10月21日に8th Single「I’m still breathing」をリリースしたKID PHENOMENONが登場。カバーを含む、アニメタイアップの5曲を集めたコンセプチュアルな今作。リリースに至った理由や、楽曲と向き合う7人の姿を追いました。
落とし穴に落ちて高い空を見上げているイメージで歌った
──前回のインタビューはアルバム『KIDS00’s』についてでしたが、リリースして感じたことはありましたか?
佐藤峻乃介:アルバム全曲を通して好きと言ってくれる方が多かった印象でした。ファンの皆さんもそうですし、お仕事でご一緒した方々にも、全体の流れも含めていいねと声をかけていただけて、曲順も自分たちで考えて作ったので嬉しかったですね。
山本光汰:一枚を通して聴いた時に、楽曲の雰囲気だけではなくアルバムのイメージやメッセージ性も伝わったのではないかと思っています。00’sとか90’sのテイストの楽曲やオースティンで撮影したジャケットも、今までにないラフで等身大の若者たちの遊んでいる雰囲気みたいなものが表現できて、僕は今回のアルバムもすごく好きでした。
──そしてアルバムリリース後としては初のシングルとなりますが、TVアニメ『夜桜さんちの大作戦』第2期 第2クール エンディングテーマとなっています。意味の深い内容の楽曲と、ご自身の感情をどのようにリンクさせていきましたか?
遠藤翼空:今回のレコーディング自体がこの歌詞の内容に当てはまるなと思っていて、個人的には課題の多かった楽曲なので、それに立ち向かって自分がどう解決してどう先に進んでいくかというところも一致していると思いました。僕たちは原作の漫画も読んでいたので、そのストーリーとも照らし合わせて、より気持ちを込めて歌うこともできましたね。自分たち自身もオーディション出身者で、負けを経験して何回も何回も壁を乗り越えてきたというのもあるので、重なるところが多かったです。

──翼空さんにとっての課題とはどんなものだったのでしょうか?
遠藤:トーンが高い楽曲なので、技術的にはそこをいかに伸ばして、聴いている方々に響くような声を出すことができるかを意識的にやったのですが、それが難しかったところです。全体を通して、本当は生きたいんだ、前に進みたいんだという心の叫びをどう表現するかというのも、今までになかったテイストなのですごく難しい表現でした。
──どう解決していくかという点では、どのように向き合ったのですか?
遠藤:練習ももちろんそうですけど、自分が本当に思っていることは、それを伝えたいから感情が出るじゃないですか?歌もそれと同じで、取り繕いというか、その場しのぎのごまかしだったら誰にも響かないので。自分の気持ちを強く持ってレコーディングに臨みました。
岡尾琥珀:最初に聴いた時は、これを僕らがやるのかというくらい新鮮でした。この曲を自分たちがパフォーマンスしている姿を想像できなかったのですが、アニメも観ながら曲を聴くと、歌詞の意味合いが今の僕たちにぴったりと合っていて、アニメの内容も理解して歌うとより気持ちも乗りやすくなります。挑戦ではありましたけど、自分たちらしさもありつつ、また新しい表現ができたんじゃないかと思います。

川口蒼真:今の自分たちが歌うことで意味を持つと思いますし、自分たちが共感できるものがある分、皆さんも同じように感じるものがきっとあると思います。メッセージ性を込めてレコーディングをしたので、そういった部分が伝わると嬉しいです。

鈴木瑠偉:僕たちにとって新鮮な楽曲なので、僕たちがやったらどういう雰囲気になるのか、自分でも楽しみでした。パフォーマンスも今までと違ったテンション感なので、披露できることにワクワクしています。リリースしてどんな反応があるのかドキドキですね。
──完成したものを聴いてどう思われましたか?

鈴木:すごく完成度高くできたと思います。
夫松健介:自分で言うんだ(笑)。
山本:今回は久しぶりに健介が大サビ前のボーカルを歌ってくれています。
夫松:レコーディングの時に、翼空と光汰の前のパートを聴いてから録ったんですよ。感情が高まったところに入っていくので緊張しました。テイクも重ねて、「もういいんじゃないですか?」と言われたんですけど「もう一回だけやらせてください」と何度もお願いしました。ボーカルが作り上げているところに入るので、生半可な気持ちではだめだなと思って。《I’m still breathing》は録れて、《鳴り止まない》が録れるまで、一回聴いて「《鳴り止まない》がだめですね、そこだけ録り直します」と僕からお願いして延々と録りました。落とし穴に落ちて高い空を見上げているイメージで歌っていたんですよ。ほんまに自分を閉ざしてしまいそうになっちゃって。マイクにぶつかりながら、届きそうで届かないところを想像しながら歌っていたんですけど、たぶん人生で一番ドキドキしながら本番を迎えました。ラップの時はアゲアゲなテンションでいけるんですけど、こんなに集中したレコーディングはないだろうというくらい緊張しました。その後の光汰の《I’m still breathing》がハイトーンのいい声で入ってくるんですよね。

山本:すぐ来るもんね(笑)。この曲自体メロディ部分も高くて難しいですよね。僕は技術的なところよりも、感情を表現するのが難しかったです。強さだけじゃないし、かといって弱さを汲み取りすぎても弱くなってしまうし。強さの中にある弱さという繊細なタッチの部分ですけど、歌い出しも《I’m still breathing》から入るので、タイトル名ですし楽曲を印象づけるものじゃないですか。サビの頭の部分は集中して、納得のいくまで何回も録り直しましたね。サウンドが強くてキーが高いので、ファルセットで鳴らすんですけど高いとどうしても鳴りが弱くなってしまうので、それをどうやったら強く出せるか。喉を使いながらグッと引っ張らないといけないんですけど、強さを出しながらも儚さを表現するということを、自分で何度も試行錯誤しながら歌いました。

──《I’m still breathing》のフレーズは何度も出てきますが、ラストは峻乃介さんですよね?
佐藤:そうですね。大サビが終わってからラップチームで疾走感の強いマイクパスをしていくんです。勢いのあるラップがバーっと続いていく中で、その勢いを止めるようなラップをしたくて、締めなのでサッと終わらせられるように何度か録り直しました。

遠藤:ボーカルとラップ陣のギャップがいいなと思っていて、クールでダークめに淡々とラップしていくんですけど、ボーカルでメロディアスになるところが、この楽曲のいいところの一つだなと思います。
リスペクトを込めた初のカバー楽曲リリース
──今回のシングルには、通常盤に「シルエット」(KANA-BOON)、期間生産限定盤に「イマジネーション」(SPYAIR)のカバーがそれぞれ収録されています。カバー楽曲のリリースは初めてですよね?
佐藤:そうなんです。カバーという案をいただいて、僕たちが「この楽曲を歌わせていただけないですか?」と改めてお願いして、歌えることになった2曲です。瑠偉と僕が希望した楽曲が選ばれました。
鈴木:僕は「イマジネーション」を選んだのですが、元々好きだったんです。主題歌だった『ハイキュー!!』がすごく好きだったので、選ばれて嬉しかったですね。
佐藤:僕は「シルエット」を選びました。僕も小さい頃から『NARUTO -ナルト-』が大好きで、アニメも観ていて「シルエット」の印象も残っていましたし、アニメのテーマソングって他の楽曲とはまた違う思い入れがありますよね。作品に対してもそうですし、当時の自分の思い出も重なって。それがずっと残っていたので、こうしてカバーできてとても嬉しいです。
遠藤:どちらも名曲ですし、楽曲やアニメのファンの方々が元々抱いていた印象や想いを変えてはいけないと思うので、カバーで改めてどう届けるかをすごく考えて、リスペクトを込めて歌わせていただきました。どういう反応があるのか、未だにプレッシャーを感じています。
──「シルエット」はTikTokでもリバイバルヒットしていますが、それも選曲理由としてはあったんですか?
佐藤:いえ、それは全然考えていなかったです。純粋に自分たちが良いと思った曲を選ばせていただきました。『NARUTO -ナルト-』のエンディングテーマはハッピーで愛されている楽曲も多いですよね。その中で「シルエット」がずっと印象に残っていました。当時は子供なので分からないなりに、この曲もアニメも好きだったので。
川口:オリジナルにはないラップパートも新たに入っています。ずっと愛されている楽曲なので、そこにオリジナルラップとして、僕たちも一緒にカバーできて嬉しかったですし、どこか不思議な気持ちもありました。
岡尾:曲調にも合っている疾走感のあるラップで、新鮮な気持ちで聴けて楽しい楽曲に仕上がったと思います。この楽曲にラップパートが入ることで、僕たちらしさにも繋がりますし、カバー楽曲にラップパートを追加するというのは評価が分かれる部分だと思うので、プレッシャーもありますね。この曲のファンの方が聴いてどんな反応をいただけるのか、楽しみでもあり緊張する部分もあります。
──カバーならではの難しさもあったのではないでしょうか?
遠藤:たくさんありました。2曲とも本当に素晴らしい楽曲なので、自分たちが歌ってきたものとはバンドの迫力が違うなと感じていて、ボーカルの方々の歌をどうやって自分たちのスタイルに落とし込もうかと考えた時に、何回も原曲を聴いて「この歌い方か」と気づいてトライして、自分の歌声を入れるならこうだなと、何度もトラエラ!
夫松:トライアンドエラーです(笑)。
遠藤:やっと着地することができました。1日に2曲録ったんですよ。テンション的には近いんですけど、ずっと保たないといけなかったのも大変でした。
岡尾:最初の翼空の《いっせーのーせ》の“い”で歌ってる顔を想像できますよね。
遠藤:普段の歌い方だったら下からすくうように歌うんですよ。でも「いっ!」っていかないといけなくて。
──それが邦ロックの真っ直ぐさですよね。
山本:本当に。まさにそれです!
夫松:翼空の歌い出しを聴いた瞬間に「あれ、違う!」と思いました。リスペクトもありつつ、2人の声の良さも残っていて、いい感じやなと思いました。
──アニメファンの立場として聴いた感想は?
鈴木:いちアニメファンとして嬉しいですね。
岡尾:よくやってくれたなと思います(笑)。
遠藤:おそるおそるリリースを(笑)。恐縮ですので。
山本:サウンド感も変わっていますからね。楽しんでくれたら嬉しいですね。
日本のカルチャーを伝える“TOKYO NEO POP”
──今回はアニメタイアップの楽曲を集めた作品になりましたが、なぜそのような案が出たのでしょうか?
夫松:KID PHENOMENONのコンセプトとして『KIDS00’s』をリリースしたり、“TOKYO NEO POP”を掲げている中で、TVアニメ『夜桜さんちの大作戦』でまた違ったKID PHENOMENONを出せると考えました。アニメファンの皆さんにも入口として知っていただくためにも、カバーもそうですし、アニメに関連する楽曲を集めました。ビジュアルも大胆に派手にするわけではないですが、アニメから出てきたような、普段いないような男の子たち。だけどKID PHENOMENONというボーイズグループの根本的な良さも残しつつ。視覚的なことも含めて、よりたくさんの方に受け入れてもらえるようなシングルになったのではないかと思います。
──それぞれのアニメ作品がきっかけでKID PHENOMENONを知ってくれた方々には、どんなところが届いてほしいと思いますか?
遠藤:日本のカルチャーが好きな方々に、僕たちのテーマとして掲げている“TOKYO NEO POP”というものをぜひ知っていただいて、僕たちがどういう想いでこれらの楽曲を歌っているのかを届けたいと思っています。元々メジャーではなかったカルチャーも、たくさんの方々が頑張ってきて、いろんなところに広まるようになっているなと感じます。やっぱり好きなものを好きと言えるのって素敵だと思うので、“TOKYO NEO POP”はそういうところをしっかり伝えるためにあります。
──「存在証明」がリリースされてからは3年ほど経ちますよね。アルバムにも一度収録された曲が、またこうしてよみがえるのも素敵だなと思いました。
岡尾:この流れで聴くからこそより際立ちますよね。「『存在証明』歌ってたのってこのグループだったんだ?」ってなるかもしれないですしね。
川口:たしかに!「『るろうに剣心』の曲だ」ってなるかもしれない。
佐藤:LDHのライブなどで先輩方と一緒に歌っても、ファンの方や、自分たちを知らない方も曲を知ってくださっていたりするので嬉しいですよね。「存在証明」と「Black Flame」は、海外でパフォーマンスしても歌ってくれるんですよ。アニメの影響もあるのかなと思って。
──海外のお話でいうと、10月には『Music Matters Live 2026』へのご出演でシンガポールにも行かれるということで。
川口:はい。準備も着々と進めています。
佐藤:現地の方々と触れ合ったり、空気感を味わうことも大事にしたいです。『Music Matters Live 2026』だけではなくて、高校や大学やストリートライブだったり、いろんなところにパフォーマンスしに行く予定です。
夫松:路上でもやりたいです。路上楽しいんです! テキサスでもやりまして、終わってからプールの授業の後みたいに疲れるんですけど(笑)、マイクがないから最初は自分たちだけでダンスセッションをやってたんですよ。そしたら知らない人が入って来るんです。一緒に踊って、道行く人にも「KID PHENOMENONです」と言いながら、人が集まってきたら自分たちの曲をかけて、マイクがないから地声で。
遠藤:歌ってまでやるつもりではなかったんですよ。でも人が集まらないからやばいと思って「Party Over There」を歌いました。
岡尾:ダンスの構成で移動してすれ違う時に「声出せ!声出せ!」って。声を出したら「なんか騒がしいな」みたいな感じでたくさん人が集まってきて。
遠藤:せっかくアメリカまで来てるし、それでもいいから目に留まってくれたら嬉しいなと思ったので。なかなかできないことを経験できました。次はもうちょっと整えてからでもいいかもね(笑)。
夫松:誰も僕らのことを知らない環境なので、人の目も気にせず何でもできたというのはありますね。
川口:素敵な時間でしたね。チラシ配りも楽しかったです。
──11月には『LDH LIVE-EXPO 2026 -PERFECT YEAR BEST-』も開催されますね。
夫松:自分たちだけでは見られない景色を見られるじゃないですか。前回ステージに立った時に、人の数とか歓声がすごくて、やばい!と思いました。LDHのアーティストであることを実感した瞬間だったので、それをもう一度体感できるのが楽しみです。まだ決まっていないですけどコラボとかもね、やりたいなと。
鈴木:なかなか見られない景色を見られるのは僕も楽しみですね。でも、僕たちも主役なので。先輩方の力を借りてということではなく…もちろんそれはあるんですけど(笑)。
遠藤:それはそうだね。
佐藤:それはありすぎるよ。
山本:先輩方と一緒にね。
川口:補足が多い! 補足の方がしゃべる(笑)。
鈴木:だからこちらも…食ってやるよ! くらいの気持ちで。
岡尾:ガヴガヴ?
一同:あーきた!
川口:いこういこう!
──さらに年末には『NEO EXILE SPECIAL LIVE 2026』もありますね。
夫松:これまでのNEO EXILEの道のりが分かります。予告映像を観ればこの言葉の意味が分かると思います。僕らは若干の匂わせ程度ですと聞いていたんですけど、いざ映像を観たらけっこう言ってるやんと思いましたから(笑)。
山本:NEO EXILEの今までの歩みを感じられる、素敵な2Daysになるんじゃないかと思います。ファンの皆さんが喜ぶライブをしてNEO EXILEのPERFECT YEARを締めくくりますので、ぜひ楽しみにしていてください!
インタビュー・執筆:長谷川チエ
| ■リリース情報 KID PHENOMENON 8th Single『I’m still breathing』 2026年10月21日(水)リリース ▼Streaming & Download https://KIDPHENOMENON.lnk.to/ImstillbreathingWN ▼パッケージ購入はこちら https://KIDPHENOMENON.lnk.to/Imstillbreathing_PKG ▼KID PHENOMENON 公式サイト https://www.kidphenomenon.jp |



