EDMファンが登坂広臣「WASTED LOVE feat. Afrojack」を熱くレビューする

三代目 J Soul Brothersのボーカル、登坂広臣さんが突如ソロプロジェクトを発表!「WASTED LOVE feat. Afrojack」をHIROOMI TOSAKAとしてリリースしました。

私はEDMをよく聴くのですが、Afrojackも三代目JSBの音楽も好きです。そんな双方の視点から、この曲のレビューを書いてみたいと思いました。




TRAPに登坂広臣の“旬”を詰め込んだ楽曲

年々多面性を増す登坂さんを象徴するような楽曲で、彼が歩んできた歴史の重みを感じます。人ってここまで変われるんだなぁと。

ブリッジは少し単調なものの、概ね良好。計3回のドロップは徐々に盛り上がり、最後がかっこよくてテンション上がるという、聴かせどころをしっかり心得ていてAfrojack健在といった感じです。

曲調は、ベースミュージックをふんだんに用いたTRAP。Afrojackは近年EDMからTRAPに移行していて、やはりその路線なのだなという印象です。登坂さんご自身も、最近は作り込んだものを好んでいる気がします。

ソロ活動にあたっては、シンボルマークが発表されたり、LIVEパフォーマンスVer.のMVも制作されたりと、今後も精力的に活動するであろうことや、水面下で相当あたためられてきたプロジェクトであることが分かります。

“ソロプロジェクト始動”というからには、「ちょっとソロ試そ!」というノリではないわけですよね。

第2弾、第3弾と今後も続いていくことを、楽しみに待ちたいと思います。

「WASTED LOVE」LIVE Perfomance Ver.

二元論の月

シンボルマークまで発表するという周到なプランニングの裏には、三代目JSBの活動との棲み分けという意味合いもあるのでしょうか。

このシンボルマークには、登坂さんの愛称である「臣(Omi)」のOと、月が掛け合わされているのだそうです。月のイメージは登坂さんによく合っていますね。

満月の時もあれば新月の時もある。見上げる度に表情が違っていて、それが魅力となっている気がします。

 
 
 
 
 
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哲学的な話ですが、二元論ということですね。古代中国から伝わる東洋思想に陰陽というものがありますが、陰陽で言うと登坂さんは圧倒的に陰である気がします。昼に対しての夜、動に対しての静といったように。

ただそれは表面的な彼のイメージであって、素顔の彼は必ずしもそうとは限らないんじゃないかなーなんて、個人的には考えたりもして。

本当の登坂さんは彼自身しか知り得ないことですよね。「WASTED LOVE」の相手(いるのか分からないけど)にも見せてないかも。

ちなみに二元論では、太陽と月などの相反するこれらのものは決して一元化はせず、調和すると考えられています。

「相反する」というと対立とか、まったく別次元のもののように聞こえるけれど、むしろ調和する、和合するんですね。なんかとってもロマンチックじゃないですか?

太陽のような登坂さんの素顔を知っている相手も、きっと存在するはずですよね。




Afrojackの得意なダークサウンド

Afrojackは今回のようなダークサウンドを得意としている印象があります。

私だけなのか分かりませんが、少し影のあるメランコリックな音が好きなのかなと、EDMが大流行りしてた頃もそんな気がしていて。テンションぶち上げ系の曲は彼の好みと違うような、そんな感じです。分かりませんけど。

この新曲を聴いた時すぐに、私の脳裏にはMarshmelloの「Keep it Mello ft. Omar LinX」という曲が浮かびました。

Marshmello – Keep it Mello ft. Omar LinX

全然関係ないですがMarshmelloは毎回このマシュマロの格好をしてMVやライブに登場します。

こういう曲を聴くとわかりますが、トラップミュージックはヒップホップから派生しました。

そのためヒップホップ要素の強い曲も多いのですが、今回の「WASTED LOVE」はJ-POPとのバランスを取り、ヒップホップ色を抑えめにしているところに好感が持てます。何でもかんでも詰め込むのではなくて引き算するイメージですね。

Afrojackは2017年にDavid Guettaとコラボした「Another Life」などもそうですが、最近やっぱりちょっとセンチメンタルです。

Afrojack & David Guetta ft. Ester Dean – Another Life

三代目の雰囲気とも違うので、「WASTED LOVE」はやはり登坂さんの曲として初めて意味を持つのだと思いました。今市さんがソロ活動を行なったとしてもこういう楽曲ではないでしょうし。

ということでAfrojack的に考えると、今回の曲調は納得という感じでした。登坂さんのダークでスモーキーな部分を引き出すことに成功しているのではないでしょうか。

ただ、純粋なEDMやAfrojackのファンにとってはなかなか理解しがたいかもしれません。私は、EDMやTRAPのファン目線で見ても、こういう曲がJ-POPとして聴かれるのは面白いことと思いますが。

個を尊重することも大切

登坂さんが新曲を発表した時、ファンの皆さんがここまで困惑するとは想像していませんでした。

登坂さんは、メンバーのELLYさんがCRAZYBOYとしてデビューする際もとても協力的だったのが印象的です。きっと誰よりも応援しているんだろうなぁと、あたたかい気持ちになりました。

そんな彼がいざデビューするとなった途端、受け入れてもらえないというのは胸が痛みます。もちろん大多数の方は応援しているし、発表のタイミングなどもあったとは思うのですが。

個人でやりたいことがあるなら、やらせてあげれば良いと私は思うのです。

JSBほどの大きなグループにもなると、一個人の意見は通りづらい環境ですし、仮によくある音楽性の違いで仲間割れなんてするよりは、よっぽど健全だし賢明な判断だと思うわけです。

ただ、やるからには徹底的に、グループとはまったく違う世界を作り上げてほしいです。世間一般の人は三代目との違いすら見分けがつかないくらいの認識だと思うので。常識をぶち壊していってほしいです。

距離感を保つことで、グループの存在意義が見えたりもすると思うので、良い方向に進むプロジェクトであってほしいと願っています。

文 / 長谷川 チエ(@Hase_Chie


▼「DIAMOND SUNSET feat. Afrojack」レビュー

▼三代目JSBとAfrojackのコラボ「Summer Madness」について


ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!