『BE:FIRST 1st One Man Tour “BE:1” 2022-2023』ライブレポート

全国17都市29公演を回ったBE:FIRST初の全国ツアー『BE:FIRST 1st One Man Tour “BE:1” 2022-2023』。

本記事は、2023年1月27日に東京・国立代々木競技場で行われた追加公演の配信を観て感想を書いたものです。


BE:FIRST初の全国ツアー

BE:FIRSTはこれまで、全国5都市を回るファンミーティングや、ワンマンライブ、フェスへの出演などは行なっていたものの、全国ツアーは今回が初めてとのこと。

ちなみに私はフェスで2度ほど、観たことはあるのですが、単独ライブ自体はまだ観たことがありません。

そんな人間が配信を通してどこまでBE:FIRSTライブの世界観を感じることができるのかをまとめました。

そうはいっても、2022年は1年間かけてBE:FIRSTの記事を書いたりもしていました。

BE:FIRSTに関する極めて個人的な1年間の記録

兎にも角にも、約1時間50分ほどの映像として配信され、約1ヶ月もアーカイブが残るとか神すぎる。

制作はSHOW DESIGNが担当。

メンバーがタクシードライバーやコンビニ店員などに扮してミッションを遂行する、映画のようなストーリー仕立ての映像からスタート。

ちなみにこれは途中でも映像が流れて伏線回収されていく。このあたりのエンタメ要素もしっかりと盛り込まれている。

BE:FIRST 1st One Man Tour “BE:1” Here Comesの文字から本人登場!

『BE:1』は「BF is…」から始まってくれるのがいい。むしろこれ以外の始まり方を知らない。

個人的に、BE:FIRSTは視覚的アプローチで印象が変わっていく楽曲も多いと感じる。

「Scream」はまさにその代表格で、この曲のイントロ部分にはすべての演者とスタッフの技術が結集していて、冒頭の15秒を何度も見返した。このライブのクオリティの高さがここだけでも確認できる。

▼参考までに、これはMVではなくダンスパフォーマンス動画なのですが、やはりダンスやカメラワークも含めて観ることで、音も立体的になる面白さがあります。

ダンス&ボーカルグループのライブは特に、オリジナルに忠実なパフォーマンスであることが良い場面とそうでない場面があると思っている。

BE:FIRSTのライブにも再現度の高いクオリティはありつつも、その日、その瞬間にしか体感することのできないパフォーマンスの魅力が随所に感じられる。

緻密に組まれたフォーメーションの中でも、それぞれが個性を発揮して自由に主体的に、ライブ感が演出されているのは、これまでのダンス&ボーカルグループの印象を変える大きな特徴と言える。

加えて、彼らのライブに多くの人が価値を感じる所以でもあるのではないかと思う(そしてチケットはどんどん取れなくなってゆく!)。

「Boom Boom Back」初披露

そしてこの公演の見どころの一つが新曲の初披露だった。

約4ヶ月間のツアーでも未発表だった「Boom Boom Back」を、この追加公演2daysで初披露。

30秒のティザーも世界に向けて初公開された。さらにSNSを駆使した怒涛の「#BBBチャレンジ」も始まっていく。完璧すぎるシナリオ。

▼これは今回の配信の「Boom Boom Back」をYouTubeで公開されているもの。

アーティストにとって新曲の初披露はもっとも緊張する瞬間であり、もっとも大切な時間のはずです。

この配信は追加公演2日目なので、つまりBE:FIRSTにとって2回目の披露になると思うのですが、未発表曲をここまでの仕上がりでパフォーマンスしてしまう7人。

ライブなので出来上がっていなければ困るわけですが、それでもすごいものはすごい。

現在はリリース後なので一緒に歌えるしコレオも見慣れているわけですけど、初めて耳にする曲をこんな完璧にパフォーマンスされたら大好きになっちゃいますよね。

一足先に観ることができた特別感もあるし、観客の満足度はこういうところからも生まれていくのだろうと思う。

2月13日にリリースされた時には、フックの部分は聴き慣れているのに、ようやく1曲を通して聴けることへの感動が与えられた。

イントロから90’s HIPHOPへのリスペクトが込められたオマージュを感じて、私もめちゃくちゃ興奮して聴きました。

それぞれのベストを決めるよ

ここではメンバーそれぞれに視点を向けつつ、この配信における7人のベスト曲も勝手に決めたいと思う。

ダンスとラップの印象も強いけれど「Don’t Wake Me Up」のような優しい歌声も魅力的なSOTAさん。このライブでも最高の「Don’t Wake Me Up」を作り上げている! といいつつ個人的なBest of SOTAは「Greteful Pain」に捧げたいのです。踊らないこの曲に、ダンサーとして歩んできたSOTAさんの魅力が詰まっているところが泣けてくる。

SHUNTOさんはいつの間にかハーフアップSHUNTO氏に変わっているのが見どころ。「Milli-Billi」の存在感もさることながら、ロック調に合わせた疾走感や、しっかりとした歌ものにこそ表れるSHUNTOさん独自のグルーヴ感にはとても惹きつけられる。ということからBest of SHUNTOは「Brave Generation」が獲得されました。

MANATOさんは前に出たりするわけでもないのに、歌えば一瞬で自分の曲に変えてしまう魅力がある。コーラスに入った時でも、ずっと消えずに余韻を残していく。そのためかMANATOさんの歌はとても記憶に残る。Best of MANATOの決定は困難を極めたのだけれど、バランス感覚の素晴らしさにより「Gifted.」に与えたいと思います。

RYUHEIさんは「本番前まで緊張していた」「未だにMCで上手く話せないこともある」とMCで話していたけれど、そんな表情すらも曲のストーリーとして魅力的にしてしまう。RYUHEIさんの伝えようとする真っ直ぐな姿勢は、それが自分にどう伝わるのかも含めて、その大切さをいつも教えられている。Best of RYUHEIは「Softly」に差し上げます。

JUNONさんの透明度の高いヴォーカルは、どんな楽曲とも手を繋ぐように調和するのだけれど、常にJUNONさんであり続けているし、同時に楽曲の良さも際立たせていることが本当に素晴らしいと思う。高音のロングトーンは耳から離れなくなるし、むしろ耳が離れたがらない。Best of JUNONは「Messege」に授与します。

その日その瞬間だけのライブパフォーマンスだと感じたのは、RYOKIさんに依るところも大きいと思う。今日はどんなRYOKIさんが観れるのか、きっとみんなが楽しみにしている。ほんの数秒できてしまう余白のポケットに、流れるように入りフェイクや表情も込みでステージを創ってくれるRYOKIさん。Best of RYOKIは「Betrayal Game」に輝きました。

LEOさんは観客と感情をリンクさせ、時には先頭に立ち、時には後ろからバックアップしてくれる。「今日みたいな幸せな日があれば、辛かった昨日にも一歩にもならなかった昨日にも、ありがとうと言えるようになる」というMCからの「Bye-Good-Bye」は最高すぎて気付くと涙が流れていた。ということでBest of LEOは「Bye-Good-Bye」に贈ります。

BE:FIRSTのエンタメとメンタリティ

「Greteful Pain」から「Gifted.」までの終盤は、澄み渡った集中力のようなものが伝わってきて、思わず見入ってしまう時間が流れた。

映像や音響、特効など、初の全国ツアーとしては規格外の技術の高さを見ることができた今回のライブ。

一貫して素晴らしかった演出の中、最後には人間力に惹きつけられたような気がする。

「近い未来にドームでのライブができるアーティストになる」「2024年の間には皆さんにドームの景色を見せます」と宣言して終了した、BE:FIRST初のワンマンツアーは完璧な終わりだった。

7人が常に主役であり続けるステージと、オーディエンスもその一員であると感じさせてくれる温かなメンタリティ。

その双方がBE:FIRSTをより魅力的に映し出し、さらなる前進を確信させてくれるライブでした。

セットリスト

  1. BF is…
  2. Scream
  3. Brave Generation
  4. Be Free
  5. Don’t Wake Me Up
  6. Moment
  7. Milli-Billi
  8. Betrayal Game
  9. Sofly
  10. Spin!
  11. Move On
  12. First Step
  13. Kick Start
  14. Shining One
  15. Boom Boom Back
  16. Message
  17. Greteful Pain
  18. Bye-Good-Bye
  19. Gifted.

文 / 長谷川 チエ

BE:FIRST 公式サイト

▼BE:FIRSTについての1年記事

▼BALLISTIK BOYZ「Animal」レビュー

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!