【GENERATIONS 6ヶ月連続リリースインタビュー】数原龍友が上條頌とチームで届けるサマーチューン

GENERATIONSがメンバープロデュース楽曲を6ヶ月連続で配信リリースする『PRODUCE 6IX COLORS』。今回は第6弾として7月7日にリリースされた「Summer Vacation」をプロデュースした数原龍友さんにインタビューしました。

第1弾:中務裕太さんインタビュー
第2弾:片寄涼太さんインタビュー
第3弾:白濱亜嵐さんインタビュー
第4弾:小森隼さんインタビュー
第5弾:佐野玲於さんインタビュー

裏切りも一つのエンターテインメント

──『PRODUCE 6IX COLORS』の企画もラストになりました。「Summer Vacation」の制作はいかがでしたか?

数原龍友(以下、数原):本当はもっとクールに仕上げようと思ったんですけど、降りてくるメロディとか世界観が夏全開なものだったので、リリース日も夏ですし、振り切ってGENERATIONSのサマーチューンにしようという狙いで作らせていただきました。

──最初に思い描いていたクールな方は、どういうイメージだったんですか?

数原:ゴスペルっぽいというか、マイケルっぽいというか。そんなことを考えていたんですけど、夏はビーチボーイズだろうということで路線変更しました。夏だし景気よくいきたいなと思いました。

──他のメンバーさんも「龍友くんは好きなようにやると思います」とか「だいたい想像がつく」と皆さんおっしゃっていました。

数原:こんな風に作ってくるだろうなというのは、僕も他のメンバーにはありました。やっぱりそうきたかというものもあれば「おー!そういう感じでいくんだ」という意外なものもありました。そういう意味では、ここまで夏っぽい曲というのは想像からは少し離れていたかもしれないですね。いい意味で裏切りも一つのエンターテインメントかなと思います。

──ちなみに意外だったメンバーさんの曲は?

数原:一番びっくりしたのは(小森)隼かな。J-POPで来ると思ったんですけど、邦ロックだったのと、まさかゴッチさん(ASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文さん)が書いてくださると思っていなかったので驚きましたね。このプロジェクトでなければきっとできなかったであろうオファーで書き下ろしていただいて、自分たちにとってすごく嬉しいことでした。

──順番としてはラストでしたが、スケジュール的には余裕を持って取り組めましたか?

数原:めっちゃのんびりできました!他のメンバーの出方を窺いながら。バラードにしようかなとか、いろいろ考えていたんですけど、夏が近づいてくるとやっぱり抑えられなくて(笑)。夏は浮かれていい季節だと僕は思っているので、飲みすぎて記憶なくしたとかいろいろあると思うんですよ。でも落ち込んでたら貴重な2ヶ月があっという間に終わっちゃうので。それでいいよ、そんなもんだよ夏はっていうメッセージを込めました。あとは締めくくりになるような、チームを感じる要素も入れました。

──例えばどういったところでしょうか?

数原:歌詞には表記されていないんですけど、プロジェクト名から取って《6IX COLORS》というフレーズが最後の方にコーラスで一瞬出てきたりするんです。そこは6声で音を積んでコーラスワークを作りました。ジャケットも自分がデザインしたんですけど、カモメが6羽いるのもそうですし。プロジェクトの締めくくりになればいいなという、自分なりの表現を要所要所で入れさせていただきました。

──その6声はどなたの声ですか?

数原:自分の声です。あとはコーラスで入ってくれたaRiaの声も一緒に録りました。

──今回、上條頌さんと制作したいと思ったのはなぜでしょうか?

数原:付き合いも長くなってソロでも一緒にアルバムを作ってきて、自分のやりたいことを細かいことまで言わなくても汲み取ってくれるんです。日々「この曲やばいっすよ」とか共有し合うので、好みとか狙いも分かってくれているんですよね。でもさすがに自分がメロディ考えて持って行ったら頌さん笑ってましたね(笑)。「ここで《Ah♡》っていう声入れたいんですよね」「嘘でしょ!?全然最初と違うやん」みたいな(笑)。

──頌さんとしても意外な曲になっていったんですね。

数原:もうめちゃくちゃ意外だったと思います。仮歌の段階では女性の《Ah♡》も僕が歌っていたので地獄の時間でしたね(笑)。終始、和気藹々とした笑いの止まらないレコーディングですっごく楽しかったです。早口のパートは片寄(涼太)がやってくれて、大変そうでしたね。ごめん! って感じです。歌いやすく直すこともできたんですけど、難しいことをやってくれた方が「すごい!」ってなるので。本当は自分が歌いたかったんですけど、涼太が歌ってくれた方が意外性があって面白いなと思って。自分で作っているので歌い分けもイメージしながら、涼太には歌わせられないフレーズは自分で歌ったりとか(笑)。そうやって歌い分けたのもパズルみたいで面白かったですね。

──他のメンバーさんからの感想はありましたか?

数原:いや特に(笑)。振り付けが難しいので、その話になりますね。振付師のKAITAくんに自分がオファーさせていただいた時に、難しいことを詰め込んでほしいというのを一つのキーワードとしていたんですよね。「パフォーマーが踊りがいのある振り付けにしてほしいんだよね」ってお願いしたら、KAITAくんが「スキルの無駄遣い」をテーマに作ってくれました(笑)。速くてめちゃくちゃ難しいんですよ。とにかくせわしない、でも見ている方たちは笑顔になれるパフォーマンスになったと思います。

──リリックビデオはどんな内容ですか?

数原:はい。サーフボードにカツラを付けて彼女に見立て、いろんな所をデートしている意味の分からない映像になっています(笑)。「夏だなー男の子ってバカだなー」って笑ってもらえたらそれが正解なので、とにかく全方位からふざけました。以前個人のお仕事でお世話になったサーファーの映像監督が、一番ニュアンスを掴んでくれるなと思ったのですぐにオファーさせていただきました。「サーフボード持って東京の有名な所歩き回りたいんですよね」って。そしたら「それにカツラ被せよう」という案が出てきたりとかして(笑)。

アメリカ留学から発想を得たプロモーション

──制作にあたり、ゴールの設定はされましたか?

数原:プロジェクトの締めくくりにしたかったというのがあります。他のメンバーの制作を見ていて、世界観がしっかりしているものとかが上がってきて、こういうことがやりたかったのかって思いました。だから僕はDREAMERS(GENERATIONSのファン)の皆さんが見たいGENERATIONSを作ろうという感覚で。世の中の皆さんが僕らに抱いてくれている、みんなでバカやっている男の子たちという要素を誰も入れてこなかったので「空席みっけ!」っていう感じで狙っていきました。

──では順番が最初の方だったら違う曲調だったかもしれないですか?

数原:全然違う曲になっていたと思います。どうなっていたかは想像がつかないですけど、みんながああいう曲を持ってきてくれたから、最後は自分の好きな夏でこういう風にできたという感じです。奇跡ですよね、こういうことって。

──プロモーションという観点で考えていることはありますか?

数原:去年のこの時期にアメリカに語学留学に行っていて、そこでタコスが大好きになったんです。日本では立ち食いそばみたいにタコスを簡単に食べられるお店ってないじゃないですか?

──アメリカだと簡単に食べられるキッチンカーとか多いですよね。

数原:タコスとかピザとかのジャンクフードが多いですよね! それでタコベルさんにオファーしたら形になって。歌詞を書いていた時と、タコベルさんとコラボしたいなと思っていたのが同時進行だったんですよ。タコベルさんのOKが出たら《Tacos頬張って》という歌詞を入れようと思っていました。ジャケットにもよく見たらタコスが描いてあります。メニュー開発もしてきまして、おいしいもの作りましたよ。ぜひ食べに行ってみてください!もう夏はタコス食べといたらええんですよ(笑)。

──アメリカ留学では有意義な時間が過ごせたんですね。

数原:かなり大きかったですね。また行きたいなと思っています。留学中に英語はもちろんですけど、自分の好きなバイクとか車とかサーフィンとか、アメリカの職人のカルチャーもこういうところに生きてくるんですよね。今までタコスとかピザって絶対食べなかったんですよ。粉ものを食べないので。でも今はタコスを見つけたらすぐ買っちゃいます。日本だと夏になったらかき氷が出てきますけど、それと同じくらいタコスも出ていいと思っているくらいです。自分の好きなものを企業の方々とも共有して、一緒にお仕事をさせていただくというところも考えました。

──それは素敵な発想ですね! プロデュースという点で難しかったところはありますか?

数原:びっくりするくらい難しいことがなかったんですよね。自分のやりたいことや表現したいものをこうやって形にしてくれるパートナーがいたりとか、協力してくださる方が各所にいるというのが素敵なことだなと思いましたし、皆さんのお力も加わってできた楽曲であり、このプロジェクトだなと感じますね。

KAZ名義でのリリース

──ソロとしてのKAZ名義では、7月23日には「Buddy」をリリースされました。「Avocado feat. Airi Suzuki」では鈴木愛理さんとの初コラボを果たしていますね。

数原:元々鈴木愛理ちゃんの歌声を聴いて、魅力的な表現者だなと思っていてリスペクトがありました。昨年末にソロアルバムを制作する中で、彼女と一緒に歌いたいなという思いがあったので、面識もなかったのですが楽曲を作ってオファーさせていただいたんです。その時はスケジュールの都合で実現しなかったんですけど、やっぱり一緒に歌いたいという思いが強かったので、再度オファーさせていただいたら快く受けてくださいました。

──愛理さんとのコラボにこだわった理由は?

数原:メジャーシーンで活躍されている方で、あそこまで表現力も歌唱力もある方は他にいないかなと思って。憧れだけで終わりたくなかったので、リスペクトからオファーにつながりました。あとは意外性ですかね。愛理ちゃんが普段歌っているような曲ではないからこそ、こういう曲もできてさすがだなと思いました。どこかで披露できるタイミングがあったら嬉しいですね。

──愛理さんのレコーディングには立ち会いましたか?

数原:立ち会いました! 聴きたかったので。飲み込みも早いですし、さすがプロフェッショナルですね。難しい楽曲ですけど、歌ってくれた時にもう自分のものになっている感じがしたので、しっかり練習してきてくれたんだなと思いました。歌声から努力の人だと感じられましたし、いつになったらブースに入ってくれるんだろうというくらいスタジオでおしゃべりしてくれて(笑)、気さくで素敵な方ですね。愛される理由はここにあるんだなと思いました。

──おふたりのボーカルが合わさった曲を聴いてどう思われましたか?

数原:僕が聴きたかった声色とか、愛理ちゃんにしかできない表現をいろいろ入れてくれていたので、化学反応みたいな意外性とか、これこれ!っていう歌声もたくさん入っています。愛理ちゃんのファンの方々には、こういう歌も歌えるんだって思うきっかけになってくれたら嬉しいです。

──もう一方の収録曲「T&W」についてはいかがでしょうか?

数原:僕の愛犬の“殿”と“若”に向けた、僕からの恩返しですね。おいしいご飯をあげていろんな所に連れて行ってあげるのも恩返しだと思うんですけど、僕にしかできない彼らに対する愛情表現って音楽にして残すことだなと思うので。悲しい話かもしれないですけど、いつかはお別れの時が来るので、その時に彼らがくれたかけがえのない時間にありがとうと言いたいので、曲にして映像にしようと思いました。映像でも殿と若が主役で登場してくれています。

──今回はグループとソロ、両方のお話をお聞きしましたが、ご自身の中で違いはありますか?

数原:多重人格ですよね。自分でも怖いくらいです(笑)。「Summer Vacation」をグループで作ったかと思えば、「T&W」みたいな柔らかい曲も作って。ライブは全然違いますね。グループでいる時は任せられるし、頼れるので安心感がすごいです。ソロの時はそれがまったくないので、逆に自分自身が全部軸になって、いい緊張感でいられています。

『PRODUCE 6IX COLORS』を振り返って

──『PRODUCE 6IX COLORS』もラストになるので、この半年間を振り返っていただけますか?

数原:曲が馴染む前に次の曲が入ってくるというペースが一番大変でしたね。ようやく慣れてきた頃には次の曲にシフトするので。合間にフェスとか取材とか、ソロのお仕事も入ってきて、最初はそのペースに慣れるのが2〜3ヶ月かな…隼プロデュース曲の頃くらいまでは大変だったかなぁ。「えーもう次?」っていう。曲を寝かせることができなかったのが大変でした。でも、その後のツアーが作りやすくなるよねということはみんなで話しています。ツアー前ってまだ振り付けがない曲とか、久々にやる曲があるので特にパフォーマーチームはすごく大変そうなんですよね。でも今回はこれだけ新しい曲のパフォーマンスがすでにできているので、恩恵を受けているところも多いと思いました。

──6作品の中で一番大変だった曲を挙げるとしたら?

数原:僕はロック畑にいなかったので、隼の「MY GENERATION」がすごく難しかったんですよね。歌い終わって、よしってブースを出て聴いたら「あれ?」ってなって歌い直したりとか、一番大変でしたね。グルーヴとかニュアンスがすごく難しかったです。聞き馴染みはあったんですけど、歌うという意味では自分の中にないジャンルだったので。

──グループにとっては、どんなプロジェクトになったと思いますか?

数原:自分たちだけではどうしても開けることができなかった引き出しを開けることができた、それは間違いなくあると思っています。たくさんの方のお力を借りることができたのは大きなことでした。今回のキャリアや実績ができたら、今後曲を作る時に、あの人に頼みに行こうというのがやりやすくなったのかなと思いますね。ゴッチさんとか、Da-iCEの(花村)想太くんとか、同業の方に曲を提供していただくこともあまりなかったので。実際にやってみるといい化学反応が起きたので、それもGENERATIONSの表現の一つだというのは今回気付けたことで、大きな収穫だったと思っています。

──その次のステップとして、今後目指していきたいことや実現したいことは何ですか?

数原:自分がずっと言い続けているのは、後世に歌い継がれる楽曲を残していきたいということです。そういう楽曲ってなかなか生まれないと思うので。カラオケに行っても、結局ひと昔前の楽曲が履歴には残っていますし。実際に自分もそういう曲を歌いますしね。平成の曲とか。入れ替わりや流行りもコロコロ変わる時代ですけど、自分がいなくなった後も歌い継がれるような楽曲を残したいなと思います。それはグループでも、ソロでもそうです。今回の「Summer Vacation」はそうではないと思いますけど(笑)、このプロジェクトのようにいろんな曲をやりながら、いい作品を残していけたらと思います。

美術提供:鈴木一世
撮影:小山恭史
インタビュー・文:長谷川チエ


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■RELEASE INFORMATION

GENERATIONS「Summer Vacation」

2025年7月7日(月)配信

▼Streaming & DL
https://generations.lnk.to/summervacation

KAZ(GENERATIONS/数原龍友)NEW SINGLE「Buddy」

2025年7月23日(水)発売

https://avex.lnk.to/pkg_buddy

■LIVE INFORMATION

『GENERATIONS LIVE TOUR 2025 “6IX SENSE”』

9月21日(日)福岡 マリンメッセ福岡 A館 SOLD OUT
9月27日(土)東京 国立代々木競技場 第一体育館 SOLD OUT
9月28日(日)東京 国立代々木競技場 第一体育館 SOLD OUT
10月11日(土)宮城 セキスイハイムスーパーアリーナ
10月18日(土)静岡 エコパアリーナ
10月19日(日)静岡 エコパアリーナ
10月28日(火)大阪 大阪城ホール SOLD OUT
10月29日(水)大阪 大阪城ホール SOLD OUT
11月15日(土)三重 三重県営サンアリーナ SOLD OUT
11月16日(日)三重 三重県営サンアリーナ 
12月6日(土)福井 サンドーム福井
12月7日(日)福井 サンドーム福井
12月17日(水)千葉 ららアリーナ 東京ベイ
12月18日(木)千葉 ららアリーナ 東京ベイ

▼詳細はこちら
https://www.ldh-liveschedule.jp/sys/tour/33700/





ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。2017年より『Culture Cruise』を運営開始。 ライター・インタビュアーとしてカルチャーについて取材・執筆するほか、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。ライブレポートや取材のご相談はお問い合わせフォームからお願いします。