NOA初のワンマンライブ『“NO.A”TOUR IN TOKYO』ライブレポート

NOA初のワンマンライブ

まだまだ先だと思っていたNOAさんのライブ当日は、あっという間にやってきた。

道すがら、インタビューを改めて読み返した。穏やかな声と表情でインタビューや撮影に応じてくださった姿が思い出されて、忙しなく過ぎていく時が、この瞬間だけ緩やかになった気がした。

ーー5月のライブは、ご自身ではどんなことを楽しみにしていますか?

NOA:全部楽しみですね! 初めてのワンマンなのでどんな風になるのかまったく予想がつかず、ステージから見える景色も違うと思うので。来てくださる方たちを楽しませたいという意味では、こういうことしたらみんな喜んでくれるんじゃないかなとか、ワクワクしながら考えている段階なので、それを一つずつ具体的にしていきたいです。

【インタビュー】アルバム『NO.A』で魅せるアップグレードした表現力

インタビューを行ったのはライブから4ヶ月も前のことで、具体的な答えは返って来ないかもしれないと思いながら投げかけた、気の早い質問だった。

それでもNOAさんは想像を膨らませて、5月まで気持ちを飛ばして考えてくれた。ここでもみんなを思う言葉が瞬時に返ってきて、本当に他者を思い遣ることのできる方だと感じたことを覚えている。

どんな表情でステージに立ってくれるのか、とても楽しみだった。

2023年5月6日、EX THEATER ROPPONGIにて行われたライブの模様をレポートします。

インタビューはこちら

『NOA 1st LIVE “NO.A” TOUR IN TOKYO』

コロナ禍でデビューしたNOAにとって、イベントの開催やフェスへの出演などはあったものの、単独ライブ自体は初の開催。

撮影:鳥居洋介

ステージに登場したNOAは、いつもの穏やかなNOAさんとは違う人物のようだった。

NOAと待ちわびたファンがやっと同じ場所で出会えた大切な時間。徐々に埋まっていく隙間と、一気に縮まる距離が波のように押し寄せてくる感覚だった。

その場所に立ち会えたことと、同じ時間を共有できることへの感謝の気持ちがあふれてくる。

KMプロデュースの「It Ain’t Over」から、クールかつアップリフティングな幕開けとなったライブ。

新曲以外では唯一、アルバム『NO.A』未収録の曲からセットリストに選ばれた「Don’t Waste My Time」は、序盤にしてステージを引き締め、このライブの輪郭を浮き上がらせた。

昼公演、夜公演ともにゲスト出演してくれたAyumu Imazu。会場中から熱烈な歓迎を受ける。

現時点での共作は「Just Feel It feat. Ayumu Imazu」1曲ではあるが、2人の親交の深さと信頼関係は堂々たるステージングが物語っていた。

このコラボをこの距離感で観られる贅沢さを、誰もが噛み締めた時間ではなかっただろうか。

撮影:鳥居洋介

「Step Back」から「Paradise」まで、スタイリッシュでありながら多彩な曲調で会場を沸かせ、NOAの音楽性の幅広さを改めて感じることができる。

MCでは客席からのかけ声に答えるなど、会場全体で会話をしているような雰囲気だった。

「Paradise」の前には振付のレクチャーがあり、オーディエンスも一緒に楽しめる時間が演出された。

一転してミッドテンポな雰囲気に変えてくれた「Ticket」。

ドラマ『君の花になる』で役者に挑戦したことで「歌詞に思いが入りやすくなった」と話していたことが思い出される。

撮影:鳥居洋介

そして2019年から徐々に尺が伸びていったという“幻の曲”「Fireworks」が晴れて完結し、披露されたことにも胸を打たれた。

映像と連動するステージ。満開に咲く花火を皆で見上げるかのような、美しくも儚い時間にしばし酔いしれる。

しかし勢いは止まることなく、SUNNY BOYと制作された新曲「BURN」の披露というサプライズも忘れない。

「(今までと)違った目線でみんなの支えになるような、盛り上がれる曲」だと紹介する。

クールに熱を発するのはNOAが持つ新たな表現方法で、「BURN」はそれを表すのに絶好の楽曲だと感じた。

ラストMCでは「2020年のデビューから、やりたいことだらけだったんです。でも予想外のことで一つも叶わず、果たして自分はアーティストとして、本当にライブができるんだろうか?ファンの皆さんに会えるんだろうか?と毎日が不安だった」ことを明かす。

「(ライブが)できるかも?という話まで進んで、結局中止になって。その繰り返しで。ファンの皆さんの声を聞きながらライブができるのは本当に幸せなことですし、みんなもこの3年間、大変なこと嫌なこといっぱいあったと思います。でもこうやって乗り越えて、こんなにも幸せな1日が来るってみんなのおかげで確信できたので、明日からまた始まる日々の中でこの幸せな日がまた絶対に来るって信じて、引き続き曲を通して、ずっとそばにいられたらなと思っています。」

そう告げると、最後は初心に戻ってデビュー曲の「LIGHTS UP」を披露。前向きなエネルギーを感じるライブとなった。

アンコール

撮影:鳥居洋介

NOAコールに包まれた会場に再び姿を現し、アンコールではライブTシャツ姿でラフな雰囲気を纏いながら2曲を歌い切った。

「もっともっと大きな景色をみんなと見たいなと思って」というNOAのかけ声で発表された有明アリーナでのライブ。

「今日よりもアップデートした姿で皆さんの前に現れたいと思います」と宣言する。

インタビューでも「ずっとファンの方に向けて曲を書きたいと思っていた」と明かしてくれた「Purple Sky」。

誰にとっても特別な曲となり、みんなの思い出も深くなっていく。イントロが流れただけで観客を歓喜させる、魔法のような曲だった。

最後に、マニピュレーターやダンサーとしてこのライブを共につくり上げた、HITOMI SETO、RYOUKA、SYOGO CHILL、DAIKI、Mori Minami、MIZUKI、Y、princessmai、SayabiruがチームNOAとして紹介される。

そして記念撮影をして終了。

「みんなのことが大好きです」「次は有明アリーナで会いましょう」という言葉を残し、NOAの初ワンマンライブは締めくくられた。


NOAさんとNOANAの皆さんの距離が、また一つ縮まったことを確信した今回のライブ。

「やっと会えた」という思いが、この時間を濃密なものにしたのではないかと感じました。

5月12日の香港を皮切りに、台北、バンコク、ソウルで初のアジアツアーを開催中のNOAさん。

着実に階段を上がっていく頼もしい姿に、「曲を通してそばにいたい」という細やかな心が垣間見える、鮮やかで素敵な空間でした。

撮影:鳥居洋介、取材・文:長谷川チエ

NOA 1st LIVE “NO.A” TOUR IN TOKYO セットリスト

  1. It Ain’t Over
  2. Don’t Waste My Time
  3. Runaway Love
  4. Just Feel It feat. Ayumu Imazu
  5. Step Back
  6. Bad At Love
  7. To Be Honest
  8. Paradise
  9. Ticket
  10. Fireworks
  11. TAXI
  12. BURN(新曲)
  13. Lonely Hearts
  14. LIGHTS UP
    -Encore-
  15. Highway
  16. Purple Sky


■NOA 公式サイト:http://noamusic.jp

【NOAアジアツアー 日程】

2023年5月12日(金) 香港 MUSIC ZONE
2023年5月14日(日) 台北 CLAPPER STUDIO
2023年6月3日(土) バンコク LIDO CONNECT HALL 2
2023年6月5日(月) ソウル ROLLING HALL

「NOA 1st LIVE “NO.A” TOUR IN TOKYO」Hulu独占配信概要

■配信日時

【ライブ配信】
5月20日(土)開演18:00
(5月6日公演の擬似生配信)

【見逃し配信】
ライブ配信終了後、準備が出来次第~6月30日(金)23:59まで

■販売期間

4月28日(金)18:00~6月30日(金)21:00まで
※予告なく変更になる場合がございます。

■ライブ配信視聴料金

特典映像付き:3,500円(税込)
特典映像無し:3,000円(税込)

■購入URL

https://www.hulu.jp/store/noa-1st-live-noa-tour-in-tokyo 

▼NOAさんのインタビューはこちら

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!