ブルーノ・マーズ「24K MAGICワールドツアー2018」感想編

2018年4月、ブルーノ・マーズが約1年ぶりに来日。ライブとしては4年ぶりとなる『24K MAGIC WORLD TOUR 2018』、4月11日の初日公演で観たことや感じたことを綴ります。セットリスト編はこちらからどうぞ!


意気込みを語るよ(私の)

ブルーノ・マーズの記事はCulture Cruiseでも(データベース消失のため1記事しか残っていないけど)、他のメディアへの寄稿でもよく書いていました。ですから次の来日公演は絶対に行きたいと思っていました。

そして奇跡的に、何とか今回のライブを観に行けることに。私は、その日会場にいる誰よりもブルーノについて詳しくなるくらいの気持ちで行こうと決めました。

この1年、ブルーノとフーリガンズはほとんど休みなく世界中を駆け巡っています。

楽しむのはもちろんだけれど、自分にとって有意義な時間にしたかったし、行けなかった方にも何とかして伝えたいと思ったのです。

聴ける曲はもう一度すべて聴き直して歌詞をチェックし、ブルーノのSNSやインタビューも改めて読み返しました。理解していたはずの曲も、改めて知るとさまざまな発見があるものです。

ブルーノは1曲のクオリティのために努力も時間も惜しまずに注ぎ込みます。その思いが完成度の高さにつながっているのだと、改めて感じました。

やっぱりブルーノ・マーズはすごかった

そして迎えた当日。ワクワクして眠れなくて、でも全然苦じゃない寝不足感を背負ったまま、さいたまスーパーアリーナへ。

開場18:00、開演19:00というスケジュールの中、私は写真を撮ったり、記事にする材料を集めたかったので少し早めに到着。混雑は17時頃から始まりました。

男女比はちょうど5:5、もしくは6:4で若干女性の方が多い印象でした。年齢層は幅広く、子どもから年配の方まで、ファミリーやカップル、1人で気ままに来ている方など、実に多様なファンがそろい踏みでした。

VIP席には著名な方々の顔ぶれも。オーディエンスも華やかです。開演とともに幕が上がった瞬間、足元が見えただけで叫びに近い歓声を誰もが発し、会場はすぐさま最高潮の熱気に。

ブルーノとフーリガンズは終始踊りっぱなしで、決して歌や演奏に支障が出るような激しいダンスではないのだけど、何だかすごく上手くて心地よくて、足元でずっとスルスルやってる感じのとか、ムーンウォーク的なのとか、いろいろ動くのに歌声はキープされてるのがすごい。

そして適度に肩の力が抜けています。そのリラックス感は観ていて安心感もあるし、何より本人が楽しんでいるのが伝わってきてこちらも笑顔になるのです。

ライブはとてもシンプルなものだった。それなのにあんなに華やかに感じたことは、最高峰の技術の結集なのだと思います。

フーリガンズの素晴らしさよ!

ブルーノの素晴らしさもさることながら、バックバンドであるザ・フーリガンズの付かず離れずな演出が最高なのです(バックバンドという表現が忍びないくらい)。

フーリガンズがいなければ、ブルーノのステージは成り立たないほど欠かせない存在です。

お互いの信頼関係も素晴らしく、ブルーノとフーリガンズが一体となって魅せるステージは、もはやライブというよりもエンターテインメントショー。

目で観て楽しませる、自然と体がリズムを刻んでしまうような、観客巻き込み型のショーといった感じです。ザ・フーリガンズの素晴らしさは、実際に観て特に実感した点でした。

観客を盛り上げつつ、ブルーノに花道を譲るサービス精神ってすごいですよね。ものすごく難しい立ち位置だと思うんです。

しゃしゃり出なくて、演奏上手くて盛り上げ上手でもう意味分かんない。身体能力もハンパないです。

中でもブルーノの右腕的存在なのがフィルことフィリップ・ローレンス。いつもブルーノの隣にいてメガネをかけているメンバーですね。

骨折をしてしまったそうで、今回の来日には同行しなかったことは残念でしたが、誰が出ても遜色なく、ステージの素晴らしさを保つ実力を兼ね備えたグループ、それがザ・フーリガンズなのです。

そしてドラムのエリック・ヘルナンデスはブルーノの実兄。優しい顔つきでものすごいドラムを叩くのですが、彼のドラムパフォーマンスを観れたことも嬉しかった!

ザ・フーリガンズのパフォーマンス能力の高さを肌で感じることができて感無量でした。

ケタ違いのエネルギー

ブルーノ・マーズが大好きな自分なりに、楽曲は日常的に聴いていたし、ステージの動画などもチェックしていました。

特に2014年に行われたSuper Bowlのハーフタイムショーが大好きで、未だに泣きながら観ています。

それでも、今回のライブには度肝を抜かされて、圧倒されて引き込まれました。実際に生で観ているのだから当然なのですが、何もかもが別世界で別次元。

音楽に秘められたエネルギーというものを実感。改めて、スターってこういう人のことを言うのだなと。

少なくとも私の周りには、座って静かに観る、みたいな方が1人もいなくて、老若男女みんなノリノリで総立ちで心から楽しんでいました。

みんなが楽しいと、こんなにハッピーなんだということを初めて知りました。

同じ空間にいるという夢見ごこちのような不思議な感覚。「ほんとに実在するんだ! ブルーノ・マーズ」とも思ったし、わざわざ日本に来て歌ってくれていることの特別感も。

会場に何万人という人がいても、さも自分だけに歌ってくれているかのように錯覚したりもして。

それはきっと、ブルーノやフーリガンズが作り出す雰囲気がそうさせるのだけど、この魔法にかかったような時間がとても幸せでした。世界に自分とブルーノ、そしてフーリガンズしかいなくなったような。

彼らの歌とダンスと演奏に対峙していた時の自分の集中力は凄まじかったと思う。

その時間はまるで幻のように、あっという間に過ぎていきました。それでも、あの日あの場所にいたすべての人の心に残った記憶は、たしかに在り続けます。


今回のライブの感想を周りに何度か聞かれたので「海外旅行で非日常体験をして、ひと回り成長した気持ちで帰国したような感覚」と答えまくりました。

ブルーノにとっては100公演以上をこなすワールドツアーのたった1日が、1人の観客にとって忘れられない思い出になる。

けれども、単に「ブルーノ・マーズはすごい」と言ってしまうのではなく、私も素晴らしいものを素晴らしいと伝える表現力を磨いていきたいと思いました。

だってこんな世界があることを、もっと上手に伝えたいと感じたから。ブルーノ・マーズが、音楽の素晴らしさを教えてくれたように。

自分は“文章でしか” 伝えられないと思っていたけれど、ブルーノだって、“歌だけで” 想いを伝えてくれた。それ以外に、彼が何か特別なことをしただろうか? そう自分に問いかけました。

次にまたどこかでブルーノのライブを観られるとするならば、それまで自分は自分の道をひたすら進んで行こうと、前向きにさせてくれる時間でした。

文 / 長谷川 チエ

▼セットリスト編はこちら

▼ブルーノ・マーズ × 嵐の楽曲レビュー

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!