一緒にステージを歩いているような気分になったし、まさにオンラインならではの工夫でした。

また、ビッグバンドの魅力が最大限に生かされた「夕暮れ沿い」も印象的でした。ベースの楢崎さんがサックス担当になるところとかめちゃくちゃかっこいいじゃないですか。

サポートメンバー含めて、バンドがみんな生き生きしているって、実は当たり前ではないと思っていて、特にリズム隊が元気なバンドは良いバンドだと確信しているのですが、髭男はそこがとても安心できるのです。

ドラムが近い距離で楽しめるのはもちろん、彼らのようにヴォーカルがピアノ担当のバンドは、歌う姿とともに手元を映せるのでオンラインライブでも強みになるのかもしれません。

個人的に大好きな「Rowan」と「FIRE GROUND」が聴けたのも嬉しかったです。ダイナミックな特効も、想像を超えた演出でした。

ブラックミュージックのフレイバーを漂わせながらも、ポップバンドのイメージが強い髭男ですが、特に小笹さんはルーツがハード寄りなのでしょうか。ギターソロがとてもかっこよかったです。

「I LOVE…」は2020年リリースながら、すでに“貫禄”のようなパワーを感じます。『恋つづ』を毎週欠かさず観ていたこともあるのかないのか。

そして「ラストソング」で締めくくられるライブ、これは確実に泣いちゃいます。この歌詞には、きっとみんなの名残惜しい心がリンクしていたのではないかと思います。

※1…楢崎の崎は正式にはたつさきですが、機種依存文字のため崎で表記しています。

オーディオコメンタリーで爆笑

約1時間50分のステージを観て感じたのは、とにかくボリュームがすごい、ということでした。1曲ずつの満足感もあるし、全体としても満足というか、満腹という感じ。

物足りなさもなく、中だるみすることもなく、構成のバランスが素晴らしかったです。一人ひとりがスキルフルで、引き込まれるステージングもさすがでした。

さらに今回のライブには、本編のみの他に副音声でメンバーの解説が聴ける「オーディオコメンタリー」がありました。最近見かけるようになってきた、ファンクラブ会員限定とかでもなく、みんなが観られるようになっています。

本編をしっかり楽しんだ後に私も拝見したのですが、藤原さんのハキハキとした実況が面白すぎました。涙で放出された水分を返してください。

面白いだけではなくて、本編をより深く理解するための音楽的な話もちゃんとしています(当然か)。藤原さんが付けていた腕時計が、8時で止まってしまっている大切なものだということも分かったし、副音声の方も何度聴いても楽しめる内容でした。

こういった試みもオンラインならではで、ライブ以外の付加価値は今後さまざまなアーティストのアイデアによって進化しそうです。

以上のすべてが、1週間のアーカイブまで楽しめて2,200円也…え、えぇ?安すぎでは!

芸術は単純に金額で計れるものではないですし、チケット代の話をするのも気が引けますが、これはどうしたら恩返しができるだろうかと考えてしまうレベル。

そんなことを考えて、もしもこの記事の存在が1人でも次につながる行動を起こすきっかけになるのならと思い、記事を書かせていただいた次第であります。

音楽を適切に届けるキャパシティ

リアルタイムの観賞だけでも12万人以上だったという今回のオンラインライブ 。

「自分がお客さんとして、今一番観たいオンラインライブをやれている」と語った彼らの背中に、頼もしさを感じずにはいられませんでした。

たった1日限りのライブでも、準備する方々は膨大な時間をかけて作り上げたはずです。

観客は、特にオンラインともなれば直前まで別のことができてしまうし、自宅でくつろぎながら観賞できるので、その苦労を感じ取りにくいところがありますが、チームワークの良さと、丁寧さが確かに伝わるようなライブでした。

最後にメンバーの皆さんが、オーディオコメンタリーでおっしゃっていた言葉が印象的でした。

「自分たちも、ライブのチケットが取れないという(観客の)声は聞きたくない」「クローズドではなく、扉を開いておきたい。ただ、その音楽を届けるために適したキャパシティが大切」であると。

きっと、観る者だけでなく演者にとっても光を見出すことができたライブだったのだと、前向きにさせてくれる良質な時間でした。

文/長谷川 チエ

Official髭男dism 公式サイト


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ABOUTこの記事をかいた人

東京生まれ。2016年、別業種からフリーライターとして独立。2017年にCulture Cruiseメディアを立ち上げ、「Culture Cruise」を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。カルチャーについて執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、別名義で小説や行動経済学についての書籍も出版。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!