R&BシンガーのJAY’EDさんが2017年6月、レーベル移籍後初のニューアルバム「Here I Stand」をリリースしました。
Culture Cruiseとしては、このアルバムに収録されている「P.B.E feat.今市隆二 (三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE)」の全面バックアップは必須だよね、ということでこの曲のレビューと、他2曲をピックアップしました。
アルバム「Here I Stand」収録曲
2018年にはメジャーデビュー10周年を迎えるJAY’EDさん。移籍後第1弾という節目のアルバムになっています。
- The Paradise
- Must Be MAGIC
- Without You feat.Crystal Kay
- ずっと一緒 feat.Duran (RED DIAMOND DOGS/Made in Asia)
- Beautiful Days
- blind
- All I Did Is Grind feat.AKLO
- P.B.E feat.今市隆二 (三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE)
- 明日がくるなら ~ JAY’ED Solo version ~
- MY WAY
- Takers feat.DOBERMAN INFINITY
- Everybody -PKCZ® Remix-
- Here I Stand
♪P.B.E feat.今市隆二(三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE)
JAY’EDさんと男性アーティストのコラボでは、湘南乃風の若旦那さんや遊助さんなどが思い浮かびますが、JAY’EDさんの特徴的な声に若干ハマっていなかった印象も。
そもそも男性シンガー同士は、歌詞の内容とかいろいろクリアしないと、コラボした意味がなくなっちゃって難しいんです。だからあまり実現しないですよね。女性同士はかっこいいとか、かわいい路線とかも作りやすいんですけど。
タイアップもなくアルバム収録曲というシンプルなコラボレーションですから、バランスの難しい組み合わせです。
アンチも黙るクセのない楽曲、爽やかなSea Breezeが今にも漂ってきそう!前奏に始まりバックグラウンドで流れる80’s風なサウンドもいいです。
JAY’EDさんも今市さんも優しい声質なので相性は悪くないのですが、すごく合うというわけでもない印象を受けました。
ただそんな問題を2人でカバーし合っていて、なんていうか、人として合いそう。
今後も協業することで、どんどん良い作品ができそうな予感もします。
「三代目の今市くんとは違う魅力を引き出したい」とJAY’EDさんが語っていましたが大成功ですね。それだけでも今回のコラボに意味合いができたというものです。
表情の違う2人の声で創造性と透明感が生まれた
クリエイティビティのあるJAY’EDさんの声に今市さんが加わることで、この曲に透明感や清潔感をもたらすことに成功していることにも注目したいです。
私はアーティストの声にも「表情」があると思っていて、JAY’EDさんの声はとても複合的です。
ニュージーランドの血を継ぐ洋楽的深みのある声に、表情を出すのが少し苦手な邦楽的な面を併せ持っています。きっと素顔のJAY’EDさんも、シャイで優しい人柄なのでしょうね。いやもう声に出ちゃってますよね優しさが。
曲中リードしているJAY’EDさんに、今市さんの声質が加わることで、爽やかな曲調がさらに明るい方向へ導かれていますね。
ボーカリストの面白いところって、今市さんは登坂さんとのデュオとして、お互いの声を意識して寄せる感覚があると思うんです。
対してJAY’EDさんはソロとして、より自身の声をアピールしながらのびのびと歌ってきた。その歌い方の違いがそれぞれ表れているように感じました。
JAY’EDさんにはRyohei(山本領平)さんあたりもいつか試していただきたいですねー。
絶妙なバランス感覚が反映される歌声
先日、今市さんのラジオ番組にゲスト出演しているJAY’EDさんの声を聞いて、日本語の話し方に特徴があることを知りました。
彼の歌はずっと聴いていましたが、話し方を聞く機会があまりなくて。改めて聞くと、英語の発音方式で日本語を話すイングリッシュジャパニーズ、帰国子女の方の独特な発音でした。
もちろん日本語は普通に話されているんですけど、思った以上に英語脳で、それが個性となって日本語の歌にも表れていますよね。
表情を出すのが苦手な邦楽的側面があると前述しましたが、そこがJAY’EDさんの歌い方の魅力なのだと再認識しました。とても複合的で引き込まれるような不思議な魅力を持った方ですね。
しかも彼の場合は大阪弁なので、絶妙なバランスの話し方がますますその魅力を引き立てて、とても心地よいのです!
ちなみに「Pretty Brown Eyes」というタイトルは珍しくなく、私がすぐに思い浮かんだのは、ミントコンディションというR&Bグループのヒット曲だったのですが、 JAY’EDさんも実際にそこからヒントを得たのだとか。
↓みんなこぞってこの四角い髪型をしていた時代。
♪Mint Condition – Breakin’ My Heart (Pretty Brown Eyes)
頭の中にこういう曲のストックがあるJAY’EDさん、どうりで素敵な作品ができるわけです。
♪ The Paradise
こちらはブラスが生きたオープニングトラック。
三代目 J Soul Brothersの「Eeny, meeny, miny, moe!」を彷彿とさせますが、作曲のT-SKさんはまさにその楽曲を手がけた方です。
私はT-SKさんが作ったトラックはいつも好きになっちゃいます。JAY’EDさんとの相性もいいみたい。いいなーJSBにも欲しいですねこの曲(笑)
移籍して生まれ変わったJAY’EDストーリーの幕開けという感じでワクワクします。歌詞の内容もそんな状況を汲んだ世界観になっています。
JAY’EDさんの声は品があるので、「ついてきな!」みたいな強引な歌詞ってあまりなかったのですが、この曲で一皮剥けた感があっていいですね。
私はJAY’EDさんと同年代なので、30代半ばで人生の第三楽章(くらい?)が始まる!という意気込みが手に取るようにわかります。同時にたくさん悩んだことと思いますが、チャレンジした彼は本当に頼もしくてリスペクトです。
♪Here I Stand
そしてアルバムの最後を締めくくるのがこちらの表題曲。
作曲はさかいゆうさん。さかいさんといえば、「薔薇とローズ」などが有名なシンガーソングライターです。
♪さかいゆう – 薔薇とローズ
個人的な感想としては、深みのあるJAY’EDさんの声には、曲として少し物足りなかったかなという印象も。
さかいさん向きの楽曲というか、もう少しJAY’EDさん仕様の曲も聴いてみたいような気もしました。ただ、今までのJAY’EDさんのイメージにはない新たな挑戦という意気込みを感じますね。
シンプルな曲こそ感じ方も変化していくので、もっと聴き込めばまた違う印象になっていくのかもしれません。そしてこれからの活動によって、存在感を増していくであろうこの曲も、JAY’EDさんにも期待したいです。
JAY’EDさん、素晴らしい歌声の持ち主なので、さらにスパークした感じの曲や笑顔全開のMVとか見せてくれたら、より彼の良さが引き立つのではないかと思いました。
とにかく卓越した歌声と才能は健在!ところどころで魅せるフェイクや間合いが心地よくてさすがです。
今までの最高傑作と言っても過言ではない、素晴らしい出来のアルバムでした。今後もさらに飛躍して、Japanese R&Bに深みを持たせる稀有な存在でいてほしいと願います。
文 : 長谷川 チエ(@Hase_Chie)