【PSYCHIC FEVERインタビュー後編】USツアーに向け、試行錯誤して生まれた自信作「Paradise」

PSYCHIC FEVERへのインタビュー。後編では、2月2日から始まる『PSYCHIC FEVER FIRST U.S. TOUR 2025』と、そのリード曲としてリリースされた「Paradise」について伺いました。

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“憧れ”を表現した「Paradise」

−−続いて「Paradise」についてですが、こちらは「What’s Happenin’」の1週間ほど前に制作されたということで。

中西椋雅(以下、中西):そうです。レコーディング自体は11月頃ですね。

小波津志(以下、小波津):USツアーのために制作された楽曲で、飛行機とかけて世界中のファンの皆さんに会いに行くし、離さないよっていう意味合いが込められています。

−−先日『D.U.N.K. Showcase in K-Arena Yokohama』で初パフォーマンスされていましたが、いかがでしたか?

小波津:初披露なので、どうなるのかなという期待感がある中でのパフォーマンスだったのですが、「新曲を披露します」と言った時から会場の盛り上がりが聞こえて、皆さんずっと盛り上がってくれているのを感じてとても嬉しかったです。聴き心地のいい楽曲なので、どのアーティストのファンの皆さんも楽しんで受け入れてくれている空間が最高でした。

渡邉廉(以下、渡邉):衣装もMVと同じジャケットの衣装でパフォーマンスさせていただきました。

WEESA:初パフォーマンスという不安はあったのですが、お客さんもみんな反応してくださって嬉しかったです。今までの僕たちにはない楽曲で、パフォーマンスの仕方や見せ方にもこだわって作っていたので、ステージでパフォーマンスして、よりこの楽曲のよさが出たんじゃないかなと思います。

−−具体的にはどんなところにこだわりましたか?

WEESA:今回は振付師の方だけじゃなくて、コレオグラフディレクターさんを迎えさせていただきました。振り付けの細かいところも「こうやって見せたらいいんじゃない?」とか教えていただいて。僕とか特にたくさん指導していただいたので、パフォーマンスしがいがありますね(笑)。

−−コレオグラフディレクターさんというのはどのような役割で、どんなやりとりをされたんですか?

半田龍臣(以下、半田):今までは振付師の方と僕たちだけでのコミュニケーションだったので、振付師の方がいない時は僕たちだけで詰め作業をしなきゃいけないこともありました。今回、振付師はRht.のReiNaに担当してもらって、コレオグラフディレクターはJIMMYくんやWEESAと同郷のMONAさんにやっていただいたんですけど、ReiNaが来られない時にMONAさんが一緒に細かい振り付けのバミリとかニュアンスを見てくれたりだとか。MVでもダンスシーンが多めになっていて、撮影現場にもおふたりが来て細かく指導してくれました。ダンスに対するアプローチはいつも以上に、過去イチで向き合えた作品だと思えたので、ダンスも観てほしいポイントです。

−−MV撮影はどれくらいかかりましたか?

半田:今回は初めて2日間にわたって撮影させていただきました。1日目が全体の撮影で、2日目が個人の撮影でした。

−−1人ずつコンセプトの違うCMシーンも面白いですね。

:リリックはELIONEさんに書いていただいたんですけど、リリックを書く前から、自分の好きなこととか「どんな服着てるの?」とか普段の会話があって、そこからリリックができています。僕は車がめちゃくちゃ好きなので、車のCMになりました。マスタングが好きというのもあって、スタッフさんの粋な計らいで用意していただいて。僕の中の憧れの車なので「憧れ」というところも表現できたらと思いました。

−−ご自身のシーンを観てどうでしたか?

:めちゃくちゃかっこいいですよね(笑)。しっくりきました。「似合ってるなぁ」って言ってもらえてすごく嬉しかったです。

−−曲調的にも、挑戦した部分は多かったのではないでしょうか?

小波津:僕はサビの部分を歌わせていただいていて、元々はファルセットで歌う予定だったんですけど、レコーディングの中で「力強くいった方がいいんじゃないか」ということで挑戦してみて、試行錯誤して地声で張り上げるような歌い方になりました。そこにWEESAや廉くんも合わせてくれて。最初にいただいたデモよりもいい作品に仕上げられたんじゃないかなという、自信作になりました。

−−ではファルセットバージョンでも録ったりしたんですか?

小波津:録りました。実際にやってみて、それも好きだったんですけど、その場合はBPMは下げた方がいいかなとか話していました。MVの雰囲気も合わさった時に、やっぱり地声で正解だったなと思います。レコーディングする前からBPMは最初110でいこうとしていたんですけど、109とか108とか聴いてみて、1ズレの気持ちよさをみんなで探して会議しました。スピードまで心地よさにこだわって制作した思い出があります。

−−歩きながら聴くのにちょうどいい速さだなと思っていました。

:それは嬉しいです!

渡邉:狙いどおりです!

:歩きながらとかドライブしてるイメージだったんです。仕事とか楽しい所に向かう時とか、「Paradise」を聴いて気持ちよく行ってほしいなと思います。

大工事中のUSツアーセットリスト

−−続いてUSツアー(『PSYCHIC FEVER FIRST U.S. TOUR 2025』)のお話に移ります。前回のインタビューでも意気込みなどはお聞きしましたが、改めてこのツアーが決まった時のことって覚えていますか?

半田:いつだったっけな?

:発表はタイにいる時にさせてもらったよね。

WEESA:『HEAT』ツアー(『PSYCHIC FEVER ASIA TOUR 2024 “HEAT”』)のバンコク公演のアンコール前に映像で情報解禁したんですよね。ステージの大きいモニターで観て、ファンの皆さんもとても喜んでくれましたよね。あの映像を観ると、始まるんだって実感します。

中西:僕らとしても、やりたいなという気持ちと「いつかできるかもしれないね」というのがずっと続いていて、もちろんその映像が出る前から僕らは聞いていたんですけど、いざ映像で観ると本当にやるんだという実感も湧きました。ファンの皆さんも、声に出して喜んでくれる方もいれば泣いている方もいて。改めて感謝の気持ちと、さらに知ってもらって広げていこうという気持ちと、どちらも芽生えて気合が入る瞬間でもありました。

−−ツアーに向けてどんなことを準備されていますか?

中西:それはぜひJIMMYから。

小波津:そうですねまぁ本当に…

渡邉:おいおいおい(笑)!

:それをやるなら俺や(笑)!

JIMMY:『HEAT』のアジアツアーが終わってから半年も経っていないですが、新しいものを届けたいと思っています。僕らはそもそも海外でのイベントが多いので、映像も出ているものが多いし、同じようなセットリストではなく完全に変えようとほぼ全曲アレンジを加えたり、既存曲も違う見せ方をしようということで大工事中でして(笑)。まだパフォーマンスしていないタイアップ曲もあるので、そのあたりもどう見せるかというのもありますし。今までとまったく違う、2025年バージョンのPSYCHICが見せられると思います。

−−パフォーマンスしていないタイアップ曲でいうとどの辺りになりますか?

JIMMY:「Cold Rain」だったり「Better Days」だったり、まだリリースしていないですが、ドラマのオープニング曲で放送中の「Wonder Woman」とか。このあたりも好評をいただいているので。

小波津:ありがたいことに。タイアップもめちゃくちゃ嬉しかったです。そういったものを取り入れたライブなので、どうなっていくんだろうとずっと試行錯誤しながら。リハーサルでは全員がバラバラになるくらいメンバーそれぞれでやることがあって、曲編したりダンスを作ったり、アカペラを考えたりしています。

:僕たちがグループの説明をする時に言う「多種多様」というのが、リハーサルでも見えるような光景です。最初に全員でミーティングして、バーっと散っていって。そこからは各々でスタッフさんとも打ち合わせして、同じスタジオ内で各所動いています。決まったらホワイトボードの前に行って、書き加えたり印を消したりして。

中西:じゃないと間に合わないなと思って。やりたいことが多いからこそ、今のスケジュール感だと分担作業してやらないと。これも僕らの強みなので、しっかりステージで魅せて皆さんに共感してもらえたら最高ですし、その作業自体も楽しみながら頑張っていきたいです。

−−前回のインタビューでは廉さんも「なにか新しいエンターテインメントをお届けしたい」と話してくださっていました。

渡邉:今絶賛、剣くんと新しい振り付けや構成を考えている最中で、USツアーで初めてお披露目できるかなというのがありますし、個人的にはビートボックスもグレードアップしたものをお届けしたいです。USでビートボックスを披露するのは初めてなので、まずは知ってもらうのと、魅力をこのツアーで伝えられたらと思っています。

小波津:新しいですよね、今やろうとしていることは。

言語の壁を超えて想いを伝える

−−USツアーではプライベートな自由時間はあるんですか?

中西:2〜3日に1回はライブをするスケジュールなので、あまりないかもしれないですね。ライブを終えて移動して、リハーサルやメディアツアーをして、という感じです。少し空き時間があれば、観光したりショッピングしたりとか、できたらいいかなと思っています。

−−前回は11月頃にメディアツアーに行かれましたよね。

半田:NYとLAに行きましたね。

WEESA:NYはLAとは違った雰囲気で、ビルに囲まれて、みんな歩くのが速いなと思いました(笑)。とても新鮮な環境だったんですけど、そこでもインタビューなどを受けさせていただいて、自分たちの課題を見つけられました。事前に告知をして路上でパフォーマンスもさせていただいたんですけど、そこに来てくださった方々を見て、僕たちのために集まってくださる方がこんなにもいるんだなと実感しましたし、こういう方々をもっともっと増やしたいなと思いました。言語の壁を超えて僕たちの音楽が伝わっているということが本当に嬉しいことでもありました。それをもっともっと伝えていきたいなと思っています。

−−その時に見つかった課題が何だったのか、お聞きしてもいいですか?

WEESA:僕たちはネイティブではないので、英語がどうしても伝わらない部分もあります。英語圏だけじゃなくて、パリだったらフランス語だったりとか、いろんな国に行く度に言語が違うというのはあるんですけど、パフォーマンスをする度に僕たちの曲を日本語で歌ってくれる方がいたりだとか。その想いや感謝をどれだけ自分たちのパッションで伝えるか、ということがこれからの課題になっていくと思いますし、英語が伝わらない国だったら英語に頼ることもできないと思うので、MCやトークの面でも課題になっていくのかなと思います。

−−今後につながる大切なツアーになりそうですね。

JIMMY:USツアーで出てきたセットリストが、今年1年の核となってパフォーマンスしていくものになると思います。USツアーだけじゃなくて、次のイベントだったり、これからやるツアーなど世界中の皆さんに届けていくものの基盤がここでできると思うので、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

撮影:小山恭史、インタビュー・文:長谷川チエ


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ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。2017年より『Culture Cruise』を運営開始。 ライター・インタビュアーとしてカルチャーについて取材・執筆するほか、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。ライブレポートや取材のご相談はお問い合わせフォームからお願いします。