SHOW-WAインタビュー「人生の転換期、最後のチャンスで受けたオーディション」

2024年9月4日にメジャーデビューしたSHOW-WAの皆さんにインタビューしました。過去の経歴から、プロデューサーの秋元康さんとの出会いまで語っていただきました。

40代からまた新しいことをしたかった

ーーこの度メジャーデビューされるSHOW-WAさんですが、実は7年前にCulture Cruiseで初めてインタビューさせていただいたのが将己さんで、そこからインタビューカテゴリーが始まったんです。

塩田将己(以下、塩田):初めてだったんですか? それは嬉しいです。もう7年も前なんですね!

ーーこうしてまた取材できて感慨深いです! 今回はSHOW-WAさんとしてですが、リリースにあたって現在はどんな心境ですか?

塩田:1月8日から「ぽかぽか」(フジテレビ系)に出演させていただいているので、もう世の中の人にある程度知っていただいている状況でのリリースです。僕らの代表曲となるデビューシングルの「君の王子様」をきっかけに、SHOW-WAらしさを全国の方々にお届けできたら嬉しいです。

寺田真二郎(以下、寺田):1年かけてチームワークもパフォーマンスも一番いい状態でデビューできるのが嬉しいですし、デビューが今でよかったなと思います。

ーーなぜオーディションを受けようと思ったのか、経緯を教えてください。

井筒雄太(以下、井筒):小さい頃から歌の世界に憧れがあったんですけれども、引っ込み思案な性格でそういう世界に進めなくて。でもなにか携わりたくて、スタッフとして働いていました。演者さんを見ていて、憧れていた気持ちが忘れられなくて、思いきって会社を辞めました。舞台役者をやりながらバーで働いていたこともあって、お客様から「諦めずに受けてみたら?」というお言葉をいただいて、人生一度きりだと思い、小さい頃の夢を叶えるぞという思いでオーディションを受けました。

ーースタッフさんとしてお仕事されていた時は、演者さんはどんな風に見えていたんですか?

井筒:すごくキラキラされているなと思っていました。音声スタッフもやっていたので、マイクを付けたりするから一番近づくんですよ。手が震えることもいっぱいありましたし。羨ましい気持ちはありましたね。今回こういった結果をいただけて何よりも幸せです。

向山毅(以下、向山):僕は以前SOLIDEMOというグループで歌手活動をしていました。グループの解散と同じくらいの時期にオーディションの話をいただいて「昭和歌謡のグループなんだけど、歌ってみるか?」ということで。前のグループでも昭和歌謡のカバーをYouTubeで歌ったりもしていたので、歌えるようになるんだ!と思って。ちょうど、これからどうしようかという人生の転換期だったので、最後のチャンスだと思って受けました。

ーー以前のご経験があるだけに、歌唱法など切り替えの難しさもあったのではないでしょうか?

向山:当時はJ-POPがメインだったので、最初は歌謡曲の歌い回しが難しかったですね。昭和歌謡を歌っていらっしゃる先輩方の歌い方を取り入れて行こうかなと、今も勉強している時期です。

山本佳志(以下、山本):僕は運転手(付き人)をしながらいろんなオーディションにほとんど落ち続ける中でも、受かった舞台などのお仕事をしていました。氷川きよしさんの舞台に出させていただいたことがあって、お芝居で呼んでいただいたんですけど、その後のコンサートも出てよということになって、90公演くらいあって全国を回ったんですね。歌のステージってこんな感じなんだ、すごい楽しいなって。その分、皆さんめちゃめちゃ努力していることも分かって、自分でもどんどん始めようとボイトレに通ったりしている時に、オーディションの話を聞きました。25歳以上だし受けることはできる、ここにすべてかけようという気持ちで受けましたね。

ーー留学もされていたそうですが、その頃もエンタメを学んでいたんですか?

山本:最初は監督とか、映画を撮る側の方で大学に入っていたんです。自分たちで作るので、演じる方も撮る方も全部やっていたら、演じる側も面白いよと声をかけてもらって「挑戦させてもらいたいです」ということで始めました。

塩田:僕は大学生の時に、違う事務所さんのオーディションでグランプリを獲ったんですけど、大手の会社に就職先の内定をいただいた時期と被っちゃったんです。歌手の道は一回諦めて、内定を選んで働いてたんですけど、やっぱり歌をやりたいなというのがずっとあって。転職して東京に戻って、歌手活動とサラリーマンを並行していました。二足の草鞋を履いてても、歌手1本でやっている人には勝てないなという思いで、サラリーマンを辞めて歌の世界に飛び込んで。オーディションは24歳以下のものが多かったのでなかなか受けられなかったんですけど、こういうのがあるよとお話をいただいて、「受けてみたいです」と二つ返事で。それで今があるという感じです。

ーー東京に戻る前というのは?

塩田:転勤で大阪に住んでいたんですよ。歌のお仕事は東京が多くて帰るのも大変だったので、思い切って東京の会社に転職しました。

青山隼(以下、青山):僕はサッカーを10年間プロでやらせていただいて、引退してからは山本と一緒の事務所だったので、一緒に舞台もやったりしていました。オーディションの10日くらい前に、当時のマネージャーさんから「歌とダンスのグループ作るオーディションあるよ。未経験でも大丈夫だから受けてみれば?」って言われたんです。サッカーを辞めて新しい道で何事もチャレンジしたいという気持ちがあったので「やるだけやってみます」と受けることにしました。グループ内での協調性とか、ホスピタリティも審査に含まれると聞いていたので、サッカーで培われたものもありますし、やりやすい部分もありましたけど、ほぼ何もない状態でしたね。

ーー本当に未経験だったんですね。私もサッカーが大好きで、鹿島アントラーズを長年応援しているので、選手時代から存じ上げております。

青山:そうなんですか! 僕内田篤人と同世代なんですよ。でも塩田のことは書いて僕のことは書いてくれなかったんですね?

ーーすみません! もちろんできるなら取材したかったです(笑)。

寺田:僕は20代、30代は料理研究家として活動させていただいていたんですけど、10代の頃はDA PUMPさんやSPEEDさんのように歌って踊るグループが流行っていて、憧れてレッスンに行ったりしていました。夢を諦めて料理の道に行ったんですけど、40歳になるタイミングでこのオーディションを知って、40代からまた新しいことをしたかったのでチャレンジしてみようと思って。だから40代がすごく楽しみです。

山本:LDHさんのレッスンに行ってたんだよね?

ーーそうなんですね! EXPGですか?

寺田:はい。最後に表舞台に立ったのがa-nationだったんですよ。その時はバックダンサーでしたけど、もうダンスを辞めようと決めました。それが巡り巡って、今年のa-nationに20年ぶりくらいに出ることになって不思議な感じがします。

向山:20年ぶり? すごいね!

青山:ダンスをやっていたとは聞いてたけど、3ヶ月くらいで辞めたのかと思ってた(笑)。

6人いれば考え方は違って当然

ーーそして皆さんオーディションに受かって、いざ昭和歌謡を歌うとなっても、すぐに習得できるものではないですよね?

塩田:個人的な意見なんですけど、昭和歌謡ってキャッチーなメロディラインで覚えやすいんですよ。特徴を掴みやすいのと、歌詞がストレートで、言葉遣いも人間味があって好きです。熱いですし、今の時代あまりない「お前」とかが出てきたり。

向山:そのリアルな感じをどう表現するか。昭和歌謡を歌われているアーティストさんってすごいなと思って。当時はレコーディングもピッチ修正とかできない時代だったと思うんですけど、まったく感じさせないですよね。スキルが必要で、そういうところも学んでいかないとなと思います。

山本:曲にパワーがあるからそれに負けないように。僕らの世代って親とかの影響で聴いていたのがよかったなと思いますね。小さい時に車の中で聴いてた歌とかやっぱり覚えてますし。サラリーマンをやっていた頃の将己みたいに、上司とカラオケ行ったり、その世代の方に受ける歌となると、昭和歌謡を覚えたりするんですよね。

塩田:やってたやってた! 全部無駄なんてなかったなって。あの時60代の上司にスナックに連れていかれて、お店のママも「DESIRE -情熱-」とか歌ってましたもんね。

ーー歌謡曲はコーラスで息を合わせることも欠かせないと思うのですが、歌う時のチームワークはどんな雰囲気ですか?

塩田:昔は人数の多いグループって少なかったと思うんですよ。ソロアーティストが別でコーラスをつけたりとか。僕らは全部自分たちでやるので、曲としてどう成立させるか、誰がハモりをやってユニゾンの高い方、低い方はどうするか、煽りはどうするかとかも自分たちで作ってるんですね。大変でもありやりがいもあります。6人のSHOW-WAにしか出せない新しい「DESIRE -情熱-」を歌うとか。唯一無二の歌になってるんじゃないかなと思います。

ーー日頃からコミュニケーションは取られているんですか?

向山:みんなお酒が好きなので…食べること、飲むことが大好きなグループです。

井筒:飲みニケーションを中心に。

山本:打ち合わせというよりも、勝手に会話が始まりますね。「カバー曲次どうしようか?」とか誰かが最初に発信して、そこにみんなが乗っかっていきます。それが1日の中で何回もあります。

ーー話し合いの時間を設けることもありますか?

山本:それも定期的にありますね。SHOW-WAというグループの軸を決める作業とか。サッカーでチームプレーでやっていた青山、社会人として働いていた塩田とか、それぞれの経験を生かしてくれるので、それを基本にして話し合っています。

青山:例えば会社も社訓みたいな軸があって、そこにみんなの考えがあって集まっている組織じゃないですか。6人とも全然違う畑でやってきたので考え方は違って当然。サッカーで経験したことをやろうとしても、みんなはサッカーやってきてないし、意見がまとまらないじゃないですか? ただ、これは大事だなという部分は、俺はこう感じたけどみんなはどう思う?って必ずみんなに聞きます。そうしないと6通りの意見で終わってしまうので、自分の意見も他人の意見も出して、ちょうどいいところを探すのが打ち合わせであり、折れることも貫き通すことも僕は一番大事にしないといけない部分だなと思います。

ーーこの6人はそれが上手くできるメンバーさんでもある気がします。

寺田:ガツガツ行く人がいるわけでもないので、バランスよく出たり引いたり、自然とポジションも決まってますね。メモってくれるメンバーがいたり。

井筒:僕が書記をやります(笑)。

山本:この年齢で集まれてよかったなと思いますね。

秋元康さんについて

ーー秋元康さんの作詞を歌うことについて、そして歌ってみてどう感じましたか?

井筒:名曲をたくさん書かれている秋元先生に、デビューシングルを書いていただけるなんて、夢を見ているような…。

寺田:男性グループというのも珍しいのでありがたいですね。

山本:歌詞もすんなり入ってくるんだけど、読めば読むほど新しい発見もあっていろんな見方ができますよね。

ーー「君の王子様」は、聴き込むほど素晴らしさが分かりますよね。「僕か彼か、どっちを選ぶか今決めて」ってリスナーに選ばせる風潮は、推し活とかオーディションの活況も相まって今っぽさを感じますし。

塩田:悩んでいる相手を諭すみたいな歌って、なかったですよね。

ーー向山さんはセリフのパートを担当されていますよね。

向山:最初はどうしようと思いましたし、レコーディングも何テイクか録りました。ライブではその時思った感情をセリフに込めるようにしています。

山本:SHOW-WAは公開リハーサルが多いんですけど、そういう時は違うメンバーがこのセリフを言ったりしてます。

向山:他のメンバーが言うこのセリフって、ファンの方は絶対に聞きたいじゃないですか? だからみんなに「やってよ」って。

山本:リハーサルでもこのセリフが来る時ドキドキします。今日俺がやるのかと思うと緊張するんですよ。その前の振り付けが分からなくなる(笑)。だからいつもよくやってくれているなと思います。

ーー秋元さんと実際にお会いする機会はあったんですか?

井筒:二度あります。オーディションと、「ぽかぽか」さんのロケでお会いしました。嘘は絶対通じないですし、目力があるというか、口数は多いわけではないんですけれども、一言一言に重みがあります。的確な言葉を言ってくださる印象ですね。

向山:台本どおり言っているなというところまで見抜かれてしまいます。

寺田:頭の中が真っ白にならないように、想定質問を用意してたんですよ。

山本:そう。でも「段取りはいいから本当に聞きたいことは何?」って。愛に溢れてて、言葉から愛情と温かみを感じますね。

向山:秋元先生に、SHOW-WAのイメージについてお聞きしたんですけど、「SHOW-WAは君たちがプロデューサーなんだよ。6人で考えて話し合って、あとはRubyの皆さまが道を作ってくださるから」と言ってくださいました。秋元先生は曲で進む道のきっかけをくださっているんじゃないかなと思います。SHOW-WAをどう良くしていくかは自分たちで考えるという。

塩田:秋元先生にしかできないアドバイスだと思いました。今までいろんなプロデュースをして、失敗した人も成功した人も見た中で言えることを、自分の中の物語から引っ張ってきてアドバイスしてくれるんですよ。コール&レスポンスとかも考えてたら「それは自然に生まれるものだよ」って。確かに、ファンの皆さんが導いてくれている感じがします。

向山:言葉の一つ一つがもう歌詞だよね。

メンバーをサッカーのポジションに当てはめると?

ーー過去のご経歴が、今の活動に活きていることはありますか?

山本:3年くらい付き人をやっていたので、トップの方がどれだけ努力してステージに立っているかとか、周りに対する気遣いを間近で見せていただいたので、謙虚な姿勢は忘れずにいようという思いは活きていますね。

井筒:僕はスタッフさんの動線ですとか、どれだけ早く楽屋を用意してくれているかとか、自分なりに分かっているつもりなので、当たり前じゃないという感謝の気持ちを持つというところに活きているのかなと思います。スタッフさんに、僕も元々スタッフを経験していたことをお伝えすると、コミュニケーションが取りやすいので、グループでは橋渡しじゃないですけど、担えているのかなと思います。

塩田:僕は営業の仕事をしていたので、自然と人と仲良くなったり、組織の中で部下も経験したし、ちょっと上も経験したので、まとめるとか教えるとか。自分は天然でアホなんですけど、それでもまとめてたんですよ(笑)。いかに部下のテンションを上げて成果として数字を上げるかとか。一人ひとりの特性に合わせて…

寺田:部下だと思われてる。

塩田:君たちのこと言ってるんじゃないよ(笑)!

青山:部下だと思われてると思うよ。部下のように扱うの上手いもんね(笑)。

寺田:サッカーは活きることだらけじゃないですか?

青山:「この人FWっぽいな」「サイドバックっぽいな」とか考えますね。サイドバックにもいろんなタイプがいるじゃないですか? いいタイミングで上がる人とか。僕はボランチだったので俯瞰して見て、あー出てった出てった、スペース埋めようとか(笑)、この世界でも通じるものがあって、もしかしたらサッカーを経験した人しか分からないことかもしれないですね。

ーーちなみにSHOW-WAのメンバーをポジションに当てはめるとどうなりますか?

青山:(塩田さん)点決めたい1トップのFWでしょ。たけがFW下の1.5列目で、パスもして点も決める。僕はボランチで、DFとかセンターバックに玉を散らす感じです。佳志がサイドハーフ。

ーーなぜでしょうか?

青山:中に入って来てもやりたいし、そこの位置でもやる。FWと1.5列目の間を行ったり来たりしてボケたい時に出て行く。つっつんは、何にも考えないでとにかく上がってくるやつ(笑)。

井筒:サイドバック?

青山:でもちゃんと、今右サイドで作ってるからこのタイミングで左から上がればいいよっていう時は、いい仕事できる。気遣いはちゃんとできる。(寺田さん)ゴールキーパーなんだけど「俺FWもやりたいし」っていう本当はFWになりたいキーパー(笑)。

ーー欲しがるタイプの。

青山:けっこう欲しがるタイプなんですよ。コーナーキックで1対1で、この試合引き分けにして勝ち点1取ればいいのに、キーパーが上がっちゃって、最後カウンターで決められるみたいな。気持ちとしては闘莉王さんみたいな感じ。闘莉王さんはちゃんと結果残すけど。

ーーその気持ち大事ですよね。チームが鼓舞されますし。

青山:そうなんです。冗談まじりに言いましたけど、SHOW-WAの良さって、誰かがそうなったとしても、誰かがそこの位置に戻れることで。この1年間で培われた気がしますね。

ーーでは最後に、「君の王子様」を聴く時により楽しめるポイントを教えてください。

山本:ずっと「ぽかぽか」さんで歌わせていただいているんですけど、1番しか登場してないんですよ。2番はまだ1回しか歌ってなくて、僕その1回で音はずしたんです。だから歌わせてもらえないのかなって(笑)。ちゃんとしたものをまだお届けできてないんです。僕とつっつんは特に2番で出てくるので、そこを聴いてほしいです。

向山:メンバー同士がライバルという感じでユニゾンしていたりするので、そこを頭サビから聴いていただきたいです。6人6様の歌い方でソロパートを担っているので、表情を観ながら、聴きながら楽しんでいただけたらなと思います。

インタビュー・文 / 長谷川チエ

SHOW-WAオフィシャルサイト


▼SNSではライターの取材日記も更新中
フォローしていただけると励みになります!




ABOUTこの記事のライター

山口県生まれ、東京都育ち。別業種からフリーライターとして独立後、Culture Cruiseメディアを立ち上げ、『Culture Cruise』を運営開始。現在は東京と神奈川を拠点としている。 カルチャーについて取材・執筆するほか、楽曲のライナーノーツ制作、小説や行動経済学についての書籍も出版。音楽小説『音を書く』が発売中。趣味はレコード鑑賞。愛するのはありとあらゆるカルチャーのすべて!!