「君となら」が三代目JSBファンに愛される4つの理由

三代目 J Soul Brothersの楽曲の中に「君となら」というファンの方に愛され続けている名曲があります。

記念すべきデビューアルバム「J Soul Brothers」に収録されているこの曲が愛され続ける理由、そこから見えた4つの法則を紐解きます。




1. グループの成長とともに増していく希少性

「君となら」は、あまりお目にかかれないレアな楽曲。しかし、発売から6年以上が経った今でも愛され続けています。

EXILE TRIBEの「THE SURVIVAL」というライブで、SHOKICHIさん、NESMITHさんと4人で歌ったり、三代目JSBが2014年に行ったライブ「BLUE IMPACT」や、「逗子フェス」などでも披露されていました。

とても素晴らしいステージでしたが、ここ最近は目にすることがないですね。

三代目のメンバーもこの曲はお気に入りだそうですが、デビューアルバムの収録曲を披露する機会は通常なかなか無いですよね。

そんな曲も知っているという、コアファンな気分になれるのも人気の秘密なのかもしれません。

先日Culture Cruiseのデータベースがすべて消えてしまってわんわん泣いていた日に、ボーカルの今市隆二さんがご自身のラジオ番組で「君となら」をかけてくれました。

その時の心境とはまったくもってリンクしない歌詞ですが、なぜか号泣しちゃって。曲に泣けたのもありますが、2017年になった今でもこの選曲をしてくれることが無性に嬉しかったのです。

今市さんは見違えるほど頼もしくなったけれど、優しさはあの頃と何も変わっていないんだなーと。

地道にまた頑張れば、前よりももっと良いものが作れるはず!と勝手に救われました。おかげで何とかこのサイトを1から作り直すことができたのです。

グループとして成長していく中で、曲は希少性を増していく。けれどメンバーの人柄は変わらなくて、何より彼ら自身がこの頃の曲たちを今も変わらず愛している。そんな三代目JSBの魅力もまるごと再発見できる楽曲ではないでしょうか。

「どこかでまた聴けるかもしれない」そんなほのかな期待を抱きながら、なんとなく楽しみに待つのも良いものですよね。

2. どんなシチュエーションで聴いてもなじむ曲調

「君となら」は明るすぎず暗すぎない、ミディアムテンポで耳なじみの良いR&B。

そのため、みんなのプレイリスト入りがしやすく、どんな心境の時でもチョイスされやすい身近な存在になるれる気がします。

気分の明るい時でも、ちょっと落ち込んでいる時でも。さらに、どこか切なさも感じられるメロディは、また聴きたくなる曲調です。

歌詞は希望的未来を感じさせる内容なのに、マイナーコードが混ざり、どことなく寂しい雰囲気すら漂います。

遠回りしたけれど、君という存在に出会えた。君となら永遠に変わらずにいられる。そんな風に歌いながらも、永遠への憧れや嫉妬、大事なものを手にした瞬間に失う怖さを感じることってありますよね。

わかるよ〜、私も何かと遠回りしまくりしまくりの人生なんで。そんな思いが表裏一体となって、切なさも感じられる曲になっているのかな?なんて考えてみたり。

以前三代目のメンバーが、楽曲の受け取り方は聴き手の自由なので、この曲も恋愛に限定する必要はないと話していました。リスナーがそれぞれの思いをこの曲に乗せているのかもしれません。




3. EXILE的継承

極めてEXILE的なエフェクト。第1章の頃のEXILEにも精通するところがあります。

このかなり強めに効いているエフェクトによって、どんなシーンでもしっくりくる仕上がりに。曲に立体感が生まれます。

Aメロ〜Bメロ〜サビというシンプルな曲構成は、耳なじみの良いJ-POPの伝統的な曲展開。

三代目が新しいジャンルに挑戦する過程でも、大胆な展開には納得できないファンの方もきっといるはずなんですよね。

そんな方にとっては、この曲は自分と三代目を繋いでくれる大切な曲でもあるのかなと。私は勝手に思っています。

EXILEといえば、EXILE  ATSUSHIさんの「Precious Love」という曲がありますよね。

この曲も、サビの部分が「君となら」のコード進行とよく似ています。EXILEの「運命のヒト」や「道」などもそうですね。

次の節でコード進行のお話をするので、天使すぎる広瀬すずさんの映像とともに、サビの部分をよくイメージしておいてくださいね。

4. 伝統的なコード進行

「君となら」は、J-POPに非常に多いコード進行で構成されています。コードネームで表すと、FM7、G、Em7、Amって感じかな?

私楽器はあまり詳しくないので感覚ですが、解説に誤りがあればご指摘、いやご嘲笑ののち聞き流してください!

J-POPでは、サビの部分にこのコード進行を用いている曲がそれはもうたくさんあります。もちろん多少コードの変化はありますが、ベースとなっている曲はとても多いです。

聴き慣れている親しみやすさ、トラックのメロディアスなコード進行は日本人に受け入れられやすいと言われています。

例えば三代目の曲なら、「Born In The EXILE」「風の中、歩き出す」「PRIDE」「C.O.S.M.O.S〜秋桜〜」などが当てはまります。

「C.O.S.M.O.S〜秋桜〜」

切ないっ!

「SO RIGHT」や、一番最近だと「BRIGHT」も近いですね。「BRIGHT」は定番コードなのにアレンジの効かせ方が秀逸で、オリジナリティを出せているなと感じます。もう挙げだしたらキリがない。

「SO RIGHT」

かっこよすぎるパフォーマー。2:10〜2:58くらいまで、ノーカットで回し続けて入れ替わり立ち替わり登場するところが見どころですよね。

最近三代目の曲調が変わったと言われるのは、もちろんエレクトロを取り入れるなど表面的な変化はありますが、このコード進行の曲自体が減ってきているからではないかと私は考えています。

このコードは昔から世界中で親しまれているので、特にJ-POPでは今後も主流であるはずです。

三代目でもこういう曲は出てくると思いますが、今までのようにたくさん出るわけではなくて、アルバム曲が中心だろうなという感じがします(個人的な見解です)。

このコード進行は作り手からすると曲作りしやすくて、誤解を恐れずに言うと量産しやすいのに売れやすいのです。

それが減ってきたということは、手抜きせずに曲を作り込んでいるということの証。

ではこれまでの曲は違ったのか? と言うと、そういう訳ではないのです。伝統的なコード進行の良さというのはあるし、メンバーやリスナーの年齢層なども考慮されているはずです。

バランスというか、アルバムを中心に伝統を守りつつ、新たな方向性も探っていくというグループ性の表れかなと、個人的には捉えています。

海外のトラックメイカーに曲を依頼する頻度が増えたとか、ボーカルの歌唱力が広がったとか、いろいろな要因が重なって、今に至っているのだと思います。

それはJ-POPに幅を持たせることにもつながり、やはり三代目JSBが「挑戦」を続けているのだということが再認識できると思います。


やっぱり聴いちゃう「君となら」

この頃の名曲があったから今の三代目がいるのだと、充電期間を経て改めて感じますね(充電期間と言っても、他のアーティストからすると通常通りと言えるくらい短い期間ですが)。

彼らが今まで夢中で駆け抜けてきた分、インプットが必要になるのは当然なのではないでしょうか。アーティストにとってとても大切で、表舞台に出るだけがアーティストの仕事ではないと思います。

そんな彼らの勇姿を知っているからこそ、シンプルなこの曲がより感慨深く心に響くのかもしれません。

プレイリストを開くと、外れがない「君となら」はやっぱり選びやすいですね。シンプルなのに聴きがいがある、愛すべき名曲です。

文 : 長谷川 チエ(@Hase_Chie


↓三代目JSB「RAINBOW」のレビューはこちら




ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!