【f5veインタビュー】クラブシーンから海外へ発信する日本の「UFO」

2024年10月17日に「UFO(ユーエフオー)」をリリースしたf5veに初インタビュー。新しい形の楽曲制作やプロデューサーとのコミュニケーションなど、f5veの楽曲ができるまでを紐解きます。

クリエイティブな制作で生まれた「UFO」

ーー新曲「UFO」は、今まで以上にコンセプチュアルな楽曲ですね。

KAEDE:UFOキャッチャーが上手すぎて、皆んなが「あの人エイリアンなんじゃないか?」と思っちゃうというユニークなテーマです。歌詞の“Gacha gacha”もあのカプセルトイ、ガチャガチャと掛けていて、言葉遊びが楽しい曲です。私はデモをもらってから早く歌いたいと思った曲の一つでした。

RUI:「クレーンゲームをイメージして作った曲」という話を聞いて、トラックに機械的、ロボット的な音も入っていて、実際にあるものを音楽でこんなに表現できるのも、Bloodpop®️とA.G. Cookだからこそだと思いました。どんな曲になるのだろうとワクワクしながらレコーディングしていました。

RURI:音数が多くて面白い曲というのが最初の印象です。キャッチーに聴こえますが、歌うと難しくて、レコーディングにみんなでブースに入って一緒に歌うところがあったのですが、試行錯誤しながらやりました。

ーーみんなで歌ったのはどの部分ですか?

SAYAKA:“Gacha gacha gacha find out”とかの掛け声ですね。

RURI:いろんな声質を録りたいとのことだったので、テンション高くやってみたり、ちょっと落としてみたり、遊び心を混ぜて制作しました。

SAYAKA:初めて聴いた時と、完成した曲とではロボットっぽさも足されていてアレンジも変わりました。

ーー最初の段階ではもう少しシンプルだったんですか?

SAYAKA:機械音はあまり入っていなくて、2番になると急にガッチャン!って入っている音とかはなかったです。

MIYUU:「UFO」はかなり前にレコーディングした楽曲だったのですが、最近完成した曲で。Bloodpop®️と私たちで常にコミュニケーションを取りながら楽曲を作っていく中で、他の曲も作りながら改めてこの曲を聴いてみると、もっとこういうアレンジを加えた方が面白いのではないかなど想像が膨らんで、「これはどう思う?好き?嫌い?」など、私たちの意志も尊重しながら制作しています。Bloodpop®️とA.G. Cookが軸となり、自分たちの想いも込められています。

ーーパフォーマンスは一度披露したことがあるそうですね。

KAEDE:その時はまだリリースは決まっていなかったのですが、「Underground」のリリースパーティーで一度だけパフォーマンスしています。たまたまそのリハーサルで「UFO」が流れて、ディレクターの方から「これみんなできる?」と聞かれ、振り付けはすでに完成していたので披露しました。パフォーマンスを観てくださった方々からの、「この曲やばい」「これはいつリリースなんだ?」というSNSの反響も大きく、「次は『UFO』だね」とリリースが決まりました。やっとお届けできて嬉しいです!

日本語の面白さを世界に発信する

ーーレコーディングはどんな雰囲気でしたか?

RUI:Bloodpop®️とA.G. Cookも一緒にスタジオに入り「今のサウンドいいね」「もうちょっとこうしてみようか」とOKやNGを繰り返しながらレコーディングしていきました。英語だったり日本語だったり、言葉の聴き心地や響によって「今のところ、もうちょっといける」など、声色やキャッチーさで、採用するかもう1回録り直すかを判断していく過程がクリエイティブな空間でした。たくさんの試行錯誤があったのでキャッチーな曲が完成したと思います。

ーーf5veのボーカルにもとても合っている楽曲だと感じたのですが、歌い方を工夫した部分はありますか?

RUI:疾走感は意識しました。今までの楽曲に比べると活発でエネルギーのある楽曲だと個人的には思ったので、フックはよりはっきりとアクセントをつけて歌うことを意識しました。

KAEDE:RUIちゃんが最初にレコーディングしたのかな?「もっとエネルギッシュに、もっとパワフルに」とアドバイスをもらっていたので、自分のパートもそれを意識して、エネルギッシュにレコーディングに挑んだら「ここは、もっとトーンを落としてみたい」って言われました(笑)。サビで疾走感を出すために、バースは色気のある、吐息混じりで大人っぽい雰囲気を出してみようというところから、コントラストのある曲になりました。

ーーアドバイスで覚えていることはありますか?

KAEDE:”ジャックポット machine is broke”の「『ジャックポット』はあまり英語っぽく歌わないでみて」と話していました。「もっと日本語っぽく、もっとカタカナで」って。世界には英語の曲がたくさんあって、みんなもう聴き慣れていると。日本語の曲はまだあまり浸透していないし、日本語のサウンドを世界に出したら聴きなじみがないからこそ面白くて、引っかかる。だから日本語をもっと入れていきたいということで。ポイントとなるところは日本語っぽく歌ってみよう、というアドバイスをもらいました。

ーー日本人だからこその難しさはないですか?

KAEDE:そうなんです。これが日本語の発音です!と思って歌うのですが、もう少しインパクトが欲しいなど、逆にカタカナのアドバイスをもらったりしました。いざ聴いてみると、言ってくれていたことが分かったんです。

ーー前作「Underground」はほぼ日本語で、今度は英語でという、バランスや切り替えが必要だったりはしませんか?

RUI:英語の発音に苦戦したり、課題はあります。その場で歌詞を追加したり、最初は英語だったものを日本語に変えてみたりすることも曲ごとに恒例行事になってきてます(笑)。大変なんですけど、でもそのおかげで、クリエイティブでいることを忘れず音楽制作に入ることができます。セッションを通して生まれたノリを曲にするというのが、対応力も含め、得られていることかなと思います。日本では全部決めてからレコーディングすることが多いので、アメリカっぽいというか、f5veの制作でしかできないことなんじゃないかなと思っています。

エグゼクティブプロデューサー Bloodpop®️について

ーーBloodpop®さんは日本にもけっこう来日されるんですか?

MIYUU:そうですね、今年も来日してくださいました。普段私たちは日本に、彼はアメリカにいるので、こまめにグループチャットで連絡を取っています。彼はよくジョークを言うので、それがコミュニケーションのきっかけになっています。私たちの好きなものを聞いてくれたり、日本のカルチャーが好きなので、プライベートで話す内容から生まれる楽曲も多く、f5veの楽曲にはそれがかなり影響していると思います。

KAEDE:アメリカに行った時、お休みの日にBloodpop®️の家へみんなで遊びに行かせてもらったこともありました。f5veのために作った楽曲ではなかったのですが、彼が作った楽曲を何曲も聴かせてくれて「どれが好きだった?」「これがめっちゃ好きだった!」「じゃあこれはf5veのために取っておくよ」みたいなやりとりもあったりして。レコーディングでは私たちもシャキッとスイッチが入るんですけど、オフの時はみんなのパーソナリティを知ってくれようとしたり、一緒にゲームして遊んだりして。その気さくさに私たちも心を開けるので、自分たちの思っていることを素直に伝えられるきっかけになっています。

ーーおうちに行けるのはとても貴重な機会ですね。

KAEDE:アニメが好きなメンバーも多いので「じゃあこのアニメ面白いから観よう」って流してくれたり、デザインの本とか漫画が置いてあって「これ知ってる?」「みんな見てみて」とか教えてくれたり。すべての趣味が彼の音楽制作に繋がっているんだなというのは、おうちに行っていろんなものを見て感じました。

ーーちなみに流してくれたアニメは何だったんですか?

KAEDE:『パンティ&ストッキング』という日本のアニメでした!

RURI:『フリクリ』というおすすめのアニメも教えてくれました。日本人の私たちよりも詳しいです。

世界を視野に入れた新しい試み

ーー「UFO」のMVも斬新な映像になっていますね。

SAYAKA:今回はUFOに乗っているエイリアンの私たちと、自分の分身を地球に送っているアンドロイドの私たちと、2パターンあったので、2日間に分けて撮影しました。特にエイリアンの方はインパクトがあるビジュアルなので、撮影している時も慣れなかったです。いつメンバーを見ても「あ、そうだよね」って(笑)。

ーーってことは自分も…となりますよね。

SAYAKA:自分もそうだった、みたいな(笑)。アンドロイドの方は踊り方を意識しました。カクカクしていたり、目線だけずっとカメラを追いかけてたり、アンドロイドになりきりました。

ーーどんなところに注目すると、リスナーがより楽しめそうですか?

RURI:サウンドは1回聴くと頭に残りますよね。私たちもリハーサルが終わってもずーっと頭に残っていて中毒性のある楽曲でもあるので、たくさん聴いて楽しんでもらいつつ、真似できる振り付けもあるので挑戦してみてください! やってみると難しいかもしれないです(笑)。

KAEDE:曲を聴いてからMVを観たら「えっ!?こういう表現なんだ」という、またちょっとイメージが違う楽曲のテーマや良さを感じてもらえると思います。私たちも今までに経験したことのない表現方法に挑戦し、観たことのない表現方法や映像に仕上がっているので、たくさん聴いて、MVもたくさん観てください!

ーー今後の活動で準備されていることはありますか?

MIYUU:アルバムが…出るかな(笑)! f5veは、この時期に出そうというより、いいものが完成してから、この時期にいいんじゃないかという出し方をしてるんです。日本のやり方とちょっと違うかもしれないです。だからこそ私たちも、リリースする時には自信を持ってお届けできています。自信のある楽曲をたくさん制作しているので、アルバム楽しみにしていてください!

SAYAKA:また機会があれば日本でイベントもやりたいです!

KAEDE:「Underground」のリリースパーティーを渋谷のクラブでやったのが楽しかったです。今までガールズグループがクラブイベントをやることはあまりなかったと思うのですが、パフォーマンスを楽しんでもらうのはもちろん、クラブだとより身近に私たちの音楽を楽しんでいただけると思うので、面白いことができたらいいなと思います。

RUI:日本語以外のコメントをたくさんいただくことも今までにはなかったことですし、世界各国に行って、皆さんにお会いしてライブすることが夢なので、世界を視野に入れて活動していきたいです!

撮影:小山恭史、インタビュー・文:長谷川チエ


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ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!