「自分を大切に表現するのがPSYCHIC FEVERらしさ」アルバム『DIFFERENT』インタビュー

2026年7月10日に2ndアルバム『DIFFERENT』をリリースしたPSYCHIC FEVERがインタビューに登場。新たな制作陣との出会いや、作品に込めた思いを伺いました。

4年間の経験が詰まったアルバム

──今回は10曲中9曲が新曲とのことですが、多忙な合間にこれだけの楽曲を揃えるための制作はいつ頃から始まったのでしょうか?

中西椋雅:楽曲制作として動き出したのは昨年の10月か11月あたりで、その頃からデモ音源が上がってきている状況でした。そこからコンセプトに合う楽曲を選びながらレコーディングして、最終的にこの10曲が選ばれたという感じですね。「Dream Flight」は『EVOLVE』 (PSYCHIC FEVER LIVE TOUR 2025 ”EVOLVE” in JAPAN)ですでに披露しているので、その頃にはできていました。

小波津志:元々はもう少し早くリリースする話もあったのですが、何度もレコーディングをしたり、練り直したりもしてこの夏のリリースとなりました。それくらいこだわって、『DIFFERENT』というタイトルの通りの「違い」や「変化」、4年ぶりのアルバムにふさわしい進化をお見せできる内容になったと思います。

──そのタイトルはどのように決まったのでしょうか?

中西:前作『P.C.F』はデビュー当時だったので、PSYCHIC FEVERはこういうグループですというのを提示するアルバムにしようという内容でした。2作目はメンバーそれぞれの個性やバックグラウンド、音楽性も好きなものも違うからこそ、改めてそれが強みになるということを一つのテーマとして『DIFFERENT』という形になりました。

:結成して7年、デビューして4年が経つ中で、いろんな答えを探してきました。でも自分たちが生み出した一人ひとりの個性が魅力的で、自分たちを大切に表現するのがPSYCHIC FEVERらしさなんじゃないかということで、『DIFFERENT』というタイトルになりましたし、満を持してのリリースになったのかなと思います。僕たちは7人7通りの個性を出せるグループだと思うので、多様性の時代にもマッチすると思いますし、このアルバムもたくさんの人に刺さってくれればいいなと思っています。

──シンプルなアートワークも素敵ですね。

中西:これはもうJIMMYさんが。

JIMMY:こういう感じがいいですとリファレンスを出しまくって、ロゴも20パターンくらい出してもらいました。昔のR&Bのジャケットとかもサンプリングしながら、相談しながら決めていって。自分たちとしての作品で、こんなに音楽に振り切ってシンプルにしたのは初めてかもですね。ベンチとウォールだけという。20年後に見返してもかっこいいと思えるような作品にしたかったので、あえて引き算をしました。

──デビューアルバムだった前作からの4年は長いと感じますか? それともあっという間でしたか?

半田龍臣:僕はあっという間でしたね。デビュー前も濃かったんですけど、デビューしてからはまた違った濃さというか。初めてツアーをして初めて行く国があって、この4年は初めて経験することが多かったので、とにかくあっという間でした。

渡邉廉:この4年でいろんな音楽を追求することができました。そんな中で「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」でやっと自分たちの基盤というか、土台が築けた感覚がありました。「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」のような曲がPSYCHICっぽいんだなということも分かりましたし、そこから認知されてきて、新しい経験ばかりさせていただいて、とても濃い4年間だったなと感じます。

WEESA:いろんな国に行っていろんなところでパフォーマンスをしてきたこの4年間の経験のすべてが詰まったアルバムになりました。僕も「Uh Oh」の作詞に携わらせていただいて、レコーディングする前の段階から「こういうのがいいんじゃないか」とみんなで考えて作りました。JIMMYくんが書いたものを歌ったりだとか、制作の段階からいろんな挑戦をしていて、この曲ができた時はなんか…いいな、熱いなって。

小波津:語彙力(笑)!

WEESA:アルバムの中でも特にテンションが上がって踊り出したくなるような曲で、ミュージックビデオの感じとか振り付けも分からないですけど、制作の段階から感じるものがあって思い入れの強い楽曲です。キャッチーなので、いろんな方に聴いてもらえたら嬉しいです。

──この曲はミュージックビデオがあるんですね?

WEESA:ないんですよ(笑)。作るとしたらこういうMVがいいなと想像しながら作ったんです。風景がたくさん浮かびました。

──なるほど! JIMMYさんは「Uh Oh」の制作についてはいかがでしたか?

JIMMY:アルバム制作が始まって1, 2曲目くらいの最初の方に書いたので、フレッシュなバイブスがあると思います。デモで聴いた時はビートもシンセが入っていなくて、「もうちょっとPSYCHICっぽい音を入れたい」という話から、シンセの音を追加してもらって。歌詞もボクシングをテーマにしたら良いんじゃないかということで、立ち上がるイメージとか、PSYCHICには珍しい感じのコンセプチュアルな歌詞になりました。実はMVも撮りたかったですけど(笑)。なんか面白そうじゃないですか? 全員ボクサー役で。特殊メイクとかしてボロボロになってる感じとか面白いなと思ったんですけど、いつか!できたら面白いなと思います。振り付けも作る予定なので、パフォーマンスが一番楽しみな楽曲でもあります。

「I Got Ways」での大きな挑戦

──アルバムを通して挑戦できたのはどんなところですか?

中西:PSYCHIC FEVERとしての一番大きい挑戦は「I Got Ways」かなと思います。今までの恋愛ソングとはまた違って大人な表現をしていますし、ミュージックビデオのコンセプトもそうなんですけど、今回は暗めでセクシーな要素だったり。デビューしてからキャリアを重ねたからこそできることを、このタイミングでチャレンジできたのは大きいですね。

JIMMY:「I Got Ways」はChris BrownやH.E.R.などを手がけているRykeyzさんにプロデュースしていただいたんですけど、ワーナーのA&Rで一緒にお仕事させてもらっているOscar(Scivier)が持ってきてくれた楽曲で、貴重な経験でした。最後に決まった曲だったんですよね。

中西:うん、ギリギリやったね。

JIMMY:ワーナーと一緒にお仕事させてもらうことでの新しい出会いにもなりましたし、昔のR&Bっぽさとかノスタルジーな感じもかっこいいし、出会えてよかったなという曲です。ボーカル的には難しかったかな?

小波津:今回はストリングスが入っていて流れもメロウなので、レコーディングの際には自分自身もストリングスの流れに乗るようなリズムを意識しました。廉くんもWEESAもそうだと思うんですけど、曲のイメージを変えないように意識をしながら。リズム感も大事なんですけど、細かい入れ替えのタイミングをずらさないようにとか。

一同:すごい(小声)!

半田:振り付けもs**t kingzのkazukiさんにお願いして、ダンスも曲とマッチしているので注目して聴いてほしいなと思います。

──ミュージックビデオのラストの雨のシーンはメンバーさん発案とのことですが。

JIMMY:絶対やりたいって言ってゴリ押しで入れてもらいました。昔のR&BのMVって雨絶対降ってるよなと思って。実際にリファレンス集めてる時もほぼ雨降ってて(笑)。この曲調だったら絶対にPSYCHICで雨やりたいなと思ったので入れてもらいました。

半田:PSYCHICいっつも雨ですからね。

:行事ごとが雨であることが多いですね。MVで降らせたら味方についてくれるだろうということで。

──制作陣の顔ぶれについても聞かせてください。今回は新しさを感じる組み合わせが多いですよね。

JIMMY:今回は若手の方も多かったかもしれないですね。Kenya(Fujita)くんとかBBY NABEくんもそうですし、そこにher0ismさんとかレジェンド級の方もいたり。ニュージェネレーションなライター陣とも一緒に作れたのですごく楽しかったですね。

──若手の方を迎えたのは意識的にですか?

JIMMY:レーベルからも「若手の方でお勧めはある?」とヒアリングがあったりしました。Kenyaとは「Cinderella Pt.2」を一緒に書きたいというのがあって、直接オファーさせていただいて書きました。BBY NABEくんはレーベルの方が見つけてきてくださって、彼もバイリンガルなので親和性もいいんじゃないかというのがあったり、Cyprusは『ラップスタア』にも出ていた若いラッパーなんですけど、プライベートでも会っている友達でもあります。「Uh Oh」のトラックメイカーのTaka Perryは、志とインドネシアのRAMENGVRLっていうラッパーとLDHでセッションしたタイミングで初めてお会いして、その方も今回一緒に制作してくれていて。KATSEYEの「Touch」とかをプロデュースした方ですね。交流も深まって、より思いの詰まった曲たちになりそうだなと思います。

小波津:Taka Perryさんは制作の進行が早くて。自分はけっこう考えてまとまってから出したくなるんですけど、すぐにメロディを入れていって、もう作業がすっごく早かったです。

JIMMY:ラッパーたちのレコーディングってビート聴いてアドリブで宇宙語とかでそのまま入れるじゃないですか? ボーカルの志はしっかり考えてからやりたいタイプで、僕も比較的そうなんですけど。ラッパーのセッションとの違いがあって、新しい刺激でしたね。

小波津:思いついた時にはもう次のところに移ってて(笑)。いつか何かに使えるかもと、ボイスメモに録っておいたりしました。

作品づくりには積極的に関わっていきたい

──今作では全体を通して、廉さんのボーカルも効果的、印象的だと感じました。

渡邉:今回はフルでボーカルをやらせていただきました。特に頑張ったのは「Glowing」で、今まで自分の中での意識では、ラッパーの中のボーカルという感覚でやっていたので、歌い方もそこまでボーカルに寄せずにというやり方だったんです。でも今回は一人のボーカリストとして、歌い切るというところを意識してレコーディングに挑みました。僕的には今までの楽曲と雰囲気も変わったのかなと。

小波津:うん、変わってましたね。言葉の一文字目の入り方とか、しまい方とかリズムの切り方とか。聴いていてすごく感じました。アプローチを変えたのかなって。

渡邉:その通りです(笑)。ボーカリストとして振り切ったアルバムを作るというぐらいの意識で全曲臨みました。かなり時間をかけたんですけど、最終的には納得のいくものができたと思います。レコーディングの中で反省点を出して自分を見つけるというか、レコーディング中に改善していくというのを毎回やっていて、それで時間がかかってしまったのかなとは思うんですけど、自分の声質とか歌い方とか、レパートリーをより知れたのでいい経験になりました。

半田:「Glowing」は、曲調的にもあまりラップがないほぼボーカルラインの楽曲ということもあって、僕も一番時間がかかった楽曲でしたね。普段とは違うテンション感だったり、出したことのない声で、裏声を初めてやってみたりとか。挑戦続きだったんですけど、後々それが活きていけばいいなと思いました。もっと練習は必要なんですけど、このアルバムを経てまた新しい引き出しが増えたので、チャレンジできて本当に良かったですね。

WEESA:リリックに関しても1曲1曲深いところまで考えてレコーディングに挑みました。「 I Got Ways」は大人な歌詞になっているので、心の中で思っていても普段それを口にするかと言われると難しいラインの、ちょっと危なっかしいことを言っているんですけど、歌なのでストレートに伝えられるというか。その分パフォーマンスも衣装も大人っぽくてそれを感じられるものになっています。「Pink Lemonade」だったらキャッチーでかわいらしいけど、歌詞は大人っぽいとか。曲によっていろんな顔が見せられるアルバムになったので、パフォーマンスするのがとにかく楽しみですね。全部イチオシなんですけど、歌詞を書いているのでやっぱり「Uh Oh」は聴いてもらいたいです。

JIMMY:好きなラインとかあるんですか(笑)?

WEESA:いいよ恥ずかしいよ! ヤバいところで言うと《Wake up it’s time We come to open your eyez》、目覚めさせにいくぞ、起きる時間だぞっていう。自分がステージに上がる前に神様から言われているようなイメージで書きました。歌詞を書く時はストレートに書きたいというのがあって、この歌詞を書いている時は特にそういう気持ちだったので。仕事が辛くて立ち上がれない時とか、何かで落ち込んでいる時にこの曲を聴いて、ギアを一つ上げてもらって元気を出してほしいです。

:ボクシングを題材にしてるからね!

──ボクシングを題材にしようというのはなぜ決まったんですか?

JIMMY:頭から書いていってて、1番まで書いてたんですけど《Round1 Round2》がサビ前に出てきて、一気にボクシングいいねってなって。そこから全体的に書き直したんですよね。

WEESA:全部消したっすよね? 1回ね。

JIMMY:いやそこまではやってない(笑)。

WEESA:僕の部分だけか。1回全部消して書き直したんです。

半田:そうなんだ!

──メンバーさんの書いた歌詞を歌うというのはどんな感覚ですか?

小波津:「Cinderella Pt.2」も「Diamond」も「Uh Oh」もクオリティが高いので、レコーディングも違和感なく取り組めました。こういうきっかけもあるので、いずれは作詞も作曲も全員で一つの曲をできたら嬉しいですね。いつかやってみたいなと思っています。

中西:今後やりたいことを表現する場は増えてくると思うので、勉強しながらではあるんですけど、それもいつか強みになる時も絶対に来ると思いますし、積極的に作品づくりには関わっていきたいです。プロの作家さんにお願いするものと同時に、自分たちで作る、自分たちにしかできないオリジナリティも大事だなと思うので。ジャンルに縛られず、今思ったことやこれから表現したいものを作ることが、僕たちが作る意味になってくるのかなと思います。自分たちが感じているものをよりリアルに、表現する機会ができていくといいなと思いますね。

:1枚目の『P.C.F』は、PSYCHIC FEVERとは? というところがあったと思うんですけど、僕たちもたくさんの国や地域に行っていろいろな出会いがあって、感情や夢の変化がたくさんありました。それを経ての楽曲制作で、歌詞の思いや言葉の一つ一つが大切になってきているので、このアルバムを聴くと今のPSYCHIC FEVERのことが分かると思いますし、現在の名刺になるようなアルバムになりました。ぜひパフォーマンスも全曲楽しみにしていてほしいです!

撮影:小山恭史、インタビュー・執筆:長谷川チエ

<リリース情報>

※通常盤カバー

PSYCHIC FEVER
2nd Album『DIFFERENT』


2026年7月10日リリース

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ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。2017年より『Culture Cruise』を運営開始。 ライター・インタビュアーとしてカルチャーについて取材・執筆するほか、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。ライブレポートや取材のご相談はお問い合わせフォームからお願いします。