【トロピカルハウス×J-POP】登坂広臣「DIAMOND SUNSET feat. Afrojack」を聴いてみた

三代目 J Soul Brothersの登坂広臣さんがソロ名義でリリースした2ndシングル「DIAMOND SUNSET」についてのレビューを書きました。


トロピカルハウス × J-POP

2017年10月13日、今回も配信限定でHIROOMI TOSAKAとしてリリース。

2曲聴かせていただくと、登坂さんはこういうことがやりたいのだなというのがどんどんクリアになってきます。やりたいことをやらせてもらっている感じが、実にのびのびとしていて良いですね。

今回の曲調は、EDMのメインストリームであるトロピカルハウスが取り入れられています。レイドバックなアコギに始まり、徐々にテンポアップしていく心地よさとヘルシーなMV。

前作「WASTED LOVE」の後にこの曲をリリースする順序も良いですね。MVでも登坂さんの笑顔が見られて素敵です。

MVの撮影は1日しかないタイトスケジュールだったそうですが、まさにDIAMOND SUNSETというマジックアワーに出くわしていますよね。

ソロプロジェクトが発表された時に、登坂広臣は月であると表現されていましたが、その第2弾が「DIAMOND SUNSET」であるというのも空想が広がるところで。

君の瞳に反射した夕日が、ビルの屋上から街に降り注ぐ。それがDIAMOND SUNSETだというロマンチックな歌詞。月である登坂さんから見た、太陽という存在の君。

そんな役どころをMVで演じる女性は……か、かわいっ。人選センス最高かよ! 笑顔が素敵な美女ではありませぬか。Adeline Rudoさんという、ドイツ×韓国出身のモデルさんなのですが、オリエンタルな魅力がこの曲に華を添えています。

まさに、東洋と西洋の美しさを併せ持ったような輝きまぶしく。彼女見たさにMV観るみたいなとこがちょっとある。

前作「WASTED LOVE」との比較

前回、Afrojackはダークサウンドだ! と得意げにお伝えしたCulture Cruiseですが、トロピカル系ももちろんいけますAfrojack様は(当然)。

EDM好きという視点では、私は前回の方が好きだったかなぁと感じます。「WASTED LOVE」はいかにもAfrojackらしくて良いのです。そこにダメ男っぽい登坂さんが掛け合わされて、もはや最高のダークネス!

※Afrojackとダークサウンドについて触れている「WASTED LOVE」のレビュー記事は、この記事の最後にリンクがあります。

ブリッジからの大サビ(2:51あたりの最後のサビ)が、もうこの曲はこの部分のために存在した! と叫ばずにはいられないほどブラッシュアップされている。

EDMというのは一瞬のためにビルドアップしていくのが最大の特徴なので、最高潮に達する瞬間にとても価値を感じるのです。

と言っても今回のようなトロピカルハウスは、EDMの中ではゆったりとしたBPMで浮遊するような特徴があるのでまた少し違うのと、あくまでもAfrojackというフィルターを通すと「WASTED LOVE」の方がらしさが出ている印象はあります。

「WASTED LOVE」のリリースから2ヶ月半ほどの期間なので、ほぼ同じタイミングで作られたと思われますが、まったく違う曲調でも、トラップとトロピカルハウスといったように、どちらも時代のトレンドに合わせて作られているのが分かります。

自由自在にトラックを操る、Afrojackの手腕を見せつけられた2作品になりました。現時点で登坂さんのソロ曲が2曲誕生して、それぞれの楽曲のパワーが強まったような気がします。

トロピカルハウスとは

トロピカルハウスとは、ここ数年で勢力を増してきたEDMの新たなジャンルの一つ。いわゆるEDMのパリピな印象とはかけ離れ、それ故に登場したての頃は「これはEDMではない、つまんない!」と排他的な扱いを受けていました。

しかし、気付けばすっかり市民権を得て定着。美メロがメインなので日本人にもしっくりくるジャンルですね。

トロピカルハウスと検索すれば必ずと言っていいほど出てくるKygo(カイゴ)。さらに、トロピカルハウスの名付け親と言われているのはThomas Jack(トーマス・ジャック)です。

Rivers feat. Nico&Vinz – Tomas Jack

このトラックにこのメロディを乗せるのかと驚いたものです。EDMは意外と奥深くて、トロピカルとか言いつつ切ない美メロだったりするんですよね。

キャッチーで夏っぽい曲、とイメージされがちなトロピカルハウスですが、ただ単に明るい曲というのとはちょっと違う…そこが、一筋縄では行かないトロピカルハウスの魅力だと私は考えておりますよ。

サビのメロディラインは美しいのですが、それ以外はマイナーな音だったりします(本来はそうだけど、最近はまた定義が変わってきてる)。

J-POPとトロピカルハウスという組み合わせも試されつつあるのですが、これまでのEDMに以上に難しい取り合わせではあります。

そんな中でも「DIAMOND SUNSET」は、レイドバック感とキャッチーなメロディが合わさって、今までのJ-POPにはない新鮮味が感じられます。

明るい爽やかな曲調と、登坂さんの優しい歌声が調和している。トラックでは時代のトレンドを忘れずに追求した、登坂さんらしい曲に仕上がっていますね。飽きのこない、洗練された良曲だと思いました。

今回のAfrojackとのコラボも随所にスパイスを効かせていて、さすがという印象です。まっすぐでシンプルな楽曲も聴いてみたいですし、今後のソロプロジェクトも楽しみにしています。

文 / 長谷川 チエ(@Hase_Chie


▼「WASTED LOVE」レビュー


▼『FUTURE』ソロアルバムレビュー 登坂広臣編

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!