NCT WISH初のアジアツアーライブレポート「信じ合える存在になれることを願って」

NCT WISHが初のアジアツアーを開催。2024年11月27・28日にパシフィコ横浜国立大ホールで開催された神奈川公演から、2日目のレポートをお届けします。

『NCT WISH ASIA TOUR LOG in JAPAN』

ゲームコンセプトをもとに構成されている本ツアー。VCRでは冒頭からゲームをする6人の姿が映し出され、爽やかな白い衣装のメンバーが登場する。

オープニングを飾ったのはデビュー曲「WISH (Japanese Ver.)」と、9月リリースのミニアルバムタイトル曲「Steady」。

SION「シズニ(ファンネーム)会いたかったです!」の掛け声で会場を沸かせると「Sail Away (Japanese Ver.)」へ。水面がキラキラと輝く爽やかな映像とともに癒し空間に変えたかと思うと、会場も一体となってシンガロングで盛り上げる。

ここで再びゲーム画面のVCRに切り替わる。この日、現在体調不良で活動休止中のRIKUが画面に現れると、会場からはひときわ大きな歓声があがっていた。

歓声やペンライトを振ってミッションを完了させる観客参加型のゲームが繰り広げられるなど、シズニと一緒にライブを作る意図が随所に感じられる。

学校の机と椅子が置かれたステージには、制服姿のブレザーに着替えた5人が登場し、教室さながらの風景に様変わりする「3 Minute」。「We Go!」では椅子に座ってパフォーマンスも。

MCでは「『2024 NCT WISH ASIA Tour LOG in JAPAN』にようこそ!」と1人ずつ自己紹介。この日は日テレプラスでの生中継もあることから、カメラ越しに画面の向こうのシズニに呼びかける姿も多く見られた。

トークコーナーでは「イヤホンガンガンゲーム」でシズニへの告白セリフを伝言していくことに。「どうしよう、好きになっちゃったかも」だったお題が、最終的には「俺の彼女になって」に変化する謎の展開も、シズニを喜ばせるさすがの結果に。

続く“cover mission”では「カバー曲でシズニのハートをGETせよ!」というミッションのもと、BoAの「No.1(JPN ver.) 」、NCTの「Make A Wish」をカバー。

最高潮の盛り上がりのまま「Hands Up」、ゲーム性が加わった「Dunk Shot」では、バスケットゴールにシュートを放つも、全員が外してしまったため動物などのカチューシャをして曲の後半部分をパフォーマンスするというユーモアも。

さらに“level up mission”の文字が映し出されると雰囲気が一転し、6人がシューティングに挑むクールな映像に。場内を縦断するレーザーに導かれるように、黒を基調とした衣装を纏ったメンバーが登場する。

これまでとは異なるミステリアスな世界観の中、先行配信が解禁されたばかりのアルバム『WISHFUL』から「CHOO CHOO」「NASA」を披露。

MCでは「音源ではRIKUの声も聴こえるからいいですよね」「今日帰る時も聴いてください」とアルバムの魅力を語った。

そして、こちらも解禁されたばかりの「Wishful Winter」のMVについて、神奈川県と山梨県で撮影したという裏話や、RYO「(NCT WISHがバラードを出すのが)早めだよね?」とバラードをリリースする感想も交えたメンバー同士の自然体なトークが繰り広げられた。

パフォーマンスに戻り「FAR AWAY」では海や空、森などの映像とともにアンビエントな雰囲気に包まれる。「Touchdown」では飛行機のフライトの映像と相まって、壮大な空間が描かれた。

本編ラストの「Songbird (Japanese Ver.)」ではシズニの掛け声も曲の一部となり、会場が一体となってステージを作り上げていた。

「皆さんの声がエネルギーに」

アンコールでは「Tears Are Falling (Japanese Ver.)」のメロディだけが流れ、画面に表示される歌詞を見ながら会場が一丸となって歌う展開に。シズニに課されたミッションも無事にクリアして、眠っていた6人が目を覚まし、次のステージに向かって歩き出す映像が映し出される。

するとニット姿のメンバーが現れ、楽曲を熱唱した。SAKUYAは「この曲はどんなに辛いことがあってもそばで支えるよ、というメッセージが込められているんですけど、反対に僕たちが辛い時も、シズニのみなさんのおかげで救われているんだよというメッセージも込められています。この曲をこのツアーで歌えて嬉しいです」と話す。

そしてメンバーがそれぞれコメントしていく。JAEHEEは「今日は緊張していたんですけれども、ペンライトを見たら気にならなくなって。いつも僕たちに勇気と力をくれて、本当にありがとうございます」と感謝を伝え、「Our Adventures」の1フレーズをアカペラで披露した。

SAKUYA「僕たち、途中お着替え行くじゃないですか? その時に飲むお水が本当においしいです。レベチです」と笑いを誘いつつ、「待機していると声も聞こえてくるんです。『来てよかった』とか。そういう皆さんの声がエネルギーになっていて嬉しいですし、楽しいです」

SION「シズニの皆さんが、自分の自信になります。どんな時でも舞台でシズニを見たら自信が上がるし、本当に本当に感謝しています。僕たちもシズニの自信になれるように頑張ります!」

YUSHI「楽しかったですか? 僕も本当に楽しかったです。皆さんの顔を見てしまうと涙が出そうになります…。こんなにたくさんの方が来てくださって、ありがとうございます」と涙ながらに語った。

RYO「僕たちデビューしてからもうちょっとで1年が経つんですけど、1年の終わりをツアーで終われるのが嬉しくて、絆が強くなっていく感じがします。絆を強くするためにいっぱい活動したいなと思って。信じ合える存在になれることを願って、頑張ります」とそれぞれコメントした。

そして記念写真の撮影タイム。「シズニの幸せのために、これからも6人で頑張ります」というSIONの言葉で締め括られ、スタンドマイクで「Wishful Winter」を熱唱。

ラストの「Our Adventures」は、客席に降りて会場のシズニと触れ合いながらのパフォーマンス。別れを惜しみながらも笑顔で手を振った。

NCT WISHが持つナチュラルで柔らかな雰囲気と、常に高いクオリティを保つ楽曲やパフォーマンスとが、仮想空間で混ざり合って現実を行き交う。この日私たちがログインしたのはそんな異世界だった。

取材・文:長谷川 チエ

『NCT WISH ASIA TOUR LOG in JAPAN』神奈川公演セットリスト

01. WISH (Japanese Ver.)
02. Steady
03. Sail Away (Japanese Ver.)
04. 3 Minute
05. We Go!
06. No.1(JPN ver.) ※BoAカバー
  Make A Wish ※NCTカバー
07. Hands Up
08. Dunk Shot
09. CHOO CHOO
10. NASA
11. FAR AWAY
12. Touchdown
13. Songbird (Japanese Ver.)

アンコール

14. Tears Are Falling (Japanese Ver.)
15. Wishful Winter
16. Our Adventures


NCT 公式サイト

ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!