【RIKU ロングインタビュー】「逃げるわけにはいかない」巡ってきたチャンス、ソロプロジェクトへの想い

THE RAMPAGEのボーカル・RIKUさんがインタビューに初登場。11月25日から開催した『RIKUのMUSIC TIMES Billboard Live Tour』についてや、ライブに向けて書き下ろされた新曲「This is me ~約束の詩~」について取材しました。

シンガーとしての想いを証明する曲

──新曲の制作にあたって、最初はどんなイメージが浮かんでいたのでしょうか?

RIKU:まずタイトルがパッと出てきて、最初は「This is me」だけだったんです。自分が日常的に思っていることとか、日々お仕事をして感じた良いことも悪いことも含めていつもメモしているんですが、それを今回、作詞・作曲していただいた和田昌哉さんに鬼の長文LINEを送らせていただいて(笑)。僕が送った文章がそのまま採用されている部分もありつつ、主観的ですが第三者の目線で読解した内容を歌詞にしていただきました。和田さんはTHE RAMPAGEの活動の時からお世話になっているのですが、僕のパーソナルな部分をすごく理解してくださっているからこそのスピード感で、曲が完成するのも速かったです。

──どのくらいだったのでしょうか?

RIKU:制作が始まってから本番のレコーディングまでは3週間くらいでした。信頼関係があってのオーダーだったり、多くは語らずとも感じ取ってくれる和田さんやチームの皆さんがいらっしゃって、この曲が生まれました。制作期間としては短いですがもちろん妥協は一切なく、ライブ前にサプライズ的な配信ができるという状況が整って、すべてが円滑に進んで感謝感謝ですね!

──和田さんからのLINEのお返事はどんな内容でしたか?

RIKU:他にもお仕事されている中での作業だったのに「返信を待たずに思った時に思ったことを送ってくれていいから」と言ってくれました。ここは胸を借りるつもりで「こういう感じの楽曲がいいです」とか常に送って。そしたら予想を上回る楽曲だったので衝撃的でした。「キター!そういうこと!」という嬉しさと、「何で分かってくれるんだろう?」という不思議な感覚、「絶対にこの楽曲を最高の形でお届けするぞ」という3つの想いが同時に湧き上がってきました。

──最初にタイトルが浮かんだという時の状況は覚えていますか?

RIKU:ビルボードライブツアー(『RIKUのMUSIC TIMES Billboard Live Tour』)が決まった時は、オリジナルの新曲を作れると思っていなかったんですけど、決まってから発表するまでに1ヶ月くらい期間があって。どういうツアーにしようかとセットリストを組んでやりたい曲を並べていたら、どうしても曲数的にカバー曲が増えると。じゃあせっかくなら今の自分が感じたことを書いてみようと提案してみたところ、賛同してもらい、すぐにこの新曲制作のプロジェクトが動き始めたんです。早めのクリスマスプレゼントとしてもファンの皆様に喜んでいただけるかなと思って。僕というシンガーとしての根底にある想い、今の気持ちですと証明するにはぴったりの言葉だと思いました。楽曲は聴いてくださる方々のために作って発信していくものですし、皆さまが普段、僕に対して求めていることは承知しているつもりなので(笑)、皆さまへの誠意や決意表明、約束ということで「~約束の詩~」というサブタイトルをつけました。

──先ほど仰っていたメモというのはどういった内容なのでしょうか?

RIKU:そうですねぇ…(スマホを操作する)“日々生きていく中で真っ暗な水の中みたいにあがいてても、これが前進なのか後退なのか、上昇なのか下降なのか、分からないような世界で、息苦しさに耐えながら今日も乗り越えていく。その先に欲しかったものがあるか分からないのに。でもそんな苦難、困難でさえも幸せの欠片なんだって思えたらちょっとだけ笑顔になれる気がする。ちょっとだけ優しくなれる気がする。きっとこんな風に思っている人は僕だけじゃないはず。僕は自分の気持ちを伝えるのがとても苦手だから、歌に乗せて届けていく。不思議と音の上では素直になれる”…って書いてあります!

──とてもしっかり書かれているんですね!

RIKU:その前に書いたのがこれです。“僕が誇れる僕になりたい。だめだと分かっていても自分を傷つけてしまう、そんな日なんてよくある。僕が僕で生まれた理由を探す旅。君が君で生まれた理由を探す旅。それが人生なんだと思う。その答えにたどり着いた時、初めて僕は僕を誇れるだろう。

──もうこのまま歌詞にできそうです。

RIKU:ちょっと生々しいというか、本当に嘘なく正直に書いてるんですけど、作品にする上では誤解を招く恐れのある言葉のチョイスは避けて歌詞にしています。心配させるために歌うわけではないから。だけど歌詞の裏には、こういう想いがあるという感じです。歌詞になる前の、僕のメモです。

──これは最初から、歌詞に結びつけることをイメージして書かれたメモなんですか?

RIKU:そうです! いずれ楽曲制作で必要になると思ったので。人間なのでメンタルの浮き沈みがあるじゃないですか。性格的には悪いことはすぐ忘れたいタイプなんですけど、元気になってその時のことを思い返すのってしんどいから、辛いと思った時に書き留めた方が楽というか。いつか楽曲を作る時に使えそうだなと思って、ただただ日記の簡易バージョンみたいに書いていました。

──じゃあ日々少しずつ書き溜めていたんですか?

RIKU:そうですね。今は1日を振り返って日記を書いています。まだ3週間くらいですが、それは歌詞向けというよりは「なんでこうなるかな」っていう愚痴も書いてるし、もちろんいいことも。自己啓発するのが好きなのかもしれないです。

──実際に手書きしているわけではないですよね?

RIKU:日記の方は、ノートとシャーペンと消しゴムを買ってきて書いてます! 書くっていいなと思って。だから字の丁寧さでその日のメンタルが分かるんです。「ぜってー負けねぇから。ランぺが最強だって証明してやる」ってノートの半分くらい使って殴り書きしていた日もありました(笑)。それくらい気合い入れて頑張らないと、未来は明るくないと思うので。どういうテンションで書いたか分かるのがいいなと思って、手書きで書いています。

辛い道を選ぶのが近道

──レコーディングの際、歌い方などで意識したことはありますか?

RIKU:スキルフルなことは一切抜きにして、音に身を任せて感じたままにパッションで歌うことだけを考えました。そしたら人間味のある作品になったので、普段のTHE RAMPAGEとはまた違った、バンド的な生々しさがある作品になったと思います。それが一番やりたかったことです。性格的にも回りくどいことが苦手で、器用なタイプではないので、ふんどし締めて日本刀で「ヤー!」みたいな(笑)。それがプロジェクトの第一歩としては潔いかな、僕らしいかなと思ってこの形にしました。

──今回の制作を通して、気付けたことや学びはありましたか?

RIKU:辛い時こそ目を背けてはいけないと気付きましたね。僕はトイプードルを飼っていて、名前がルークっていうんですけど、毎日「生まれ変わったらルッちゃんになりたいな」って言っているくらい、彼の無邪気さのように楽して生きていきたいと思うんです(笑)。でも人間に生まれて紆余曲折や山と谷を経験して、良いことも辛いこともあるから自分という人間が作られて、人生という長い観点では必要な試練だからそういうことが起こるのかなと、この曲を作りながら思って。リアルタイムで辛いことを良く捉えるのは難しいけど、乗り越えた後に辛い経験も含めて愛す、受け止めることができたら、もっと自分を大事にできたり、人に優しくなれたり、気持ちを理解してあげられる人間になれるんじゃないかなと思うから。神が与えた試練かもしれないし、ただの不運かもしれない。でもそういう時こそ成長のチャンスが転がっているとも思います。職業柄、辛い道を選ぶのが近道だと思うので。できるうちに無理した方がいいと思うし…嫌だけど(笑)。そのために必要なのはしんどいことの方が多いと思うので、頑張らないとなと思います。

──辛い道を選ぶ方が、より強く幸せを感じるのかなとも思います。

RIKU:小さな幸せを見つけるのは上手になった気がしますね。親友と飲み屋でゲラゲラ笑っている時がめっちゃ幸せなんですよ。でもお互い仕事を頑張っているから、頻繁にできることではないですよね。月に1回集まれるかどうかくらいで。いつも「ここに行きたい!」って言って、付き合ってもらっています。

──優しいお友達ですね! お忙しいからこそ、息抜きも大切で幸せな時間になりますよね。

RIKU:高校2年生からこの道を目指していたので、大学にも進学せず、その頃の青春は経験していません。でもそういう時間を捨てているからこその今であって、同窓会で会った時の幸せはみんなの100倍感じている気もするし。何かを得るには何かを犠牲にしなきゃいけなくて、何でかなと思っちゃいますよね。何でも得られたらいいのにって。

──あの時両方選べなかったのかとか、後になっても考えてしまいます。

RIKU:でも人間は欲張っていいと思います。その時は我慢しなきゃいけないかもしれないけど、一つ乗り越えたら、その時捨てたものを取りに行っていいと思います。だって幸せになるために産まれて、生きているわけじゃないですか。だからわがままで良いんだと思います。そんなわがままで、曲を作りました。

ビルボードライブは一つの試練

──ビルボードでライブができると聞いた時は、どんなお気持ちでしたか?

RIKU:もう嬉しいとかの次元じゃなかったですね。このお話をいただいた時、やっと少し、普段の練習とか活動が形につながったと思えてすごく嬉しかったです。でも舞い上がらなかったですね。「おいRIKU、ここだぞ。お前やれよ」って言い聞かせました。

──同じくTHE RAMPAGEのボーカルの川村壱馬さんや吉野北人さんも、今年ソロでもご活躍されていましたが、RIKUさんの目にはどのように映っていましたか?

RIKU:メンバーとしてとても嬉しくて誇らしく思っていました。だけど1人のシンガーとしてはものすごいジェラシーで。この2つが同じくらい熱量があったから苦しかったですね。本当に嬉しかったんです。本人たちがやりたいスタイルの音楽ができてるから。本当に良かったなって作品も全部チェックしてたし。「北ちゃん、めっちゃTikTok回ってくるよ」「あのアニメの主題歌歌っててやばくない?壱馬!」とか。それと同時に…これを考えると涙が出そうになるんですよね。すごく悔しかったので。

──それはソロプロジェクトへの強い想いからですか?

RIKU:そうです。周りの人どうこうではなく自分の問題で。レッスン生時代は、今はDOBERMAN INFINITYのメンバーでもある林和希と一緒に歌うことが多かったんです。オーディション対策で一緒に練習したり、僕らが受からないでどうするんだという感じで切磋琢磨して。オーディションの後、別々になってしまいましたけど、和希は和希の努力があって頑張っている中で、自分はどうなんだろうって…。だけど諦めきれないじゃないですか。いつかいつかと思ってやっていたら、やっと初めてこういうチャンスが巡ってきたので、めちゃくちゃ気合い入ってます。

──ビルボードライブのステージに立つことは、RIKUさんにとってどんな意味を持ちますか?

RIKU:僕にとって特別な機会です。まさかこんなに早くできるとは思っていなかったので、ありがたいですね。諸先輩方もステージに立たれていて、リスペクトを持ちながらも、先輩たちにもあいつの歌はやばいと言っていただけるくらいのライブを絶対にやると気合いが入っています。この嬉しさは、なかなか人が感じたことのない感情なんじゃないかとすら思ってしまいますね。

──それこそが、RIKUさんが辛いことから目を背けなかったことの証明なんじゃないでしょうか。

RIKU:ありがとうございます。これはまた一つの試練だと思って、ここでかませなかったらどちらにせよ無理だなという覚悟で挑むつもりです。先輩方のように成功を収めたいという夢や目標があるから、逃げるわけにはいかないです。生バンドで臨むので、ぜひ楽しんでいただきたいですし、楽曲もたくさん聴いていただきたいです。

──大切に聴かせていただきます!

撮影:小山恭史、取材・執筆:長谷川チエ

リリース情報

RIKU New Digital Single
「This is me 〜約束の詩〜」


2025.11.21 Release

ミュージックカード11/25(火)発売

▼Streaming & Download
https://rmpg.lnk.to/1121_RIKU

▼未公開カットはInstagramへ




ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。2017年より『Culture Cruise』を運営開始。 ライター・インタビュアーとしてカルチャーについて取材・執筆するほか、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。ライブレポートや取材のご相談はお問い合わせフォームからお願いします。