BALLISTIK BOYZインタビュー「前例がなくて当たり前」ベストアルバムに刻まれたグループの歩み

2025年3月26日にベストアルバム『Chapter 1』をリリースしたBALLISTIK BOYZにインタビューしました。これまでの振り返りや、6月に開催されるアリーナ公演についてもお聞きしました。

全43曲のベストアルバム

──今回はベストアルバムのリリースということですが、約6年弱で全43曲というボリュームは多いと感じますか?

砂田将宏(以下、砂田):多いと感じます。先輩方のベストアルバムって、もっと少なかった気がするので。リリースを刻んでいるのもあるかもしれないですね。

加納嘉将(以下、加納):僕もです。ベストって20曲前後のイメージでした。何時間くらいあるんだろう?

松井利樹(以下、松井):3〜4時間くらい? 飛行機でオランダに行った時、1曲を14時間聴いたことあります。

加納:それはすごいよ(笑)。

──何の曲ですか?

松井:Mac Millerの「My Favorite Part (feat. Ariana Grande)」という曲です。

砂田:それは亡くなる前?

松井:亡くなる前。好きすぎてずっと聴いていました。

深堀未来(以下、深堀):僕もけっこうそういうタイプだな。移動の時とか1曲をずっと聴き続けます。

──ジャケットにはメンバーさんのアイディアが反映されているそうですが、どのようなアイディアだったんですか?

奥田力也(以下、奥田):新曲がない分、ジャケットに特別感を出したいということで、みんなでバーっと描いてアイディアを出しました。特典もこだわっていて、初回生産限定盤には、今のBALLISTIK BOYZロゴが入ったトートバッグが封入されています。これは、デビューアルバムの特典だったトートバッグの新しいバージョンになっています。

日髙竜太(以下、日髙):『Chapter1』なので、第1章にリリースした楽曲を収録して形に残そうということで。一つの作品として形にしたいという思いですね。

──過去の自分の声を聴いて、現在との違いを感じたりはしますか?

深堀:すごく感じますね。

松井:若いよね。懐かしい。

日髙海沼流星(以下、海沼):聴けない(笑)。

──でも聴かないといけない時もあるじゃないですか?

海沼:そうなんですよ! 聴かなきゃいけない時もあります。

──でも分かります。私も自分が書いた昔の記事は読めないです。

一同:えぇー!?

海沼:やっぱりあります?

奥田:何書いてんのよみたいな?

日髙:捉えられてないなとか? でも僕らいつも言ってますけど、素敵な記事を書いていただいて。

砂田:終わった後の感想まで書いていただいてね。ありがとうございます。

グループの転機になった曲

──そう言っていただけると救われます…。このベストアルバムの中で、グループにとって転機となった曲を挙げるとしたら何ですか?

深堀:僕は「N.E.X.T.」ですね。タイで半年、0から活動を始めていろんなプロデューサーにも出会って、自分たちで曲を作るようにもなって、起点になりました。日本も含めてファンの方々の大切さを改めて実感できたから作れた曲なので、降りてきた曲です。

奥田:僕は「Animal」です。自分たちとしても手応えがあって、ファンの方々の反応もそうですし、それ以外の方からの声も多くいただいたので。グループ的にも「Animal」のような音楽が作りたかったですし、リリースしたかったというのもあるので、この曲です。

──BALLISTIK BOYZさんのことはずっと拝見していましたが、記事で初めて取り上げたのは「Animal」のレビューなので、このサイトとしても転機になっている曲です。その後『PASS THE MIC』のアルバムレビューも書いて、ファンの方々が公式さんにメンションしてくださって公式さんに届いて、インタビューのオファーをさせていただきました。

奥田:そうか、そこからなんですね。

松井:すごいですね、その気持ちが。かっこいい。

砂田:素敵なエピソード…何で今まで言ってくれなかったんですか!

──言ってたと思います。

砂田:言ってましたよね(笑)! 僕も「Animal」です。一緒に仕事をするLDHの社員さんに、何でLDHに入ったのか聞いた時に、「LDHは正直あまり通って来なかったけど、BALLISTIK BOYZは知ってました」って話してくれたことがあって。韓国にいたことがある方で、「『Animal』が出た時に韓国で広まったので知って、いい曲だなと思って、そこからいろいろあってLDHに辿り着きました」って。僕らを知らなかった方々にも知っていただけたきっかけになったので、まだまだ可能性がある曲だと思います。突破口になってくれる希望を今も持っていますね。

加納:曲で言ったら「Drop Dead feat. TRINITY」ですかね。タイでの半年間は考え方も変わりました。メンバーと過ごす時間もそれまでより多くなりましたし、誰かを頼ってばかりではいられない現実に直面したというか。自分たちで考えて動かないとどうにもならないことを感じた半年間だったので、自分たちでやっていこう、もっとこうしようというプロデュース能力のようなものはここで培われたのかなと思います。臨機応変に対応できるようになったなと思います。

──それまではできていなかったと思うことがあったのですか?

加納:知らなかったというのもあるかもしれないですね。日本での活動がどれだけ恵まれていたかというのも。環境とかステージとか、全部やってもらうことが多かったので。タイでフェスに行ってみたら音響が整っていなかったり、普段踊っているような踊りやすい床ではなかったりとか。機材トラブルが起きたりとかも頻繁にあったので、現場での対応力は鍛えられたと思います。

日髙:ターニングポイントがあるとしたら、僕も「Drop Dead feat. TRINITY」です。初挑戦になった曲で、英語詞での歌唱もそうですし、海外のスタジオでのレコーディングだったり、全員でスタジオに入ってアドバイスし合いながら進めたりもしましたし。そういった初めての経験がこの曲でできました。

松井:何だろうなぁ…初めて自分たち発信でやった「HIGHWAY」ですかね。一番最初に自分たちの気持ちで作った曲だったので。赤ちゃんがだんだん自分の気持ちを持ち始めるみたいな。

砂田:物心がついてきたみたいなね。そうか、あの曲が初めてか。久々に聴きたいな。

松井:うん。こうしたいという感情が出てきたのがきっかけで「HIGHWAY」ができて、そこから「Chasin’」とかができていったのでこの曲です。

海沼:僕も「Drop Dead feat. TRINITY」です! コロナが明けて再スタートというか、全員がスタジオに入って全員で意見を出し合いながら参加して作った楽曲で。ミュージックビデオの撮影とか、新しい環境でいろんなことを学びつつ、それを日本に持ち帰っていろんな曲が生まれていったので。大きなきっかけとしてはこの曲になるのかなと思います。

──自分たちのやりたい音楽がどれくらいできたかという点では、振り返ってみるとどうですか?

砂田:できるようになっていきましたね。みんなの話を聞いて今までのことを振り返ると、最初は言われたことに全力で応えるというスタイルで、それしかできなかったというのもありますし、やらないといけなかった部分もありますけど。そこからどんどん実力をつけていって、やりたいことができるようになったというか。会社からの信頼を実績とともに得られるようになってきて、自分たちの理想の音楽…理想というか、やっとファンの皆さんや世の中が求めているものを、自分たちでわかるようになったのかもしれないです。だからこそ会社も任せてくれるようになったのはあるかもしれないですね。

深堀:もちろんやりたくない音楽をやっていたわけではないですけど、徐々にやっていくうちに制作過程の知識がそれぞれついていったり、自分たちには何が合っているか、今どういった音楽をやりたいかという自分の意志というものを、みんなが持ち始めたタイミングで少しずつ制作に携わらせていただくことができました。あまりないことだとは思うんですけど、すごくいいことだと思いますし、いつも言っているのは、メンバーである自分が作れるなら作った方がみんなの意見を誰よりも汲み取って反映できると思うので。引き続きやりたい音楽を作れるように、より頑張ろうと思います。

固定観念をBALLISTIK BOYZらしく崩したい

──前回の取材は武道館ライブの直前でしたが、改めて武道館でのライブはどうでしたか?

砂田:今までやってきたライブの中でも特に楽しかったですし、悔いのないライブになったし、自分たちができることはすべて全力でやりました。自分で言うのもあれですけど、本当にいいライブが作れたなと思いました。

加納:その前には『LDH LIVE-EXPO 2024』もあったり、一夜限りだったので、リハーサルの期間もその日に注いでいました。だから始まっちゃうしすぐ終わっちゃう寂しさもありましたね。ホールツアーを続けて、コロナ禍もあってなかなか次のステージに向かえない中、一夜限りとは言えどもステージの規模を上げられる機会がようやくできたので、約6年弱の一つの集大成にすることができたと思います。

──そして6月にはアリーナ公演『BALLISTIK BOYZ ARENA LIVE 2025“IMPACT”』も控えていますが、どんな内容にするか考えていますか?

松井:日々考えていますね。常に。

加納:常にここにあります(頭の横を指す)。

──近いですね(笑)。

日髙:タイトルのとおり、インパクトのある仕掛けをいっぱいしたいなと思っています。やりたいことが全部できるわけではないですけど、それってどうなの?と思うような、普通じゃない、前例にないことにもチャレンジしながら、固定観念をBALLISTIK BOYZらしく崩せたらベストかなと思います。それぞれにやりたいこともチャレンジしたいこともあるし、それを具現化して…だからすごい大変だと思います。

海沼:今は考えている段階ですけど、ここから作っていかないといけないですし。

日髙:全員歌って踊るグループって今はいっぱいいますけど、EXILE TRIBEだと僕らが初めてで、前例がなくて当たり前だなと思います。先輩方から学べるところはたくさんありますけど、スタイルとしてのお手本はいないですし、だったら作るべきだなと思ったので。LDHだからとか、EXILE TRIBEだからこうしなきゃというのではなくて、作っていきたいですね、いろんな仕掛けを。

深堀:やれるだけのことをやります。

砂田:謙虚に尖っていきます。

──ありがとうございます。また今回も時間がなくなりましたのでここで終了です!

奥田:早い(笑)!

日髙:いつも楽しいです、本当に。

撮影:小山恭史、インタビュー・文:長谷川チエ


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ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。2017年より『Culture Cruise』を運営開始。 ライター・インタビュアーとしてカルチャーについて取材・執筆するほか、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。ライブレポートや取材のご相談はお問い合わせフォームからお願いします。