2023年10月4日に「All I Ever Wanted feat. GULF KANAWUT」をリリースしたBALLISTIK BOYZへのインタビュー。後編は日髙竜太さん、加納嘉将さん、海沼流星さん、松井利樹さんです。
「All I Ever Wanted feat. GULF KANAWUT」
ーーデジタルで先行配信された後の反響はどうでしたか?
日髙:ありがたいことに、反響はいいのかなと思います。MVの再生回数も今までとスピード感が違うくらい回っていて、そうなったらいいなと思っていたので嬉しかったです。曲調的にもいろんな方に聴いていただきやすい音楽なので、多くの方に好きになっていただけたのかなと思っています。
加納:ガルフさんがタイのみならず、世界で活躍されている方なので、ガルフさんのファンの方からも反響をいただいて、MVもたくさんの方に観られている印象がありますね。
松井:タイでもいろんなラジオ局やテレビ番組でも流していただいたんですけど、この曲聴くと踊っちゃうってみんな言ってくれたり、ファンの方も真似して踊ってくれていますし、嬉しいですよね。音楽の醍醐味というか。目に見える結果がついてきているおかげで頑張れるので、すごい感謝しています。
海沼:ストリーミングもMVも、特にMVはかなり好調なので、もちろんガルフさんとのコラボという理由もありますし、日本人の方も聴きやすいPOPな曲で、ファンの皆さんからもポジティブな声を多くいただいて、手応えを感じることができています。
ーー海沼さんと日髙さんは、ガルフさんとは日本で一度お会いしていたそうですが、どういった繋がりだったのですか?
日髙:タイの俳優の方々が横浜アリーナでイベントを開催してて、タイに行く前に今後関わるかもしれないからということで、グループを代表する形で僕と流星が観に行かせていただいて。ガルフさんは出ていなかったんですけど、来日されていて観に来られていたんです。その時紹介していただきました。
ーーコラボしてみていかがでしたか?
海沼:F.HEROさんやHigh Cloud Entertainmentの皆さんを中心に、次の楽曲はガルフさんとやるのがいいんじゃないかと名前が挙がった時に「そういえば、あの時会ったよね」って竜太くんと話して。ガルフさんはタイの広告だったり看板でたくさん見かけるタイのスーパースターで、僕たちからしたら本当にありがたいコラボです。ガルフさんも、音楽やラップも大好きですし、人柄もよくて。第一印象はクールで僕たちと価値観が合うのかなというくらいだったんですけど、いざ話すとすごい気さくに話してくれて、最終的には日本のファンイベントではずっとガルフさんと会話したり、一緒に動画撮ったり、本当にいいコラボレーションだなと思いました。
ーーまさかご挨拶した方と、こんな風に繋がるとは思わないですよね。
海沼:そうなんですよね。それが一番大きいと思います。
タイの音楽シーンについて
ーータイの音楽シーンにはどんな印象をお持ちですか? 実際に生活をしたアーティストさんがどうお感じになったのか、ぜひお聞きしてみたいです。
松井:日本より音楽が身近にあるなと感じました。どこに行っても音楽が流れていますし、ショッピングモールとかでもガンガン流れてて、それすごいいいなって、行ってすぐに感じましたね。
ーー音も大きそうなイメージがあるのですが。
全員:大きいです(笑)。
松井:あとは毎週どこかしらでイベントをやっているので、日本もそうだとは思うんですけど、もっとみんな積極的に参加してる印象です。全然知らなくても「とりあえず行こうよ」みたいな。だから僕も「とりあえず行こうよ」って言ってましたね(笑)。タイいいよね?
海沼:行動力めっちゃあるよね。
加納:音楽だったりグループとかに、人々が常に興味を持っている感じもしましたね。日本では知らない人たちだと興味なかったり聴かなかったりすると思うんですけど「今出てるこの人誰なんだろう?」って興味を持ってくれたり。僕たちも半年間そこに助けられたなと思います。
ーー日本だと推しを中心に音楽を聴く生活をする方が多い気がしますよね。
松井:フェスとかもそうですよね。入れ替えがあるじゃないですか? タイの人はずっとその場にいるんですよね。フェスも何個か行きましたけど、全然知らない曲だろうに、手つないで円になって踊ったりとか(笑)。そういうのはすっごくいいなと思いましたね。
タイから帰国後の変化
ーー前回のインタビューでは、タイでの活動のことを伺って、日髙さんが「僕はこのままではだめだと思いました。もっと危機感を持って自分たちで動かないと」ってはっきりと話してくださったんですよね。それからまだ5ヶ月ですが、変化や行動できたことはありましたか?
日髙:たくさんありましたね。ツアーだったり「Ding Ding Dong」のリリースだったり。タイに行く前がだめだったとか、そういうわけじゃないんですけど、より積極的に僕たちも入るようになって。タイで学んだことを生かしつつ、スタッフさんとの連携もそうだし、自分たちもより計画的に狙いを持って制作したり発信していって。まだまだ体制から整えている途中ですけど、しっかりやれてますね、その後。生かせていると思います。
ーースタッフさんとの連携というのはどういう部分ですか?
日髙:楽曲の制作だけではなく、普段の告知ごとだったり。スタッフの皆さんもやってくれてるんですけど、メンバーも含めおろそかだったなと感じたので、それを細かくLINEで「これのアナウンスお願いします!」とか。スタッフさんも忙しいので、回らないところは助け合いつつ、細かいことを意識するようになりましたね。でもそれぐらい必要でしたし、そうなってほしいので。自分がやれてなかったらスタッフさんも、何だよって思っちゃうと思うので、そこは自分にプレッシャーをかけつつも。みんなたぶんそういう意識でやってますね。
ーースタッフさんも変わったなと思うところがあるんじゃないですか?
日髙:体制は整えてくれている感じがあるので、ありがたいですね。
ーー前回そのお話の時、終了間際で時間が足りなかったので、3名はどう思っていたのかお聞きできなかったのがずっと心残りだったんです。
松井:たしかに、一番最後でしたよね。ここ半年は外に見えない形で、リニューアルした感じがあるんですよ。いろんなことを1回リセットして、今の自分たちに何が足りないのかを真剣に考えて、こういうことが必要とかフラットに考えて。BALLISTIK BOYZという一つの会社みたいな感覚で全員動いてて、連絡とかも会社のやりとりじゃんみたいな。この人にはこれを任せてこの人にはこれ…って役割分担が一気に固まりました。イベントの告知も竜太くんが率先して、スタッフさんよりも早く言う時もありますし、サポートはしてもらっているんですけど、ブランディングもセルフプロデュースで考えたりとか。周りにも支えてもらって感謝もしてますけど、どんどん全員がいろんな方面でクリエイティブに動いてるのでやりがいを感じます。僕らも動くことによって、夢に対する7人の思いも固まってきてますし、日に日に強くなっているので、あんまりこんなグループいないなって。もっと多くの人を巻き込んでいけるように、そこに向けて今は頑張っている感じですね。
海沼:僕も竜太くんと一緒ですね。海外に出ると思っていた以上に、才能に満ち溢れた人がいっぱいいるし、すぐ隣には自分よりもっとすごい人がいたりとか。もっと広げると世界にはもっとすごい人がいたりとか。でも自分たちの目指すべきところは世界の頂点なので。言葉を選ばずに言うと、自分の隣にいるすごい人よりもすごくないと絶対に世界で戦っていくことはできないので、そうなった時にいちグループのための、いちアーティストとしての自分の大きさ、存在力はどんなものなんだろうかというのは、タイに住みながらイベントに出るたびに「まだ小さいな、全然足りないな。お客さんは盛り上がってくれてるけど、音楽が好きだからなんだろうな」とか、まだまだだというのは話していました。これが広がっていくといい形になるんだなという部分と、このくらいで精一杯になってる自分に悔しさを感じることもあったり。ワールドスタジアムツアーを目指すと言っている以上は、全然規模感が違うので。いい意味で自分を追い込むというか、上を目指すからこその自分に厳しい言葉。日本に帰ってきて修正できるところは修正して、アーティストというか人間として、改善することをメンバーと一緒に頑張ってました。利樹が言ったように、間違いなくこんなグループはいないなって思いますね。
ーーメンバー間ではどんな言葉をかけ合っていますか?
海沼:お互いにアドバイスしたり「これこうした方がいいんじゃない?」って言ってくれたり、それがムカつくとかいうこともなく「確かにそうだね」って。メンバーからもしっかり発信しようよとか、竜太くんが言ってくれて、メンバーも「そうだよね、了解!」とか。
ーーSNSを更新したりですとか?
海沼:そうですね。あとはライブでも「これ頑張ろうよ」とかメンバーが言ってくれることに対して、じゃあここを修正しようとか。この連携力で行けば絶対にいいことが待っているんだろうなと思いますよね。タイのおかげでより強くなったなと。
ーー言いやすい環境ができているのも大事ですよね。
海沼:そうそう。それが強みだと思います。
加納:タイに行くぞって行ったものの、いざ行ってみると、この半年間で何を目標にしたらいいんだろう、という感覚だったんですよね。どうすればワールドスタジアムツアーという夢に辿り着けるのか、せっかくタイに来たのにっていう焦りだったりとか。でもそれがあったからこそ、自分たちで変わっていかなきゃ、変えていかなきゃっていうのが生まれたのかなって。サバイバルっていうか、無名のアーティストとして武者修行という感じで行っていたので。日本だったらあり得ないような場所だったりとかイベントに出て、ライブができたことも、今思い返せばそれが逆によかったのかなって。今年の日本博(バンコク日本博2023)で去年よりもたくさんの人が集まってくれたりとか、僕たちが起こしたアクションが少しずつ、波紋になって広がっているなと感じた時期でしたね。
ーー日本ではできなくても、海外だったら一から素直に飛び込んで行けるというのもあるんですかね。
加納:それはありますね。
海沼:たしかに。プライドとかも全部捨てられますからね。何でもやってやるというつもりで、チャレンジ精神でやっていたのは間違いないですね。
編集後記
BALLISTIK BOYZへのインタビュー後編でした。
「何でも話します!」とまっすぐに向き合って答えてくださった4名のお話。
ひとりひとりがたくさんの言葉で伝えてくれて、どの言葉にも感じる重みは、それぞれがたくさん考えて行動して、努力をして今日につながっていることを示してくれます。
しかし共通しているのは、7人全員が前を向いて、もう次のフェーズに進んでいるということだと思いました。
タイで修行を積んだ半年間の中で制作された「All I Ever Wanted feat. GULF KANAWUT」は、まさにその過程を知ることができます。
その後撮影を行なったというMVは、NEXTステージに進もうとする7人の姿を収めた貴重な記録であり、次への通過点でもあります。
苦悩しながらも前進を続けた、BALLISTIK BOYZの逞しさが感じ取れる作品だと思いました。
インタビュー・文 / 長谷川チエ
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