【WordCamp Ogijima2018】離島でITと暮らす人々から学んだこと

2018年7月15日、香川県の男木島で開催された『WordCamp Ogijima 2018』のレポートです。

私は東京→飛行機で高松→フェリー(イベントのチャーター便!)で男木島に上陸。

このWordCampは、WordPressに関するカンファレンスで、毎年世界中、日本でも大阪や東京などで開催されています(それでもあえて男木島に参加したかった)。

WordPressとは、世界でもっとも普及しているCMS(コンテンツ管理システム)の1つで、Webサイト制作や管理が行えるオープンソースのツールです。

このCulture CruiseもWordPressで運営しています。

香川県に行くからには、旅行記事も書きたいし、(父が香川出身なので)お墓参りとか久々に旅もしたいのでゆっくり滞在しました。

ぬくもりを感じるIT

島に到着するなり出迎えてくれた男木交流館

この記事で伝えたいのは、とてもぬくもりを感じたということと、実行委員会の熱意です。

特に素晴らしかったのは、お子さん連れに優しいイベントだったことです。たいていこういう場合は、子育て中の方は参加を断念したり、周りに預けられる環境があれば参加するかもしれませんが、気になって集中できないことも多いはず。

しかしこのイベントでは、お子さんがいる方でも気兼ねなく参加できる配慮がたくさんありました。

きっと実行委員の方々も子育てされている方が結構いらして、気持ちを共有できたのではないかと思います(想像)。

セッション中は子供たちを集めて「いりこだしボトル作り」が行われていたそうで、いりこだしだよ…さすが瀬戸内だし、かわいすぎるじゃん。

なんてぬくもりのある委員会なのでしょうか。会場に来ていた子供たち、みんなかわいかったな。

子供がいても、親がスキルアップする機会があるって素晴らしいですよね。私は子供おりませんけれども、こういうイベントがもっと増えてほしいと思いました。

子供がいるからって何も諦めることなんてないし、むしろ子育て中の方ほどWordPressやITの存在は強い味方になってくれるのではないでしょうか。

それにしても、ここまで周到に準備され参加者の立場に立って考えてくれるイベントは初めてです。

島へ移住し、図書館を作った女性のお話

イベントには上級者も初心者も参加しているので、すべてのレベルを網羅するのは大変ですが、技術的なことよりもWordPressの生かし方に特化されているのが新鮮でした。

誰もが自分のライフスタイルと重ね合わせることができたのではないでしょうか。

登壇者の皆さんの貴重なお話から、私もたくさんのインプットができました。

どのセッションも素晴らしかったのですが、中でも印象に残ったのは、男木島への移住だけでなく、島内に私設の図書館を作ったWebデザイナー・額賀(福島)順子さんのお話でした。

ご自身はWeb関係のお仕事をされているので、離島でも暮らせる。でもそれだけでいいのか? と自問したそうです。

廃校になった小中学校を再開させるために尽力し、2014年に学校が復活。そしてご自身が所有する2,000冊の本を利用して、図書館も作ったのだとか。

子供の学習環境と、島民同士のコミュニティの場を提供する。この考え方が、オープンソースであるWordPressの哲学に似ているとおっしゃっていました。

「島に図書館がないなら作ってしまおう」と思い立った額賀さん。実際に行動したことも、島を発展させ、資産を作ったこともリスペクトです。文化を切り拓いている!

しかもこの図書館、とてもおしゃれでかっこいいのです。

公式サイトには、

“私たちは島と本を囲む全ての文化が好きです”

という文言があり、誇り高い素敵な言葉だと感じました。

私もオープンソース案件、何か始めたい。Culture Cruise(=WordPress)とともに切り拓きたいです。

島でのパン作りに情熱を注ぐ男性

さらに感銘を受けたのは、男木島に移住して「ダモンテ商会」というパン屋さんを経営されているダモンテ海笑さんがセッションでおっしゃっていた言葉です。

“売れるものではなく、売りたいもの、作りたいもの、情熱を持って作れるもの”

これを売っていくことが、飽きずに続けられてクオリティを保つのではないかというお話でした。

ダモンテさんにとってその存在はパンですが、自分にも当てはまる気がしました。

ダモンテさんの言葉はウィットに富んでいて「酵母をマネジメントする」とか、興味深い表現をたくさん教えてくれました。

自然と笑いを誘うプレゼンができるって素晴らしい才能ですよね。面白かったです。

さらに、1人の行動は意味がないように思えても、誰かにとってはフィードバックとなって影響を受ける、そうして世の中は動的になり多様性をもたらす。

その多様性の源泉こそが、1人1人がやりたいことをやることだともおっしゃっていました。

オープンソースであるWordPressは、まさにこれを実行するプラットフォームですね。


そんなダモンテさん、なんと二徹して参加者250人分のランチを作ってくれたそうです(めちゃくちゃ美味しかった!)

そしてイノシシ狩りもしているそうですが、私も今回男木島でイノシシさんと真っ向から対面しました(道を譲ってくれた!)。

この写真は急いで激写したのですが、今1番のお気に入りです〜。島の畑を荒らす問題児らしいのですが…こうして見るとかわいい!

他にもご紹介したいことがたくさんあるのですが、多すぎて書ききれません。

海外のスピーカーの方々も登壇されていてとても参考になりました。

実行委員長が通訳もスマートにこなしていましたが、参加者には外国の方もいらっしゃったので、彼らにとっては英語の2つのセッションしか理解できなかったのではないかな?という点が少し気になりました。

何はともあれ、都市部で行われるイベントもスキルアップには良いですが、離島での開催にチケットを購入して参加するのはけっこうなハードルです(すぐに完売したそう)。

都市部のイベントにはない交流も生まれていてほっこりしました。

離島でITを生かす工夫

離島とITという一見相反するものが混ざり合うと化学反応が起きる。WordPressやITを利用した柔軟な暮らしについて、じっくり考えてみようと思いました。

いろいろな方とどんどん繋がって、何か連携できたらいいなと思っています。私はフリーのライターですが、もはやそんな枠は飛び越えて何でもやりたい。
Culture CruiseのTwitterや、私の個人アカウントもフォローしてやってくださいませ!ほとんどの作業を1人でやってます)

このイベントを企画、実行した委員会の皆さまに感謝します。Culture Cruiseはこれからも、WordPressとともに力強く歩んでいきたいと感じた1日でした。

文 : 長谷川 チエ(@Hase_Chie


▼今回行われた9つのセッションは、すべてこちらから動画で見ることができます。親切!

WordCamp Japan:https://japan.wordcamp.org/
男木島図書館:https://ogijima-library.or.jp/
ダモンテ商会 :https://damonte.co/

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。2017年より『Culture Cruise』を運営開始。 ライター・インタビュアーとしてカルチャーについて取材・執筆するほか、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。ライブレポートや取材のご相談はお問い合わせフォームからお願いします。