GENERATIONSがメンバープロデュース楽曲を6ヶ月連続で配信リリースする『PRODUCE 6IX COLORS』。今回は第4弾として5月5日にリリースされた「MY GENERATION」をプロデュースした小森隼さんにインタビューしました。
よりGENERATIONSを知ってもらう機会を作るために
──GENERATIONSのメンバーがプロデュースをする『PRODUCE 6IX COLORS』ですが、ここまでの3作品はいかがですか?
小森隼(以下、小森):3作品ともひとりひとりのプロジェクトがなければ生まれなかった楽曲が揃っているなと思います。今までのGENERATIONSの楽曲制作や作品作りでは生まれない曲ができた感じもしていて、プロジェクトが動いている充実感がありますね。
──そして第4弾の「MY GENERATION」ですが、テーマはあったのでしょうか?
小森:自分の中では2つのテーマがありました。1つはGENERATIONSの活動で、音楽フェスやロックフェスに出させていただく機会が増えまして。徐々にロックファンの皆さんに受け入れていただいているという体感があって「曲は知らないけどグループの名前は知ってるよ」とか「フェスで観て単独ライブに来ました」と言ってくださることが増えてきていたんです。ダンスボーカルの音楽畑ではない界隈の方々にも受け入れられてきているなという体感があったので、よりGENERATIONSを知ってもらう機会を作るために、バンドミュージシャンの方に楽曲を手がけてもらいたいというのが1つでした。もう1つは楽曲の方向性として、背中を押せるようなエネルギッシュさもありながら、メッセージ性のある曲を作りたいということでした。
──ロックフェスの手ごたえは、どんなシーンで感じていましたか?
小森:フェスに呼んでいただける場所が増えたり、男性の方々の声を耳にするようになったりだとか。「この間友達がフェスでジェネ観たって言ってたよ」とか、実際の声になって自分たちにも届いていました。ということは、あの瞬間僕らが出ているのを観てくれた人の数だけそれがあると考えると、徐々に広がっているんだろうなという感じですね。

──そして制作してくれた後藤正文さんですが、今までどんな交流があったでしょうか?
小森:元々学生時代からASIAN KUNG-FU GENERATIONがすごく好きで、楽曲はずっと聴いていました。僕がレギュラーでやらせてもらっているラジオ番組で語り続けてたらご本人まで届いて、ゲストで来ていただいて、そこからですかね。ライブとかフェスを観に行かせていただいたり、他のラジオ番組でもご一緒させていただきました。僕が好きだという一方通行がちゃんと届いてくれて、メディアでお話させていただいたりしていました。
──オファーした時の後藤さんのお返事はどのようなものでしたか?
小森:プロジェクトとテーマの内容だったり、なぜ後藤さんにお願いしたいのかをお伝えさせていただいて、企画もそうだし、小森くんプロデュースということで、ぜひ一緒に作品を作らせてもらえればというお返事をいただきました。嬉しいですよね!
──最初に曲を聴いた時はどう思われましたか?
小森:とても嬉しかったですね。自分自身がプロデュースした曲が完成したということで現実味が湧いたのと、ゴッチさんにお願いして作ってくれた曲が形になるという実感がものすごく湧きました。
──後藤さんとはどのように連携を取りましたか?
小森:最初はリモートで打ち合わせをしました。僕の中ではテーマもはっきりしていて曲や歌詞の方向性も見えていたので、アジカンの曲をリファレンスとして出したり、「踊れる邦ロックを作りたいので、アジカンで言ったらああいう感じで、この曲の爽快感とか広がる感じとかを狙っていきたいんです、歌詞も背中を押すような感じにしたいです」と具体的なものを投げて、ゴッチさんがキャッチしてくれたという感じですかね。

──歌詞の内容についてはどのように捉えていますか?
小森:今回は特に僕が「こういうことを伝えたくて」と言ったので、いろいろなワードからイメージできるものがありました。自分だったらこういう風に受け取れるなとか、ここに共感できるな、自分のストーリーではこういう風に落とし込めるなとか、いろいろな言葉に自分を当てはめることができました。でもゴッチさんの歌詞って詩的じゃないですか? まるで小説とかエッセイを読んでいるようで、ゴッチさんもいろいろなメディアでもおっしゃっていますが、作ったものを紐解いてこういうものだよと言うよりは、受け取った人たちのものだからその人の解釈に任せますというところがあるので、いろんな解釈ができると思います。
──そんな後藤さんとの制作はいかがでしたか?
小森:今回はバンドサウンドとダンスミュージックの融合を目指したんですけど、リズム隊は打ち込みなんです。ドラムとかベースとか、シンセだったり音ハメの部分とか。でもギターは生でやりました。それをアジカンの喜多(建介)さんとゴッチさんが弾いてくださったんですけど、そのギターRECにも立ち会って、それがすごく新鮮でした。バンドの方ってこうやって音作るんだ! っていうところが。「ギターのフレーズとかこういう風に作れないかな」とか、その場でやっているあの感じ。テイクも重ねながら「今のフレーズの方が良かったな」とか。デビューして13年目のキャリアになりますけど、初めての制作方法の触れ方で、僕らは生でRECしたものよりも打ち込みで作るので、バンドが入って1からレコーディングすることが今までなくて。それが刺激になりましたし、ミュージシャンってかっこいいなと改めて思いましたね!
──ボーカルレコーディングにはどのように関わりましたか?
小森:立ち会わせてもらいましたけど、歌い分けはボーカルに任せました。そこは僕がプロデュースするよりも、うちのボーカル2人が、GENERATIONSの歌の面を今までも支えてきてくれているので、安心して全部任せられました。一番やりやすいようにしてくださいって。それが一番GENERATIONSらしさが出るところでもあると思ったので。最初にデモが届いた時は、ゴッチさんが歌ってくれているのもあってめちゃくちゃアジカンだなと思ったんですけど、それをどうGENERATIONS色にするかを考えました。
──ボーカルおふたりの声が入ったものを聴いてどう思われましたか?
小森:やっぱりGENERATIONSのボーカルが歌う「MY GENERATION」が一番いいなって思いました。もちろんゴッチさんが歌ってくださったデモも感動しましたし、ものすごく素敵だったんですけど、やっぱりこの曲はゴッチさんが僕たちに届けてくれた曲なんだなと思って。GENERATIONSに向けて作ってくれた曲だから、2人の声が入った瞬間にすごく華やかになりますし、GENERATIONSのテイストが入って完成した感じがしましたね。元々狙っていた踊れる邦ロックとか、融合や調和を目指して作ってきたので、そこが表現されている感じがして。
GENERATIONSの音楽の幅を広げることができた
──リリックビデオははどんな仕上がりになっているのでしょうか?
小森:僕のエゴが詰まりまくった映像になってます(笑)。今回は自分のプロデュースなので、ストーリーからコンセプトまで、自分のやりたいことを全部詰め込ませてもらって、裏テーマも自分の中でいっぱい決めて、僕にしかできないようなギミックを入れたりしています。自分の想いがかなり詰まったリリックビデオになりました。
──「メンバー1人1人がGENERATIONSが輝くことを考え、それぞれのゴールを設定しプロジェクトを進行していきます!」ということなのですが、隼さんにとってのゴールとはどこに設定しましたか?
小森:「ジェネの曲、この曲だったら知ってるよ」がゴールでした。ロックフェスとかに来る方が「ゴッチが作った曲聴いたことあるよ」とか、GENERATIONSを知る新しいきっかけになればいいかなと思っています。うちのグループはアイデンティティが強いメンバーが多いので、TVとか映画で観たことあるとか、そういうところでGENERATIONSを知っていただいていることが多いので、その一個の切り口になったらいいなと思っていますね。
──プロモーションについてもなにか考えている施策はあるのでしょうか?
小森:はい、考えてます! 他のメンバーにはできないもの、自分の強みでいうとラジオを長年やっているので、いろいろな番組で曲をかけたり、初解禁もラジオだったり、リリックビデオの中でもラジオがかかっていたりもするんです。1日中GENERATIONSの曲をかけたりとか、そういったことを考えています。
──プロデュースの難しかった点はありますか?
小森:全部が難しかったですね。ないものをイメージして楽曲を作るのも、プロモーションの仕方もそうですし、ノープロモーションのものが急にTikTokでバズったりするので。しかも何がヒットで何が売れてるのかという概念もなくて。僕らはポップスグループなので、楽曲を作るだけがゴールじゃなくて、多角的に見て曲を広げるとか、いろんなところで使うことを考えるのはすごく難しかったです。
──では反対に、楽しかった点は?
小森:ゴッチさんと喜多さんのRECに立ち会えたこと(笑)。なかなかないことですし、4〜5時間くらいかかりましたけど、すごくいい時間でした。

──グループとしてはどんな挑戦ができましたか?
小森:今前線で活躍されている方に楽曲をお願いしたこと、それも全然ジャンルの違う方にお願いできたということは、僕たちの楽曲の幅としては一歩外に出ることができたんじゃないかなと思います。ダンス&ボーカルグループということもあるので、今までの制作ではパブリックイメージだったり、求められているもの、僕たちの音楽性だったりを表現してきたんですけど。『PRODUCE 6IX COLORS』の企画じゃないとアジカンの後藤さんにロックミュージックで作ってくださいとは言えなかったので、GENERATIONSの音楽の幅を広げることができたんじゃないのかなと思っています。
──この後は佐野玲於さん、数原龍友さんと続きます。おふたりにはどんなことを期待しますか?
小森:残りの2人は音楽面でもオリジナリティとか、自分というものが特に強い2人なので、どういう風に来るのかが楽しみです。玲於は知識も多いですし、音楽とかファッションのルーツにも長けているので、プロデューサーとしては一番合っていると思うんです。その玲於が全部をイメージして作るのはどんなものになるんだろうという楽しみがあります。龍友くんは自分の世界観を詰め込むと思うので、なんとなくイメージはできるんですけど、それをグループに落とし込むとどうなるんだろうとか、残り2人もすごく楽しみですね。
美術提供:サッカラーニ愛
撮影:小山恭史
インタビュー:長谷川チエ
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