【10周年インタビュー】「新たなI Don’t Like Mondays.のスタート」

2024年10月9日にデジタルEP『FOCUS』をリリースするI Don’t Like Mondays.。9月で10周年を迎えた4名にインタビューしました。

6年ぶりのEPリリース

ーーEP『FOCUS』はどんな作品に仕上がったでしょうか?

KENJI(B):前回の『RUNWAY』というアルバムでは、原点回帰をしてみようということでツアーも回ってみて、ライブ感のある楽曲がもっと散りばめられていくといいよねということでした。『FOCUS』はライブでやった時のバンド感を大事にして作ったEPなので、ツアーでやる時に、ライブが想像できる楽曲たちになったなと思います。

ーー前回「New York, New York」のインタビューでは「まだ曲が足りない」と仰っていましたよね。

KENJI:そうそうそう。それを埋めにいく作業でした。僕たちが今一番やりたいことが詰め込めたので、すごく良かったですね。

SHUKI(Dr):10周年ということもあって、今一度何をすべきかを考えた時に、自分たちを見つめ直して自分たちが一番かっこいいと思うことを突き詰めた結果、自分たちにしか出せない世界観を大事にしました。曲単体のことももちろん話し合うんですけど、パッケージとして匂いや雰囲気を感じられるものにしたいというのは、最初に話し合って作り始めましたね。

ーーEPという形態だと前作は何だったかなと遡ってみたら、2018年の『A GIRL IN THE CITY』だったんですよね。

YU(Vo):6年ぶりか。

CHOJI(Gt):久しぶりですね。

ーーシングルを出し続けて大きなアルバムを一気に出すという印象が強かったので、EPというイメージが今まであまりなかったです。

YU:曲単体だと世界観を表現しきれないので、ある程度パッケージにして世界観を立ち上げたいねという話はよくしてましたね。

ーーEPをリリースする構想はいつ頃から描いていたのでしょうか?

KENJI:『RUNWAY』ツアーの日本公演が終わった時くらいに「次どうしようか、アルバムではないよね」という感じになって、よりコンセプチュアルにしたかったというのもあるので、曲数としてもEPがちょうどいいということを話し合ったのが年末年始くらいだったと思います。過去イチ今回はデモを作って、スタッフも含めてみんなで聴いて、どれだったらこのEPに合うかを考えて進めました。

ーーデモはどれくらい作られたんですか?

SHUKI:どれくらい作ったかな。今の曲数の倍くらいじゃない?

KENJI:倍以上作ってるんじゃない?

ーー20曲とか?

KENJI:そう思うと少ないですね(笑)。「100曲作ります」っていう人もいるじゃないですか。僕たちの作り方としては、デモ数多めでトライしたかなという感じでした。

ーー「Shadow」はドラマ『モンスター』(カンテレ・フジテレビ系)のタイアップ曲にもなっていますね。

SHUKI:ドラマのお話をいただいたので、プロデューサーさんからドラマの世界観を聞いて、それを踏まえて僕らがやりたいと思えて、ドラマにもマッチした曲を作ろうというのが始まりです。僕らの中では普段あまり手を出さないダーク系のちょっとミステリアスな感じで、それもこの話があったからチャレンジできたのでやりがいがありました。

ーー「Shadow」の制作はどのように進めましたか?

SHUKI:最初は2曲デモを作って提出して、「こっちの方がより僕ららしいよね」という方を採用してもらえたので、安心して進められました。僕らが昔「こういう曲もやってみたいよね」と話していたようなものがハマりそうだなと思ったので、やったことはなかったんですけど、やってみたら悩まずできました。タイアップだからという意識はなかったんですけど、曲の中にも仕掛けがいっぱいできたりして、聴いてておもしろいなと思えるものができました。

ーー仕掛けというのは?

SHUKI:アレンジ的なものが多いですね。効果音とか。あれも気に入ってる…落ちサビの。

YU:コーラスね。Mixもこだわったよね。

KENJI:あーはいはいはい。聴いていただければ分かります(笑)。ハッとなる仕掛けが散りばめられていて、初めて聴いても楽しめると思います。試行錯誤というよりは、やりたいことを詰め込んでいったような曲で、よく上手くまとまったよね?

SHUKI:そうだね。あまり悩まなかったし、「こういうのいいじゃん」を繰り返していたら自然にできていった感じです。完成したものを聴くと、ライブでも迫力が出て楽しそうだなと思える曲になりました。

バンドサウンドを軸にした制作

ーーこのEPでは10周年というところも意識されているのでしょうか?

KENJI:今までを振り返ってすべてを踏襲したというよりは、僕たちの成長も含めた10周年という感じなので、一周回って、今一番やりたいことを突き詰めているという言い方が正しいのかと思いますね。

CHOJI:結果的にバンドサウンドになったなという印象があります。僕自身もギタリストとしてシンセサイザーに頼りすぎずに、ギターだけでも世界を表現できるようなサウンドにしたいなというのがずっとあって。デビューする前に4人で集まった時に、The KillersとかThe Strokesとか、みんなで聴いてライブにも行ったりしてて。改めて彼らのバンド感も踏襲して、10周年の集大成として、新たなアイドラのスタートという感じがしています。

ーーそれぞれの演奏でこだわった部分はありますか?

CHOJI:全曲こだわりました。録る音もそうですけど、録った後の処理も終電気にせずに、めちゃくちゃこだわろうと思ってやったり。その分Mixの安達(義規)さんには迷惑をかけたかもしれないですけど、それをやれたことで、よりいっそう思い入れも深くなりました。

KENJI:ベースは何だろうな…今までの中で一番生で弾いた楽曲が多くて、「Lonely Dancers」以外全部生ベースで録りました。音色のバリエーションには気を遣いましたし、今まではテックさん(楽器のメンテナンスや運搬などを行う人)任せだったんですけど、機材を一新した時期だったので自分で試したりして、どういう組み合わせがいいかをテックの人と話し合いながら作り込んでいけました。一番バンドサウンドにもなっているし、音にもこだわったかなという感じです。機材はデビューしてからあまり変えていなかったんですけど、精度上げなきゃだめだと思って(笑)。いろいろ買っていじったりして、楽しかったですね。

SHUKI:ドラムもベースと一緒で、去年EPのコンセプトを話し合った時からバンド感を軸に置こうというのは決めてたので、全曲生ドラムです。今までは打ち込みだけの曲も作っていたんですけど、今回は極力打ち込みを避けて生の音を大事にしようと思って作りました。僕もドラムを持って来てくれて一緒に音作りしてくれるテックの方がいるんですけど、その方と毎回話し合うと連携力も上がっていって、最後の方は多くを語らなくても察してくれたりして、そういうのもやってて楽しかったです。ドラムだけでどれだけできるかを突き詰められたので。

YU:去年くらいから発声の仕方や土台を改造していて、ようやく今年になってちょっとずつですけど、今回は自分が目指してきたものが実感できるボーカルワークが反映できて、この調子だなという感じです。去年だったら出せなかった倍音感だったり、響きの透明感だったり。使っているマイクは同じですけど、Mixで調整する時も、自分の中では今までとは違うように聴こえたなというのが、今回のEPでは印象的なところです。

ーーアートワークはどのようなデザインになりましたか?

YU:初めてやっていただくアートディレクターの方(安田晃大)と一緒にやったんですけど、僕らが表現したいことをかなり汲んでくれました。

KENJI:最初その方のインスタを見た時に、作品がかっこよかったので、この方とぜひ一緒にやりたいということで。

YU:オファーをさせていただいて、僕らのコンセプトも伝えつつ、彼なりの『FOCUS』に対する視点をMixしていただきました。「こういうのどうですか?」ってあげてくれたラインアップが全部かっこよくて、選ぶのが大変だったけど楽しかったです。かなりストレスフリー(笑)。

ーーどれくらいあげて来てくれたんですか?

YU:5〜6パターンくらいですかね。そこから方向性を話し合っていきました。

楽曲提供で生まれる化学反応

ーーここからは最近の出来事を振り返りたいのですが、9月7日には北山宏光さんへの提供曲「Just Like That」がリリースされました。

KENJI:曲はだいぶ前にできてたよね。

SHUKI:年始くらい?

KENJI:うん。年始に『FOCUS』のデモをガーッと作ってる時と並行して、北山くんの曲も作ったりしてました。

ーー北山さんのアルバム『ZOO』が出た直後だったので、どんな意図があるのかなと思っていました。

YU:元々はアルバムに入れるということでオファーしていただいて、ぜひお願いしたいということでやらせてもらったんですけど、思いのほか彼が気に入ってくれて。アルバムはアルバムで構成とかもあったので、シングルでやりたいということでゲリラ的なリリースになりました。ライブでもやりたいと言っていただけて。

ーー以前、北山さんに提供された楽曲も、北山さんのファンの方々にも愛されていますよね。そういう声は届いてますか?

YU:はい、届いてます! ご評価いただいて。

KENJI:何よりです。

YU:北山くんのファンの方々はそれから僕らのライブにも足を運んでくれる方もたくさんいらっしゃるので、また胸熱なコラボができて嬉しいです。

ーー「I don’t wanna die…」っていうセリフも入ってますよね?

YU:そうですそうです。作品の中では地続きだということを証明したかったということです。

ーー楽曲提供の場合とバンドの曲とでは、どんなところに作り方の違いがありますか?

SHUKI:一番はYUが歌わないというところですかね。北山くんはソロだけどSnow Manはグループだったり。グループだと歌うメンバーが変わっていくので、息継ぎとかを気にしなくてもいいですし。

KENJI:それはおもしろかったですね。ブレスを気にしなくていいっていう。

SHUKI:YUが歌う場合は、もちろん僕らもYUのキャラは分かってますけど、そうじゃない場合はその人のキャラが引き立たないと意味がないので、その人の歌のレンジだったり、グループの見え方は気をつけます。

ーーグループの特徴なども踏まえて制作するという感じでしょうか?

YU:昔だったら寄り添いにいこうというのがあったんですけど、今は、せっかくバンドにオファーしていただいているので、僕らのアイデンティティを崩さないように、その配慮の中で化学反応が生まれそうなところに曲を落としていくというやり方です。

ーー歌詞に関してはどうですか?

YU:歌詞についても、彼が歌ったらどんな感じになるだろう?ともちろん想像はするんですけど、せっかく僕らが作ってきた作品をいいと言ってオファーしてくれているので。僕が歌ってもいいと思えるものの中で、I Don’t Like Mondays.の作品だったらここまでは言わないかもなっていうところにもチャレンジできるフレーズもあります。もしかしたら、ある意味自由なのかもしれないです。それも楽しいです。

アイドラの年表に残るフリーライブ

ーー9月7日にはフリーライブも行いましたが、初めての試みでしたよね?

YU:初めてでしたね。

KENJI:すごいたくさんの方に集まっていただいて、純粋に楽しかったです。野外でやるとしてもだいたい対バン形式で、30〜40分くらいが多いので、ワンマンライブみたいなセットリストでしっかり組ませていただけたのも楽しかったです。10周年だったので、普段聴いてくれている皆さんへの感謝の意味も込めたライブにしたかったので、選曲も新しいものから過去まで振り返るというのをちゃんと実現できてよかったですね。

CHOJI:「LEMONADE」から「TONIGHT」につながるとか、昔から応援してくれていた人は懐かしいと思えたり、新しく聴いてくれている人は「やっと聴けた」って楽しんでもらえるポイントを多く入れられたセットリストだし、野外でフリーライブというのは、これからのアイドラの年表の中に残ると思うので、観にきてくれた人に感謝です。

ーー『Island Tour』では初めて行く場所も多くて、お客さんとの距離も近かったですよね。

YU:新鮮だったし、いつもだったら考えられないような小さいライブハウスでやらせてもらったりとか。

KENJI:デビュー前のことを思い出しながらやれて、改めてみんなに感謝したくなるいいライブでしたよ。

YU:沖縄とかも初めてで。ようやく行けて、みんなで大合唱してくれたりとか、熱い気持ちになりました。滞在中ずっと雨だったけど。

ーー観光はできたんですか?

CHOJI:一切してないです(笑)。

YU:ご飯は楽しみました!

KENJI:ご飯はね、すべての場所で楽しめました。日本ってほんとご飯おいしいなぁって思いました。

ーー特にどこの何がおいしかったですか?

YU:『Island Tour』ベストは、高知県!…のかつおだね。

CHOJI:かつおだね!

YU:かつおは僕大して好きじゃないんですけど(笑)、けっこう感動したな。かつおってこんなおいしいんだって。

KENJI:どこでも食べたことないかつおだったから、びっくりして。かつおの概念が変わる。みんなが想像してるかつおと違う。

ーーそしたら分からないなぁ。

KENJI:分からないですよね、まじでびっくりした。

YU:熊本の馬刺しだったり、北海道のジンギスカンだったり焼肉だったり、どこもぜーんぶすごかったんですけど、その中でも高知県のかつお(笑)。炙りだったんですけど、名物だけあるという感じです。

SHUKI:僕はメンバーとは別で1人で行ったりもしたので、そういうのもおいしかったなと今思い出してました(笑)。

KENJI:別行動というか、みんなと食べたのに別の時間でも食べてたよね。

ーー行きたいところがあったんですね?

SHUKI:そうですね、事前に予約して。帯広のフレンチはおいしかったですね(笑)。

ーーそして10月からはアジアツアーが始まりますね。

KENJI:この間ちょうどセットリストを仮で作って、間の演出も考え始めたところです。

YU:今までで一番、好き(笑)。表現したかった世界観のための曲もそろってきたし、バンドとしての完成度が上がったような気がしています。

ーー楽しみですね! バンドは11年目に突入しますが、やりたいことなど考えたりしますか?

KENJI:いい曲はずっと作っていきたいですし、海外のアーティストさんとコラボもしてみたいですね。

CHOJI:『Island Tour』もやりましたけど、まだまだ行っていないところもあるので、ああいうのをまたやりたいなと思います。

YU:まずは『FOCUS ASIA TOUR』をいかに完成度高く表現できるか、という段階ですね。ツアーが終わったらまたやりたいことが見えてくると思います。

撮影:小山恭史、インタビュー・文:長谷川チエ

■リリース情報

タイトル:FOCUS
配信日:2024年10月9日(水)
URL:https://idlms.com/news/detail.php?id=1118525

■ツアー情報

I Don’t Like Mondays. “FOCUS” ASIA TOUR
公演情報:https://idlms.com/live/tour.php?id=1002611

I Don’t Like Mondays. 公式サイト
https://idlms.com

I Don’t Like Mondays. 公式SNS
X:https://x.com/IDLMs_OFFICIAL
Instagram:https://www.instagram.com/idlms.official/
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ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!