【PKCZ®︎インタビュー】時間のマジックで連動する2曲のコラボ「Times feat. MA55IVE THE RAMPAGE」

6月11日に「Times feat. MA55IVE THE RAMPAGE」をリリースしたPKCZ®︎のEXILE MAKIDAIさん、DJ DARUMAさん、白濱亜嵐さんにインタビュー。MA55IVE THE RAMPAGEとの制作や、2作品が連動するポイントを紐解きました。リハーサル風景の写真とともにお届けします!

希少価値の高いアーティスト写真

──前作のアルバム『Put Your Hearts Up, Everybody Jump Up』から約1年ぶりのリリースですが、この1年はどんな変化がありましたか?

EXILE MAKIDAI(以下、MAKIDAI):今年はちょっと違ったアプローチをしていきたいねという話はしていて、みんながそれぞれ、この1年で培ってきたものが自然に形になっていきました。流れを汲んでどういうものが良いのか考えて、意思の疎通を図っていくのは本当に早いチームだと思うので、まずライブを掲げて、それに向けての曲を用意したりだとか。今回のトラックは亜嵐が主軸になってくれました。

白濱亜嵐(以下、白濱):「Times feat. MA55IVE THE RAMPAGE」がまさしくこの1年の変化じゃないですかね。僕が加入してからダンスポップミュージックみたいな雰囲気だったんですけど、今回のようにシックでクールなサウンドで、こういう表現ができるのがPKCZ®︎だと思うので。ライブを経て2年間のツアーとしてやって、この曲が生まれたなというのはすごく感じますね。ダンスフロア特化型の曲になりました。

MAKIDAI:ポップな面とシックな面と、両方できるようになったよね。

──ジャケットのイメージはDARUMAさんが担当されたということですが。

DJ DARUMA(以下、DARUMA):はい、監修をさせていただきました。

MAKIDAI:これいいよね。擦れて盤が浮き出てこういう風になっちゃうんですよね。

DARUMA:MA55IVE THE RAMPAGE側の「Changer feat. PKCZ®」のジャケットと対になっていて、2つで1つの表現をしたいと思ったので、「Changer feat. PKCZ®」の方はシールを剥がした状態になっているんです。

白濱:シールがペロッとめくれたような感じになっていて。

DARUMA:剥がした状態の方は新品に近くて、時間経過が表現されているジャケットにしたいと思いました。

MAKIDAI:今回のアー写もそうだもんね。ミラクルが起きてる。

DARUMA:これはビッグ・ショット(1970年代に製造されていたポラロイド)で撮ったものなんですけど、ポラロイドって時間によって浮き出てくるものなので、これも一つの時間を表すものじゃないですか。それもいいなと思って。

MAKIDAI:いつも撮ってくれているカメラマンさんが、今はもう販売されていないカメラを持ってきてくれて。

DARUMA:アンディ・ウォーホルが好んで使っていた、70年代に数年間しか製造されていなかったという機種ですね。なおかつそれ専用のフィルムじゃないと撮れなくて、今は製造されていないヴィンテージで、今世の中にあるものを使い切ったら終わりなのでほとんど出回っていないんです。それでミーティングでその話をしていた時に「俺それ持ってる!」ってカメラマンのP.M.Kenさんが。しかも「最後のフィルムをどう使おうかを考えながらストックしてた」と言ってて。このタイミングだったら超バッチリだって放出してくれたんです。

白濱:1枚1枚をあんなに大事に撮ったのは初めてでした。

MAKIDAI:ちょっとずれたりしちゃうんですよ。大昔の写真の撮り方みたいな。

白濱:僕はたぶん3枚くらいしか撮ってないと思う。

MAKIDAI:亜嵐は表情コントロールが150点だから(笑)。現場でもさすがだっていう話になってました。

──この間GENERATIONSさんの取材でうちでも亜嵐さんを撮影して、何百枚の中から何枚かを選びましたけど、自然体なのにちゃんと決めるところは決まっていて本当にすごいなと思いました。

DARUMA:今回の撮影で俺も思いました。プロだなって。

MAKIDAI:分かってるんですよね。ずるいよなー(笑)。

白濱:いやいやいや。でも全体として、かっこいい写真になりましたよね。

時間がキーワードとなる2作品

──今回の2曲は時間がキーワードになっているんですね。

MAKIDAI:MA55IVE THE RAMPAGEとの掛け算という意味で、“クロスポイント”の「Times」だったんですけど、「Times feat. MA55IVE THE RAMPAGE」ということで、時間も表していて2つの意味があります。

──トラックの制作はどんな風にスタートしていきましたか?

白濱:MA55IVE側の曲を作る時に、アッパーな曲が少ないので速めのBPMにしたいとメンバーから聞いていたのと、DARUMAさん、MAKIさんからもこういうサウンドがいいんじゃないかというのを伺っていました。今まではトラックメイカーをチームに引き入れることが多かったんですけど、こういうイメージだったら僕ができるなと思ったので、そのまま自分で打ち込みました。PKCZ®︎でのライブをやることによって、どういう曲でどういう音を出せばお客さんが盛り上がってくれるのかなというのは、ここ数年で僕自身も理解ができてきたので、1日で8割くらいができたので速かったですね。

──ソロでは12ヶ月連続リリースもされていて、制作のスピード感も鍛えられたりするのでしょうか?

白濱:今も楽曲制作をしているんですけど、僕は最近ダンスミュージックをやることが多いので、その感覚がフレッシュというか、ダンスミュージックの最前線にいるような感覚なので、すぐにできたのはあるのかもしれないですね。ずっと続けることによって磨かれていきました。

MAKIDAI:亜嵐が今いろんなところに出ていって最前線でいろんな曲に触れているので、そこへの信頼感もありましたし、自分たちの求めていたものにもしっかりとハマっていたので「最高だね、これでいこうよ」というテンションでした。

DARUMA:今っぽくてかっこいい曲ですよね。トラックダウンだけはクラブミュージックに慣れている人にやってもらった方がいいというのは即座に思って、フロア鳴りを考えられる人にやってもらおうということになったんです。普段はベースミュージックとかクラブ界隈のエンジニアさんで、元々はDJの方なんですけど。その人にやってもらったら亜嵐の表現したいことが倍増するのかなと思って、裏側の作業段取りだけ整えました。

白濱:ミックス作業って別の職業なので、1人でやる人もいるんですけど、専門家を立てて進めた方が絶対的にクオリティがよくなりますよね。僕が彫刻で彫って形が見えたものを、磨き上げてもらうというか、ツヤを出してもらうというか。それって自分にないスキルなので、とても助かりましたね。今回も今っぽいきれいな鳴りになりました。今回を経て、次また頼む時はこうしたらいいなというのが分かったので、もう1回頼んでみたいなと思って。同じソフトを使っていたので、そのままデータを投げられるので。とてもいい経験になりました。

──そもそもMA55IVE THE RAMPAGEさんとコラボすることになったのはなぜだったのでしょうか?

DARUMA:HIROさんから「この2組でなにかやったら面白くない?」と1年くらい前から言われていて、実際に形にするタイミングが今回だったという感じです。

MAKIDAI:MA55IVEチームも個性豊かで、クラブカルチャーが好きでそこを通ってきているというのもリンク点でした。いつかお互いの曲をフェスとかできたらいいなと思いますね。

──この2曲は具体的にどんなところが繋がっていますか?

MAKIDAI:同じ日に2曲まとめて録っているんですけど、「Changer feat. PKCZ®︎」を録った後に「Times feat. MA55IVE THE RAMPAGE」用に録ってもらって、それを使っています。元々コラボをする時に、リンクポイントは増やしたいねというので、MA55IVEが歌った声を「Times feat. MA55IVE THE RAMPAGE」でも同じフレーズで歌ってもらって、別の曲なんだけどリンク率の高い2曲にしようというのがありました。コラボのアプローチとしては新しいやり方になったと思います。

DARUMA:セルフサンプリング的なことはやってみてすごく面白かったです。自分たちの曲をサンプリングするのって、実は僕の中で明確なリファレンスがあったんです。Daft Punkが出した『Random Access Memories』という、結果的に最後のアルバムになっちゃった作品なんですけど。

──解散してからももう何年か経ちますよね(2021年解散)。

DARUMA:Daft Punkって元々60〜80年代のディスコやソウルをサンプリングしたものを、4つ打ちのダンスミュージックにしたところから発祥しているじゃないですか。『Random Access Memories』って、そのサンプリング元になった自分たちのマジックが込められているソウルやディスコ的なクラシックになりうる音楽が作りたいということでできたアルバムだとインタビューで言ってて。実はあのアルバムの後にもう1枚、『Random Access Memories』をサンプリングしたアルバムを出そうとしていたらしいんです。だからアルバムの最後の曲は”Contact”って曲で、あの曲って2002年に昔からのレーベルメイトDJ FALCONと一緒に作った曲が下敷きになっていて、まさに前述したセルフサンプリング・アルバムへの”Contact(接触)”って意味だと思うんです。過去の自分たちに繋げることが、結果最新のアルバムのスタイルになっていたかと思うと超ワクワクしますよね。まぁ結果的に出さずに解散してしまったんですけど。今回その手法をクイックにやってみようと思って。結果僕たちの場合は、まだ出ていない曲をサンプリングするやり方になりました。

MAKIDAI:ほぼ同時に近いもんね。

──むしろ先に行っていますよね(笑)。

DARUMA:時間のマジックもあって、トリッキーで面白いかもと思いましたね。とても有意義な創作になったかなと思います。

──今回は制作に関わる人数も多かったと思いますが、MA55IVEさんとはどのように制作を進めていきましたか?

白濱:それが全然スケジュールが取れなくて。

DARUMA:MA55IVEは特に多忙でやばい時期でしたね。THE RAMPAGEのツアー前というのもあって…ていうかずっとツアー前のような気もするんだけど(笑)。

白濱:オンラインでやりとりして、宿題を預けました。「言いたいこと10個考えてきてね」とか。

MAKIDAI:リファレンスもあったので、それをBBY NABEさんに投げて調理していただきました。レコーディングの日はNABEさんが際立ってたよね。

白濱:BBY NABEくんがいなかったらもう、まとまらなかったですね。作り方が本当に上手いし、速いですよね。ディレクションも的確で分かりやすいし。ボーカルディレクションって的確に言ってくれると助かるんですよね。バイブスで言うタイプの方もいるので。

初めての方でも楽しめるライブに

──7月、8月に行われる「PKCZ® DJ LIVE SHOW 2025 ~Times Changer~」の準備は進んでいますか?

MAKIDAI:大テーマは感謝のお返しです。DJ LIVE SHOWという名の通り、既存の曲をそのままやるというよりは、マッシュアップしたり、remixとか、全体として普通に曲を流すだけではない楽しみ方ができると思います。みんなが聴きたいだろうなという曲は、そこがおいしくなるようなかけ方とか。いろんな手法があると思うんですけど、とにかく盛り上げることに特化させた、自分たちの武器を投入していくようなDJならではのやり方です。初めて来た方でも楽しめるのは大テーマで、曲を知らなくても「楽しかった! めっちゃ汗かいた!」みたいな動けるライブになると思います。前回よりもクラブミュージックに寄った内容になっているかもしれないですね。

DARUMA:うん。動きやすい格好がいいかもしれないですね。

白濱:トレーニングウェアで(笑)。

MAKIDAI:ツアーグッズがトレーニングウェアだったらやばいね(笑)。

DARUMA:前回もお客さんが「足終わったー」とか話しているのが聞こえてきました。

MAKIDAI:PKCZ®にはそこからのアフターパーティーがありますからね。本当に楽しいです。

白濱:僕よく考えるのが、PKCZ®のライブに来てくれる方々って、EXILE TRIBEのライブに行く方もけっこういるじゃないですか? どういう使い分けしてるんだろうって。

──それこそ亜嵐さんがその現象の中心にいるわけですよね。

MAKIDAI:ヘドバンする人はTRIBEにはなかなかいないですもんね(笑)。最近は亜嵐に電話しても「今から海外で飛行機乗るんで」とかが多くて。DARUMAさんもPKCZ®以外のプロデュースもやっていたりしますし。

──DARUMAさんは、他での活動がPKCZ®にインスピレーションとして影響を与えたりもしますか?

DARUMA:それは生活全部がそうですね。打ち合わせしている時とか映画観ている時とか、PKCZ®の活動に限らず起きている時間全部が各仕事と連携している感じです。

MAKIDAI:「思いのほか良いのを思いついちゃったので、僕のにしていいですか?」

DARUMA:それはSHOKICHIさん(笑)。いろんなアーティストと仕事させていただいてて思うのが、大きい括りではLDHでも、ファンダムの個性ってあるんですよね。「このファンダムにはこれがフィットしそう」とか「ちょっとだけファンダムの感覚の先をいくことをやってみよう」とか。意外と被らないかもしれないですね。

MAKIDAI:PKCZ®の場合は今回のコラボみたいに、アプローチの角度自体がワークスの一つになっているのかなと思います。ダンスミュージックのクリスマスソングとか、今後も新しいアプローチをどんどんやっていけたら面白いなと思っています!

インタビュー・文 / 長谷川チエ


【リリース情報】

PKCZ® Digital Single
「Times feat. MA55IVE THE RAMPAGE」

(LDH Records)

2025.6.11(水)Release

▼Streaming & Download
https://ldh.lnk.to/Timesfeat

MA55IVE THE RAMPAGE
Digital Single『Changer feat. PKCZ®』

2025.6.27(金)Release

▼Streaming & Download
https://ma55ive.lnk.to/0627changer

【ライブ情報】

PKCZ® DJ LIVE SHOW 2025 ~Times Changer~

<公演日程>
8/15(金)17:30開場/18:30開演
会場:GORILLA HALL OSAKA(大阪)

<チケット料金/規定>
全自由¥9,350 (チケット代 ¥8,500 +税)
整理番号付き・入場時ドリンク代別途 ¥600

※6歳以上有料、5歳以下入場不可
※各公演4枚までエントリー可能

▼詳細はこちら
https://www.ldh-liveschedule.jp/sys/tour/34911

▼PKCZ® 公式ホームページ
https://www.pkcz.jp


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ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。2017年より『Culture Cruise』を運営開始。 ライター・インタビュアーとしてカルチャーについて取材・執筆するほか、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。ライブレポートや取材のご相談はお問い合わせフォームからお願いします。