三代目JSB「Yes we are」瑞々しさとエネルギーにあふれた躍動

Yes we are

2019年1月1日、ドームツアーやリニューアルされたロゴ、グループ名の表記変更など、再始動を発表した三代目 J SOUL BROTHERS。前作から1年3ヶ月ぶりとなる3月13日にリリースされた4曲収録のマキシシングル「Yes we are」から、表題曲についてのレビューを書きました。




躍動感のEDM+POPS

三代目 J SOUL BROTHERSの通算23枚目となるシングル「Yes we are」。

作詞はRYUJI IMAICHI, HIROOMI TOSAKA, YVES&ADAMS, JAY’ED、作曲はMATS LIE SKARE, CHRIS HOPE, RICO GREENE。

豪華布陣で挑んだこの楽曲は、メンバーの会見とともにストリーミング配信やSNSを通して世界同時解禁されたりと、公開前から話題になっていました。

これがEDMかというところは、聴く人によって捉え方も違うかもしれないのですが、私はトラック自体はEDMベースだと感じました。そこに、突き抜けるように爽快なPOPSをトップラインとしています。

作曲に携わったRICO GREENEは、エレクトロを得意とするR&Bシンガーなので、そのエッセンスも取り入れられています。2018年リリースの「Can’t Get Enough」がめちゃくちゃかっこいいんです。

「Yes we are」がこれまでのEDM楽曲と明らかに違うのは、ブリッジやドロップといったEDMのルール、展開にこだわらず、キャッチーに仕上げたダンス・ポップであるという点。ここにとても興味を惹かれました。

今回は流行云々というよりも、POPSへの敬意、そしてJSBの新たな幕開けという状況や心境を丁寧に拾い上げた結果が、自然とこういう曲になったのではないかと感じるのです。

これまでのPOPSやEDM曲を経験したからこそたどり着いた「Yes we are」、これが現段階の答えなのだと私は受け取っています。

今後もこの変化形は続いていくのだと思いますが、どんどんJSBらしい楽曲が研ぎ澄まされていく気がして楽しみです。

1年3ヶ月ぶりという満を持してのシングルリリース、グループでの活動も最低限だったこと、大々的な再始動の発表などを鑑みると、これほどのスケールにも違和感はなく、ファンにとっては待望のリリースとなったはずです。

曲調としては目新しいというほどではないものの、こういったリリックとパフォーマンスで形にできるグループが日本にどれだけいるだろうか?と考えると、やはりこれは現在の彼らにしか歌えない楽曲なのだろうと思います。

曲を聴けばこの1年3ヶ月の空白も、彼らの意思表示も伝わるコンセプチュアルな内容になっています。

パフォーマーが最も輝く場所

MVでは、7人の七変化に目を奪われます。デニム姿のさわやかなシーンも良いし、スーツスタイルもそれぞれの個性が出ていて素敵。

NAOTOさんだったらスーツかなぁ、ELLYさんはデニム、山下さんはカーキかなぁとか、いろいろ考えてしまいます〜。今市さんは、やっぱり白がいいです!(キリッ)

ソロライブを大成功の内に収めて成熟したヴォーカル2人と、なんだか皆さん若返っているんじゃないか?というくらいにダンスが冴え渡るパフォーマー5人。

ヴォーカルとパフォーマーの役割がいつも以上にきっちりと分かれていて、それぞれがプロフェッショナル。

曲を聴けばこれまでの空白の意味が分かると前述しましたが、厳密に言えばMVやライブなど、視覚的に観てすべてが完結するものと思っています。それくらい、今回のパフォーマーのダンスは欠かせない存在だと思うので。

「三代目のパフォーマー最近踊らない」なんてちらほら聞かれていた声もどこ吹く風、ガッシガシに踊る5人の勇姿が頼もしいのです。

「そうそうこれ!」と思わず感極まるほど、エネルギーに満ち溢れたパフォーマンスを見せてくれる5人の姿、とても生き生きとしています。

俳優やファッションブランドのディレクターなど多方面でご活躍されていますが、この方々が一番輝くのはやはりこの場所、このステージ。

日々の活動の中にあっても、ここに戻るよう照準を合わせているのかと思うと、なんだか胸が熱くなります。

そしてMVを観て嬉しかったのは、YouTubeにフルサイズでアップされていたことです。いつもあともうちょっとのところで切れることも多かったので。

登坂さん、やったよ〜!この曲の世界観を最後までしっかりと感じ取ることができました。




瑞々しさを感じる進化

何かに挑戦したり、常に自分をアップデートしている人たちはこんなにも瑞々しさがほとばしるものなのか。三代目JSBの曲の中では、たとえば「SPARK」なども、私にとっては瑞々しい楽曲たちに分類されます。

成長を感じる〜。

もちろん若さとかかっこよさは当時からあるのですが、今回のそれとはまた少し違う。当時とは経験も立場も違うし、以前が主任なら、今回は部長クラスまで昇進しているような感じ(伝われー)。

でも、部長クラスでこの瑞々しさを保ち続けることは、並大抵の努力じゃ実現できないわけで、そのプロフェッショナルの素晴らしさたるや、もはやバイブルにしたい必携レベルです。

ここまで進化しているのに人柄は全然変わっていないところも彼らの素晴らしさで、「lala   lalala〜」のところは、いつも支えてくれているファンの方々が歌えるようにと考案されたのだとか。なんということでしょう!

その部分には一緒に踊れそうな振り付けもあるし、ライブでメンバーやファンの方々が喜んでいる姿が目に浮かびます。4月から始まるドームツアーが素晴らしい時間になりますように!




多くの意味を含んだリリック

今回の作詞は今市さん、登坂さんが担当されていますが、登坂さんが「Catch my light」と歌ったり、今市さんが「青い月見上げた」と歌ったりと、粋なリリックが散りばめられています。

私は「遠く滲む青い月」という表現が好きです。涙で見えなくなっているのでしょうか。辛いことも乗り越えて、よくぞここまで、、!

登坂さんがCatchしたmy lightは最高に力強く光輝いているし、今市さんが見上げた青い月は、この曲の中で一番優しく大切に歌い上げている。

お互いのソロ活動を経験して、またじっくりと向き合うヴォーカル。素晴らしすぎやしませんか。

“軌跡の点と点を繋ぎ合わせたLove  闇に羽ばたいて虹をかけるから”

これはもう7人そのものではないですか。

最初は、「Yes we are」の「we」とはメンバーのことを指しているのだろうと思っていたのですが、聴き込むほどに、もっとたくさんの人たちがこの「we」の中に含まれているのではないか?という思いに変わりました。

私が思っていたよりも大きくて深いエネルギーを、彼らは示してくれていたのかもしれません。この曲にはとても強いパワーが宿っているなと感じます。

表現者の思いやエネルギーは、作品に宿って受け手の心に届くのですね。

これまでの経験を糧に、新たなステージへ登り始めたJSB。彼らがさらに上を目指すなら、私はもっともっと、もっと頑張らなきゃいけない(追いつこうとしている)。

“We never Turning back” もう振り返らない。並々ならぬ決意を感じる渾身の1曲を聴いて、彼らがどれだけ自分自身の指針になってくれているかを、改めて気付かせてくれた瞬間でした。

こんなに前進している人たちが振り返らないのなら、私も前を見て進み続けます!

2019年は青・白・赤をテーマに楽曲をリリースするという三代目 J SOUL BROTHERS。これはまだまだ序章に過ぎないわけですね。

この曲もきっと表情を変えていくと思うので、トリコロールが完成する頃にはどんな作品に仕上がるのか、また何か変化を感じたら、新たなレビューを重ねていきたいと思います。

文 / 長谷川 チエ(@Hase_Chie


他の3曲も素晴らしく、すべてジャンル違いの今作品。私は特に「FIRE」がお気に入りで、制作を手がけたSTYさんとJSBが絡むこの雰囲気が好きです。

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!