BALLISTIK BOYZ 5周年インタビュー後編「感情をつなぐ4ボーカルの難しさ」

デビュー5周年にあたる2024年5月22日に8thシングル「HIGHER EX」をリリースしたBALLISTIK BOYZへのインタビュー。後編は日髙竜太さん、加納嘉将さん、深堀未来さん、砂田将宏さんのボーカル組です。

前編はこちら

『HIGHER EX』ツアー

ーー現在全国ツアー中ですが、手応えはいかがですか?

深堀:最高です!

日髙:とてもやりがいがあります。

加納:やっぱりバンドいいですね。

ーー楽器は何を入れてるんでしたっけ?

砂田:ギター、ベース、キーボード、ドラムです。

深堀:と、カスタネット(笑)。

日髙:と、大太鼓(笑)。

砂田:和な感じ! コロナで3回で中止になってしまった初めてのツアー (『BALLISTIK BOYZ
LIVE TOUR 2020 “BBZ”』)もバンドだったんですけど、その時と同じバンドメンバーなんですよ。

ーーそういう点でも感慨深いですよね。セットリストがいいという声をけっこう聞きます。

砂田:とても悩みました。年々曲も増えてくるので、何をやるべきか。

加納:もう何回変更したか分からないです。

ーーこのツアーで「HIGHER EX」を披露してみてどうですか?

砂田:勢いづけてくれる曲だなと思います。反響もいただいて嬉しいです。

日髙:インパクトを残せている気がしますね。TikTokではリリースに先がけて一部先行配信したんですけど「こういうの待ってた」という声を多くいただいています。こういったゴリゴリな感じのサウンドも求められていたんだなと感じます。

ーー『HIGHER EX』というテーマはツアータイトルとして生まれたんですか? 曲としても制作しようというのはいつ頃から決まっていたのでしょうか?

砂田:今年のグループのテーマとして『HIGHER EX』を掲げていました。すべての軸に『HIGHER EX』があって、そこからじゃあツアーもこのタイトルで、5.22に出すシングルもこのタイトルにしよう、と決まっていきました。

ーーメンバーさん作詞・作曲の作品がシングルの表題曲になるというのは初めてですよね。作者の深堀さん、いかがですか?

深堀:そうですね。表題曲に選んでいただけたことが、何より嬉しかったです。

ーー選曲は、みんなで聴いて選んだのですか?

砂田:そうですね。みんなで聴いて、総合プロデューサーのHIROさんにも聴いていただいて、最終的にこの曲になりました。

小竹正人さんとの初タッグ

ーー2曲目の「good day good night」は小竹正人さんが作詞をされていますが、BALLISTIK BOYZとのタッグは初ですね。

日髙:小竹さんが作詞された楽曲は、僕も昔から聴いたり歌ったりしていたので感慨深いです。自分たちの楽曲でも書いていただけたのがありがたくて光栄ですし、歌詞も表現の仕方としてすごいなと思う部分がたくさんありました。聴く人によって、それぞれの捉え方ができたり思い出とリンクさせることもできたりして、さすがだなと思いました。

ーー特にこういうボーカル曲の場合は、4人でその世界観をつくるのがBALLISTIK BOYZの特徴であり、4分割される難しさもあると感じます。

日髙:もうまさに、そうですね。

砂田:今回ツアーをやっていても、4人で歌うのは僕らならではですが、本当に難しいなと思います。先輩方のツインボーカルなどを見ていると、それぞれ歌うパートが多くて歌っている時間も長いので、その中でグルーヴができてきて、それを途絶えずに1曲歌い切れているなと感じます。でも僕らは4人で歌っている分、ワンフレーズだけ出てきて、そこからしばらく出てこなくてという構成が多いので、ずっとキープすることの難しさを感じてます。この楽曲に関してはメロディが心地よくて、そこに小竹さんの素敵な歌詞が乗って、とてもいいバラードができたと思いますね。

ーーボーカル4人のテンション感を合わせる必要もありますよね。

加納:全体の雰囲気とか曲の捉え方を合わせたりとか、どういうつながりで自分のところに回ってくるのか、というのは意識しています。特にこういうバラードの場合は、レコーディングも自分の前に録っている人がいれば、それを聴いたりもします。

ーーレコーディング自体はどんな流れだったんですか?

加納:1人ずつスタジオに入って録りました。

ーーでは前の人が歌っている姿を見ることはなく、声だけが手がかりという感じなんですね。

砂田:そうなんです。でもレコーディングブースは同じなので、歌詞カードに前の人からメッセージが書いてありました。「将宏がんばれ」って。

加納:書いてあった! そういうことなんだ?

日髙:未来が始めたんでしょ?

深堀:え?

砂田:未来が歌詞カードに「竜太がんばれ」って書いたんでしょ?

深堀:書いたっけ(笑)? 書いたか。

砂田:それで竜太くんが今度俺に書いてくれて、俺が最後、よっしーに書いたんだよ。俺なんて書いたっけ?

加納:「アンカーはお前だ! よっしーがんばれ」みたいな。そのせいでがんばれなかったです。

砂田:おい! がんばれたんだろ?

加納:はい、がんばれました。

ーー深堀さんはこの曲歌ってみてどうでした?

深堀:難しかったですね。すごく苦戦しました。キーも今までと比べて高かったですし。曲がいい分、ちゃんと届けたいという責任感というか、もったいない結果に終わらせたくなかったので、納得いくまで何回も録りました。すごくこだわりましたね。

ーーどれくらい録ったんですか?

深堀:800時間くらいですかね。

加納:1〜2時間です。

砂田:実際には1〜2時間だったけど、体感は800時間くらいあったかもしれないですね(笑)。

BALLISTIK BOYZの進化と原点回帰

ーーデビュー日の5月22日に、こういった前向きな楽曲をリリースできるというのも、タイミングがうまく合いましたよね?

日髙:そうですね。一番は、5年後のデビュー日に出す表題曲を、メンバーが作詞・作曲してるというのが感慨深いです。それがこれまでのBALLISTIK BOYZの築き上げたものが形になった瞬間でもありますし、また始まりでもあるのかなと思います。「EX」というタイトルが付いているのも進化と、EXILE TRIBEとしての原点回帰だと、個人的には感じていますね。

ーーこのメンバーで過ごした5年間はどうでしたか?

深堀:やってきたことを辿ると濃い経験をさせていただいたなと感じますけど、もう5年経ったのかと早いような気持ちもあります。自分の年齢もデビュー当時とは変わってきてるので、ちょっと前まで焦っていましたけど、逆に今は焦りがないというか。タイミングってそれぞれだと思いますし。できるだけ早く目標を達成するためにがんばることはしますけど、変に焦らず、ずっとこの7人で仲良くやっていければなと思います。

ーー焦っていた気持ちが今はなくなったというのは、なにかきっかけがあったんですか?

深堀:焦っても意味ないなというか。焦ると逆に悪い方向に行っちゃったりとかするのかなと思って。いい意味での焦りはもちろんありますけど、ちゃんと落ちついた、冷静な考えを持ってがんばっていきたいです。

加納:早いような、いろんなことがあった5年でした。タイに半年間住んだり、コロナ禍があったり、自分たちでも予期せぬことがあった中で、なかなかできない経験をさせていただいたと思います。ピンチをチャンスにじゃないですけど、何かあるたびに、毎回糧にできていたんじゃないかなと思っています。

ーー5周年の実感というのはありますか?

砂田:そう言われると、5周年かと感じます。考えるとそんなに経ったのかと。竜太くんがツアーのMCでも言ってたんですけど、全部が上手くいったわけではないですし、後悔していることもあります。でも楽しかったこともあった5年間で、そのすべてがあったから今があって。そんな5年だったからできた今回のツアーだったり、この3曲ができたので。10年、15年、まだまだ先は長いのでがんばりたいです。

編集後記

5周年という記念すべき節目のタイミングで、BALLISTIK BOYZへの5度目のインタビューを行うことができました。

今回必ず全員から聞き出したかったこと。BALLISTIK BOYZにとって、この5年とはどんな時間だったのか。

じっくりと考えて出してくれた7通りの回答。その言葉選びすらも7人の個性であふれています。

表題曲にして、ツアータイトルでもある「HIGHER EX」。

ラップ組の「マーメイド」、ボーカル組の「good day good night」。

等身大の言葉でリアルを歌う。ワンフレーズに想いを込めて、バトンを渡していく。

それは感情をつないでいくということ。

少しでも崩れればマイクリレーは途切れてしまう。

BALLISTIK BOYZ最大の特徴にして最大の難関と向き合う7人が選んだのは、まったくタイプの異なる3曲ですが、どれもこのグループが5年で築き上げたものが集約された楽曲です。

飽くなき向上心を持って語る7人を前に、5度目のインタビューで思ったのは、今までで一番シンプルなことでした。

バトンを渡された瞬間に、最も輝いていてほしい。

ただそれだけを願って、心からのおめでとうを贈ります。

撮影:小山恭史、インタビュー・文:長谷川チエ

BALLISTIK BOYZ 公式サイト


▼前編はこちら

▼Instagramではアザーカットを公開中
フォローありがとうございます!

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!